光回線・CATV回線も減少に転じる…自宅パソコンのネット接続回線の種類をグラフ化してみる(2015年)

2015/07/18 14:00

総務省は2015年7月17日、平成26年(2014年)調査の結果による「通信利用動向調査」を発表した(【発表ページ:通信利用動向調査】)。この調査結果は独自調査を中心にした、日本のインターネットや携帯電話など、情報通信関連の各種調査結果をまとめた調査結果であり、毎年夏に発表される予定の【情報通信白書】の情報の基盤としても用いられる、同省の情報通信統計として非常に有益なものである。今回はそれらの公開データを用い、「自宅のパソコンなどを介したインターネット接続回線の種類(世帯単位)」について、その実情を確認し、過去のデータと合わせて検証することにより、状況の変化を推し量ることにする。ブロードバンド化の進行、インターネットの窓口としての端末の移り変わりなども見て取れよう。

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今調査(通信利用動向調査)は2015年1月-2月に、世帯向けは都道府県及び都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、満20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送・オンラインによる調査票の配布及び回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万6529世帯(4万3404人)、2136企業。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

今「通信利用動向調査」によると、2014年12月末時点のインターネットの普及率(過去1年間にインターネットを利用したことがある人の率)は82.8%・利用者人口は1億人を突破し1億0018万人。この調査結果における「インターネット利用」とは、6歳以上、過去1年間にパソコン、携帯電話(従来型携帯電話だけでなく、スマートフォンやPHS含む)・ゲーム機・タブレット機などあらゆる端末で、インターネットにアクセスすることを意味している。アクセス対象の機器を自分が保有しているか否か、利用目的が私的か仕事上のものか、あるいは学校の学習用であるかなどは問われていない。学校の授業でのみ利用したとしても、携帯電話経由のみの人も「利用者」に該当する。

「自宅」の「パソコン」など(タブレット型端末、インターネットテレビなども含まれる。携帯電話やスマートフォンの「単独利用」は、今件では含まれない)でインターネットに接続する際、その接続回線の種類はブロードバンド(光、DSL、ケーブルテレビ、携帯電話回線など)・ナローバンド(ISDN、電話回線によるダイヤルアップ、PHS回線)のいずれなのか、そしてその普及率はどれほどなのかを記したのが次のグラフ。

複数回答なので双方を並列導入している場合もあるが、ナローバンド回線は2007年から2010年の間は、確実に普及率が確実に減っている。しかしそれを底として、それ以降は若干ながら増加の動きを示していた。ところが2013年以降は大きく減少しているのが確認されている。なお今件の調査対象は「自宅からパソコンなどでインターネットを利用している世帯」であり、直近の2014年では1万0040世帯である。

↑ 自宅パソコン等のインターネット接続回線の種類(世帯)(-2014年末)(過去一年間の接続者限定)
↑ 自宅パソコン等のインターネット接続回線の種類(世帯)(-2014年末)(過去一年間の接続者限定)

ブロードバンド回線の普及率(ネット接続世帯比)は最新値の2014年末で97.6%。パソコンなどでインターネットを使っている世帯では、ほぼすべての世帯が導入している計算になる。データが開示されている最初の年2006年から2014年までに30%ポイント近くまで増加しており、確実な普及の様子がうかがえる。

入れ替え的な立場に見える「ナローバンド普及率」と「ブロードバンド普及率」の伸縮を比較すると、後者の伸びがやや鈍いのは、インフラの整備が遅れていること、「ブロードバンド・ナローバンド双方を使用している人が後者の利用を取りやめたのみで、ブロードバンドは元々利用していた事例があり、その場合はブロードバンドの普及率向上には換算されない」と考えることができる。さらに加えると後述するが、PHS回線の増加に伴い、ナローバンド回線の利用世帯率が一時的に底上げしていたのも一因。ただし2013年ではこの微妙な位置関係は大きく変わり、ブロードバンドが大きく伸びて、ナローバンドがグンと落ちる結果となっている。

ブロードバンド・ナロードバンド双方で、具体的にどのような種類の回線を利用しているのかを示した利用率グラフが次の図(一部項目のみを抜粋)。

↑ 自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(世帯/詳細)(-2014年)(過去一年間の接続者限定)
↑ 自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(世帯/詳細)(-2014年)(過去一年間の接続者限定)

かつて日本においてブロードバンド環境を加速度的に浸透させ、一世を風靡した、ADSLに代表されるDSL回線はその普及率を下げ、一方で光回線が急速に伸びを見せていた。

しかし最新のデータ、2014年分においては、光回線やケーブルテレビ回線は前年までの上昇から減退へとトレンドを転換し、固定無線回線もじわりと落ちている。ISDN回線やダイヤルアップ回線は横ばい。そろそろ天井に達したのと、利用回線の整理統合が進んでいるようだ。

一方で携帯電話回線の2013年における過激なまでの伸びと、2014年に至ってもさらに値を上乗せする動きが確認できる。これはデータを精査した限りではLTEや、WiMAXなどのBWA回線を利用してパソコンやタブレット型端末にてアクセスしている人によるところが大きい。特にタブレット型端末で自宅からアクセスしている人の約64%はこれに該当する。



かつての今件項目記事ならこのあと、ナローバンド回線の漸増に関してPHS回線が大きく関与している話が記述されていた。しかし今件2014年のデータを見る限り、ナローバンド回線の自宅からの利用は微々たるものとなり、PHS回線の利用者も0.5%に留まっている。またPHSの契約件数データも、肝心の電気通信事業者協会(TCA)の公開データ自身が「2013年10月以降、PHSおよびBWA事業者から月次契約数の情報提供が取りやめられたため、PHSおよびBWA契約数は掲載しておりません」とあり、2013年10月以降は非公開化されたため、動向はつかみにくい。現在ではウィルコムから直接、あるいは総務省経由で3か月おきのデータが取得できるのみである。

↑ PHS契約数推移(TCAデータから)(万件)(-2015年3月)
↑ PHS契約数推移(TCAデータから)(万件)(-2015年3月)

かつてナローバンド回線からインターネット接続環境の主役を奪い、日本にブロードバンド環境を浸透させたDSL回線。しかし今では光回線とケーブルテレビ回線との間で、攻守立場を変えた戦いのさなかにあり、劣勢に立たされている。2014年末時点では普及率順で光回線・携帯電話回線・ケーブルテレビ回線・DSL回線の順となっている。

一方トップの光回線の普及率は利用者限定で57.1%。2014年でも「2世帯に1世帯」「過半数」の域に達してるが、かつてのような加速度的な普及率上昇ではないどころか減退傾向にある。やはり機動性・柔軟性に優れたWiMAXなどに目が移るのは仕方のない話か。今後も自宅の固定回線でのブロードバンド化が進むには違いないものの、パワーバランスには小さからぬ変化が生じるに違いない。


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