今年累計1万人突破…熱中症による搬送者数は1週間で4659人(2016年7月4日-7月10日)

2016/07/12 11:00

総務省消防庁は2016年7月12日、同年7月4日から7月10日の一週間における熱中症搬送人数が4659人(速報値)であることを発表した。これで消防庁が掌握している今年の累計搬送人数は1万3687人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は8人、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は106人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)

今夏の電力事情に関する政府による決定を元にした精査記事【震災後初の節電要請そのものの見送り……2016年夏の電力需給対策内容正式発表】などで解説の通り、今年の夏は東日本大地震・震災後初めて、法的拘束力のある電力使用制限令、数字目標のある節電要請、さらに去年夏のような数字目標無しの節電要請ですら行われないこととなった。十分な節電意識を持ち続けると共に、その実行は欠かせないが、特別な体制で臨む必要はないとの判断である。しかし震災から5年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また春前に気象庁が発表していた夏季予報では、北陸・東海・関東甲信地域でやや高め、近畿・中国・四国・九州では高めの気温となる可能性が高いとの観測が成されていた(【季節予報(夏 6-8月)(2016年2月24日発表、気象庁)】)。降水量が全国的に多めになるとの予報も同時に出ていたのは幸いだったが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないのも事実。またここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

そこで消防庁では【今年も消防庁の熱中症の情報は5月から提供開始】にある通り、昨年同様今年も熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

なお現時点では最新の長期予報として【季節予報(夏 7-9月)(2016年6月24日発表、気象庁)】)が開示されているが、それによれば全国的に気温は高く、特に北日本以外で高め、降水量は北日本と東日本の日本海側以外でやや多めとの見込みが出ている。つまり東日本の太平洋側と西日本・沖縄・奄美地方では気温が高く降水量が平年並みと、いくぶんツラい夏場になるとの観測が出ている。

↑ 「向こう3か月の天候の見通し」による全国の平均気温と降水量の予想
↑ 「向こう3か月の天候の見通し」による全国の平均気温と降水量の予想

今回発表された各種値は今年の分としては第11週目のものとなる。公開直近分の値は速報値であり、今後逐次修正暫定値、そして確定値に切り替えられることになる(暫定値、確定値は速報値よりも多少の増加がなされることが多い)。

今回計測週では長期予報にあった「西日本で猛暑、東日本で平年並みからやや暑い」を体現するような気温動向を多々見る形となった。西日本では中盤まで梅雨がまだ明けていないことを忘れさせるような気温の上昇が観測され、天気図やネット界隈のやり取りでも関東から北部との気温の差を実感させる状況となった。東日本では中盤に晴れ間を見せたものの、寒暖差は大きく、猛暑日を記録した七夕の日では、東京で最高気温が36.7度、最低気温が21.9度を記録し、1日に15度近い気温差が生じている。後半に入ると前線が活発化したことで各所で天候も崩れ、各地で大雨となった。ただし参議院議員選挙の投票日である日曜日は再び全国的に晴れ渡り、気温も上昇し、再び夏を思わせる天気となっている。

昨年気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.286(2016年6月)(7月11日発表)】によれば、春の間に終息したとの観測を示すと共に、現状ではエルニーニョ現象もラニーニャ現象(発生しても平均気温や降水量に変化はない)も発生していない平常の状態が継続しており、ラニーニャ現象の発生がこれまでの予想の夏から、秋にずれ込む可能性が示唆されている。

地域別では兵庫県の409人をはじめ、大阪府や愛知県(東西どちらとも解釈されるが)、福岡県など西日本で多くの搬送者数が確認されている。またそれ以外でも東京都や埼玉県など人口の多い地域で多数の搬送者が計上された。

↑ 東京都の最高気温と天候(2016年7月4日-7月10日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2016年7月4日-7月10日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年7月4日-7月10日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年7月4日-7月10日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年7月4日-7月10日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年7月4日-7月10日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月25日から開始している(昨年は5月13日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

電力需給の観点では新電力への離脱による恩恵を除けば、昨年の状況から進歩があまり見られないのが残念な話。電気代の生活費への負担が増すと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる。また【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話などもあり、人口構成比・絶対人数で増加を続ける高齢者による冷房忌避の傾向を考慮すると、今後熱中症による社会全体のリスクはさらに増加するものと考えられる。

気温だけでなく湿度の高さも合わせ体調不良を引き起こす要因は多々あり、それと共に熱中症のリスクも高まりを見せていく。多くの地域ではまだ梅雨が開けていないから、熱中症のことは心配無用と油断をすると、水分不足や体調不良などが生じ、それをきっかけとして、熱中症の症状が生じる可能性もある。雨が降っていても室内状況によっては熱中症の症状は生じ得る。また、梅雨の合間の晴れ間時は、気温が夏同様に高く、さらに湿度も高いケースが多々あるため、十分以上の注意が必要となる。

日取りの上では夏は先の話。梅雨明けした地域もまだほんの一部。しかしすでに夏同様の暑さを覚える日々が続き、熱中症に留意しなければならない(だからこその消防庁の搬送者速報も早期に開始されているのだが)。今後も知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も合わせ、健康管理に留意してほしいものである。


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