日本の平均寿命の推移をグラフ化してみる(2015年)

2015/07/31 10:00

厚生労働省は2015年7月30日、2014年分の簡易生命表の概況を発表した。それによると2014年における日本の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳となった。男性の平均寿命80歳超えは2013年分が初めてで今2014年が2年目となる。今回は各発表データを元に、経年の平均寿命推移について、各種グラフに最新値を反映・更新させ、状況の再確認を行う(【発表リリース:平成26年簡易生命表の概況】)。

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戦後は逐次伸びる平均寿命


今回発表された「生命表」とは、ある期間において死亡状況・環境が今後変化しないと仮定した時に、「各年齢の者が1年以内に死亡する確率」や「平均して今後何年生きられるか」といった期待値などを、死亡率や平均余命などの指標(生命関数)によって表したもの。世間一般に言われている「平均寿命」とは、その年に生まれた人が(社会情勢などの変化が無い限り)何歳まで生きられるかを示したものである。

また、今回発表された「簡易生命表」と、時折耳にする「完全生命表」の違いだが、次の通りとなる。

簡易生命表
毎年作成、公開される。該当年の10月1日の推計人口や、人口動態統計の月報による概数値で算出されるもの。

完全生命表
5年毎に作成される。国勢調査(5年おき)の結果や、人口動態統計の確定値で算出される。

精度の上では「簡易生命表」は概算値、「完全生命表」は確定値・決定版との位置づけである。今回は2014年分について「簡易生命表」が発表されたため、その値を反映しているが、経年変化のものについては5年おきの分をはじめ「完全生命表」が発表された年のものは、その値が反映されている。

次に掲載するのは、それらの値を元に構築した、平均寿命の推移。一つ目は直近で1990年以降のもの、二つ目は戦後に限定して1947年以降のもの、三つ目は各種公的データを集約して生成した1891年以降のものである。なお戦前は調査そのものが非定期(完全生命表のみ作成された)、戦中は行われていなかったこともあり、グラフ上で直線となってしまう部分がいくつか見受けられる。

平均寿命推移(1990-2014年、日本)
↑ 平均寿命推移(1990-2014年、日本)

↑ 平均寿命推移(1947-2014年、日本)
↑ 平均寿命推移(1947-2014年、日本)

↑ 平均寿命推移(1891-2014年、日本)(戦前は完全生命表のみ、不連続)
↑ 平均寿命推移(1891-2014年、日本)(戦前は完全生命表のみ、不連続)

まずは(グラフ掲載順とは逆になるが、)戦前からの網羅版。分かりやすいように、節目となる動きの部分に説明の吹き出しを加えている。一番古いデータの1891年-1898年では男性42.80歳・女性44.30歳。織田信長によるものが有名な、敦盛の一節「人間五十年」よりも短い。

以後、少しずつ近代化と共に上昇を見せるが、1921年から1925年には大幅に減少してしまう。これは【乳児・新生児の死亡率変移をグラフ化してみる(1899年以降版)】でも解説した通り、1918年から世界的に大流行したスペイン風邪、そして1923年に発生した関東大震災の影響を受けてのもの。以後、各方面の努力もなされたが、戦前は緑の薄い破線で記した「50歳ライン」を超すことはかなわなかった。そして戦後初となる1947年調査で、初めて男女とも平均寿命が50歳を超えている。

戦後に限った、さらには1990年以降限定のグラフに目を移す。戦後しばらくにおいては社会情勢・健康・食料事情の安定化、さらには「戦死」要素が事実上無くなったこともあり、大きな上昇傾向が見られる。しかし 1950年代後半からは上昇傾向が緩やかになり、その流れのまま上昇しているのが分かる。1970年代まではイレギュラー的にやや大きな上昇の年もあったが、それ以降はほとんど変わりないペースが続いている。

なお2011年ではやや大きな下落変動が確認できる。これは詳しくは別の機会で解説するが、2011年3月11日に発生した東日本大地震・震災に伴うものである。上記に挙げた戦前の関東大震災、戦後では1995年に発生した阪神淡路大震災でも似たような動きが確認できるが、大規模な自然災害は国全体の平均寿命にすら、明らかな影響を及ぼす事例といえる。なお2010年にも多少の下落があるが、これは誤差の範囲に加え、猛暑による熱中症を起因としたところによるものが大きい。

今後の動向だが、単に数字上での傾向を見る限りでは「年+0.数%の増加」「5年前後おきに−0.数%の減少」といった流れが続いている。社会的情勢に変化が無ければ、男性の平均寿命85歳超、女性90歳超もそう遠い未来の話ではないかもしれない。

「平均寿命」の誤解と「平均余命」


上記でも軽く触れているが、多分に誤解釈が浸透しているようなので、「平均寿命」の定義について、改めて解説を加えておく。

「平均寿命」とは「各年における0歳児の平均余命」を指す。例えば2014年の女性の平均寿命は86.83歳なので、「2014年に生まれた女性は、社会情勢などの大きな変化が無い限り、平均的に86.83歳まで生きられる」ことを意味する。「2014年時点で亡くなった女性の平均年齢が86.83歳」では無い。また「2014年時点で86歳の人は、普通ならばこの一年間に亡くなってしまうだろう」という意味でもない。

サンプルとして2014年時点の、高齢者における平均余命(2014年時点でその歳において、平均的にあと何年生きられるか)をグラフ化しておく。

↑ 平均余命(2014年簡易完全生命表から)
↑ 平均余命(2014年簡易完全生命表から)

2014年の時点で80歳の女性は、今後さらに平均で11年あまり生き続ける試算ができる。くれぐれもお間違え無きように。


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