先週より減るが単週で3000人突破…熱中症による搬送者数は1週間で3099人(2016年7月11日-7月17日)

2016/07/20 10:00

総務省消防庁は2016年7月20日、同年7月11日から7月17日の一週間における熱中症搬送人数が3099人(速報値)であることを発表した。これで消防庁が掌握している今年の累計搬送人数は1万7032人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は3人、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は45人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)

今夏の電力事情に関する政府による決定を元にした精査記事【震災後初の節電要請そのものの見送り……2016年夏の電力需給対策内容正式発表】などで解説の通り、今年の夏は東日本大地震・震災後初めて、法的拘束力のある電力使用制限令、数字目標のある節電要請、さらに去年夏のような数字目標無しの節電要請ですら行われないこととなった。十分な節電意識を持ち続けると共に、その実行は欠かせないが、特別な体制で臨む必要はないとの判断である。しかし震災から5年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また春前に気象庁が発表していた夏季予報では、北陸・東海・関東甲信地域でやや高め、近畿・中国・四国・九州では高めの気温となる可能性が高いとの観測が成されていた(【季節予報(夏 6-8月)(2016年2月24日発表、気象庁)】)。降水量が全国的に多めになるとの予報も同時に出ていたのは幸いだったが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないのも事実。さらにここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

そこで消防庁では【今年も消防庁の熱中症の情報は5月から提供開始】にある通り、昨年同様今年も熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

なお現時点では最新の長期予報として【季節予報(夏 7-9月)(2016年6月24日発表、気象庁)】)が開示されているが、それによれば全国的に気温は高く、特に北日本以外で高め、降水量は北日本と東日本の日本海側以外でやや多めとの見込みが出ている。つまり東日本の太平洋側と西日本・沖縄・奄美地方では気温が高く降水量が平年並みと、いくぶんツラい夏場になるとの観測が出ている。

↑ 「向こう3か月の天候の見通し」による全国の平均気温と降水量の予想
↑ 「向こう3か月の天候の見通し」による全国の平均気温と降水量の予想

今回発表された各種値は今年の分としては第12週目のものとなる。公開直近分の値は速報値であり、今後逐次修正暫定値、そして確定値に切り替えられることになる(暫定値、確定値は速報値よりも多少の増加がなされることが多い)。

今回計測週では発達した梅雨前線の影響を受け、西日本を中心に雨が続く一週間となった。特に九州から中国地域では豪雨と共に突風も生じている。他方関東では大気の不安定な状況を受け、竜巻注意情報が出たり、雹が観測された地域もあった。週末にかけては関東でも短時間ではあるが雷を伴った激しい雨が吹き荒れ、多くの地域に被害を与えた。なお次回計測週になるが18日には九州南部・北部、四国、中国、近畿、東海が梅雨明けしたとみられると気象庁が発表している。なお九州と北海道では平年と比べて日照時間が少なく、農作物の出来具合が心配されている。

昨年気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.286(2016年6月)(7月11日発表)】によれば、春の間に終息したとの観測を示すと共に、現状ではエルニーニョ現象もラニーニャ現象(発生しても平均気温や降水量に変化はない)も発生していない平常の状態が継続しており、ラニーニャ現象の発生がこれまでの予想の夏から、秋にずれ込む可能性が示唆されている。

地域別では大阪府の234人が最大、次いで東京都の219人、埼玉県の213人が続く。特に地域の偏りはなく、人口の多い場所で多数の搬送者がカウントされている。あえて言えば大雨が降った九州地方の数がやや少なめといったところだろうか(それでも福岡県は112人を計上しているが)。

↑ 東京都の最高気温と天候(2016年7月11日-7月17日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2016年7月11日-7月17日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年7月11日-7月17日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年7月11日-7月17日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年7月11日-7月17日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年7月11日-7月17日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月25日から開始している(昨年は5月13日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

電力需給の観点では新電力への離脱による恩恵を除けば、昨年の状況から進歩があまり見られないのが残念な話。電気代の生活費への負担が増すと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる。また【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話などもあり、人口構成比・絶対人数で増加を続ける高齢者による冷房忌避の傾向を考慮すると、今後熱中症による社会全体のリスクはさらに増加するものと考えられる。

気温だけでなく湿度の高さも合わせ体調不良を引き起こす要因は多々あり、それと共に熱中症のリスクも高まりを見せていく。西日本ではすでに梅雨明けとなり、東日本でも平年ならば今週中に梅雨明けとなる日取り。ちょっとした油断で水分不足や体調不良などが生じ、それをきっかけとして、熱中症の症状が生じる可能性は多々ある。また仮に雨が降り日が差していないような状況でも、さらに室内でも、熱中症の症状は生じ得る。

今後も知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も合わせ、健康管理に留意してほしいものである。


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