2016年5月の熱中症での病院搬送者は2788人、前年同月比では116人少ない値に

2016/06/22 05:00

総務省消防庁は2016年6月21日付で、同年5月の熱中症を起因とした全国の救急搬送の状況(確定値)を発表した。それによれば同年5月における熱中症による救急搬送者は2788人となった。前年の同月の値である2904人と比較すると、116人の減少となる。一方、搬送者の年齢階層別では比率算出が可能な2014年以降で比較すると、高齢者(65歳以上)の値は確実に増加しており、前年比で0.1%ポイント増の46.7%を計上する形となった(【消防庁:発表リリース一覧ページ】)。

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今年の5月は南からの暖かい空気が日本付近に流れ込んだこともあり、全国的に気温はかなり高い状態で推移。北日本では日照時間がかなり多かった影響もあり、月平均気温は平年差プラス2.3度となり、1946年の統計開始以来5月としては最も高温な一か月となった。また、札幌や長野など25地点で5月の月平均気温としては最高値を記録した。本州付近では北日本を中心に移動性高気圧に覆われることが多かったため、月間日照時間は北日本ではかなり多く、東日本と西日本日本海側でも比較的多くなっている。

さらに5月中旬以降は真夏日(1日の最高気温が30度以上)を観測する地域が増えるようになり、これに合わせて各種屋外イベントで、青少年の熱中症による救急搬送事案が確認されるようになったともリリースでは言及されている。

今回の発表によれば、2016年5月の全国における熱中症による救急搬送人員は2788人。昨年2015年は2904人、よって約4%の減少となる。なお5月中の熱中症搬送者数の計測は2014年から、全日は2015年からの開始となっている。

↑ 熱中症搬送人員(2014-2016年、各5月、人)(2014年のみ19-31日)
↑ 熱中症搬送人員(2014-2016年、各5月、人)(2014年のみ19-31日)

↑ 熱中症搬送人員(2014-2016年、各5月、人数比)(2014年のみ19-31日)
↑ 熱中症搬送人員(2014-2016年、各5月、人数比)(2014年のみ19-31日)

過去の同月と比べると新生児・乳幼児、少年、成人は多少のぶれを見せながらも全体としては減少傾向にある。高齢者も数は減っているものの、減少度合いは中堅層までと比べるとやや穏やかで、全体比率を算出すると逆に増えている結果となっている。これは高齢者の人数そのものが増加の一途をたどっており、気候状況などで熱中症リスクの軽減が生じても、母数が増えていることで減少度合いがおとなしめになってしまった結果による。

搬送時の初診傷病程度は次の通り。人数は中等症以上で減り、軽症のみが増加している。当然、全体比も軽症の値が増加。軽症者に関しては数そのものが増えたのは残念な話だが、軽症の時点で搬送の判断ができたと解釈すれば、一概に悪いとも言い切れない。患者の発生数そのものの減少だけでなく、発生・状況確認時の症状の軽減もまた、熱中症対策の上では求められる要素であるからだ。今後も中長期的な視点から、油断することなく早期発見・早期対策が求められる。

↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2014-2016年、各5月、人)(2014年のみ19-31日)
↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2014-2016年、各5月、人)(2014年のみ19-31日)

↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2014-2016年、各5月、人数比)(2014年のみ19-31日)
↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2014-2016年、各5月、人数比)(2014年のみ19-31日)

ちなみに各症状の具体的内容は次の通りとなる。

軽症:入院を必要としない程度

中等症:重症または軽症以外の病状

重症:3週間の入院加療を必要とするもの以上

死亡:医師の初診時に死亡が確認されたもの

「軽症」と「重症」の容体を比較した上で勘案すると、「中等症」とは「3週間未満の入院を必要とするもの」と判断できる。つまり「重症ほどではないが、搬送時には相当状態が悪化しており、入院措置が必要な状況」。本人の無理がたたった、または他に誰もいない環境下で気を失い、第三者による発見が遅れたことが想定できる。見方を変えると2016年5月の該当期日においては、ほぼ7割の熱中症による救急搬送者は入院をせずに済んだことになる。

自分自身への注意を怠りなくするのと共に、異常を感じたらすぐに水分補給、涼しい場所への移動、楽になる姿勢を保つなど各種対応を行うのは常識論のレベル。それと同時に身の回りに体力の不安な人(療養中や病症で通院中の人)、身体の衰え(老化)などの理由から適切な反応が期待できない人が居る時には、積極的に声をかけるなどして、熱中症の発生を極力防ぐ姿勢を望みたい。

なお今回の確定報により、2016年5月1日から5月31日における搬送者数総計は2788人となった(当然月次と同じ)。

↑ 夏期熱中症救急搬送人員(2014-2016年)(各年5月の累計)(2014年のみ19-31日)
↑ 夏期熱中症救急搬送人員(2014-2016年)(各年5月の累計)(2014年のみ19-31日)

報告書では注意事項として「今後もさらに暑さが厳しくなることが見込まれていることから、こまめに水分補給を行うなど熱中症への更なる警戒が必要です。なお、気象庁では、向こう1か月(6月4日-7月3日)の天候の見通しとして、北・西日本と沖縄・奄美では、気温が高くなると予報しています」とし、今後気温の上昇に伴う熱中症発症への注意喚起を行っている。

熱中症への対策は、多分に身体の健康管理そのものにもつながる話。これまでの経験、情報を有効に活かし、体調全般を管理する視線で自分の、そして周囲の体を気遣い、その中で熱中症に対する注意と配慮をしてほしいものである。


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