世帯平均所得は約529万円…世帯当たりの平均所得金額推移をグラフ化してみる(2015年)

2015/10/15 13:00

厚生労働省は2015年7月2日に、平成26年版(2014年版)の「国民生活基礎調査の概況」を発表した。この調査は国民生活の基本事項を調べ、各行政の企画や運用に必要な資料を収集する目的で行われているが、日本における市民生活の実情を把握できる多彩なデータが盛り込まれている。今回はその中から「世帯単位での平均所得金額」を確認し、その動向について精査していくことにする(【発表ページ:平成26年 国民生活基礎調査の概況】)。

スポンサードリンク


平均所得は528.9万円、平均所得以下の世帯は61.2%


今調査の調査要件及び注意事項は、先行記事の【平均世帯人員と世帯数推移をグラフ化してみる】で解説しているので、そちらを参照のこと。

早速だが次のグラフは、2013年までの各年における世帯所得の平均額推移を示した図。全世帯の他に、高齢者世帯(65歳以上の人のみ、あるいはそれに18歳未満の未婚の人が加わったもの。例えば高齢世帯に18歳以上の人が加わり、稼ぎ頭が居そうな世帯は該当しない)、児童あり世帯(18歳未満の未婚の人がいる世帯)別の動向もまとめてグラフに盛り込んでいる。なお今件の直近分は報告書の題名が「2014年版」ではあるが、聞き取り時には当然2014年は終了していないため、2013年の1年間分に関してに調査が行われており、2013年分の回答値が最新となっていることに注意。

↑ 1世帯あたり平均所得金額(万円)(世帯構造別)(-2013年分)
↑ 1世帯あたり平均所得金額(万円)(世帯構造別)(-2013年分)

直近では全世帯平均の所得金額(世帯全体の金額。年金や保険も含む)は528万9000円。児童がいる世帯では働き盛りの世帯主がいる場合が多く、配偶者もパートなどで家計を支えている事例も多々あり、平均所得は高めに推移しており、2013年分では696万3000円となる。一方高齢者世帯では年金による所得が多分を占め、300万円をわずかに上回る程度となっている。

また経年による変化を見ると、取得可能なデータの期間では20世紀末に最大額を記録し、あとは漸減。2013年における全世帯の528万9000円は、1988年の545万3000円より幾分低い額となる。

なお【過去60年余にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】でも示した通り、この20年間は消費者物価指数に大きな変動は無く、額面を修正して実態を考察する必要はない(そのままの額面で受け止めて問題は無い)。つまり額面通り、生活は少しずつ厳しさを増していると考えて良い(今回調査分の最新値となる2013年時点では、まだ消費税率の引き上げは行われていない)。

↑ 消費者物価指数推移(1991年-2015年)(1991年の値を1.00とした時、持家の帰属家賃を除く総合)(東京都区部)(2015年は4月までの平均値)(再録)
↑ 消費者物価指数推移(1991年-2015年)(1991年の値を1.00とした時、持家の帰属家賃を除く総合)(東京都区部)(2015年は4月までの平均値)(再録)

直近の2013年分について、額面区分別構成世帯率は次の通り。平均額は529万円だが中央値は415万円。平均値以下に多くの世帯が収まっているのが見て取れる。平均所得金額以下の世帯比率は6割を超えていることも、低所得世帯数の多さ、高所得層によって平均所得がかさ上げされているようすが把握できる。

↑ 所得金額階級別・世帯数相対度数分布(2013年分・2014年調査)
↑ 所得金額階級別・世帯数相対度数分布(2013年分・2014年調査)

世帯平均所得は他の調査でもいくつか値が出ているが、今「国民生活基礎調査の概況」で精査を行う場合は、平均額だけでなく中央値も併用することが望まれる。単純に平均所得だけで勘案すると、世間全体としての実情からのずれが生じかねないからである。

標準世帯の現状を見てみると……


一方、昨今において全体値としての平均所得が減少傾向にある理由の一つに挙げられるのが、低所得世帯となりやすい高齢者世帯数の増加。上記折れ線グラフの通り、児童あり世帯や高齢者世帯それぞれのみでは21世紀に入ってから横ばいを維持しているのにも関わらず、全世帯の平均額は漸減している。これは主に年金生活をしており所得が低い高齢者世帯の、全体に占める割合が増加しているからに他ならない。高齢者世帯の増加傾向はすでに【高齢者世帯数の推移をグラフ化してみる】で示した通り。

そこで補完情報として2つほどの世帯形態を挙げ、直近分の世帯数分布を見ていくことにする。まずは母子世帯と高齢者世帯「以外」の世帯による動向。取得データの関係から、1000万円以上の区分がやや粗くなっている。

↑ 所得金額階級別・世帯数相対度数分布(2013年分・2014年調査)(母子世帯・高齢者世帯以外)
↑ 所得金額階級別・世帯数相対度数分布(2013年分・2014年調査)(母子世帯・高齢者世帯以外)

所得のばらつきがやや大きく、平均額以下の割合も低め。平均所得は621万円、中央値は531万円となっている。

もう一つは「標準4人世帯」における値。これは【総務省による定義では】「夫婦と子供2人の4人で構成される世帯のうち、有業者が世帯主1人だけの世帯に限定したもの」とある。今件でも同じものと見て良いだろう。つまりは「子供二人持ちの専業主婦が居る世帯における動向」と見れば良い。

↑ 所得金額階級別・世帯数相対度数分布(2013年分・2014年調査)(標準4人世帯)
↑ 所得金額階級別・世帯数相対度数分布(2013年分・2014年調査)(標準4人世帯)

平均所得は703万円、中央値は642万円。他のグラフと比べてボリュームゾーンがやや右にシフトしている様子もうかがえる。切り口を変えれば世帯主のみの就労でこのレベルの所得を確保しないと、子供2人世帯において兼業しなくても済む状況は難しいとも見る事もできよう。


※追記:(2015.10.15.)
一般的には「所得」と「収入」は同義語として用いられる場合もあるが、税法上は収入から経費や控除を引いて、課税額を判断するための算定額を意味する。国民生活基礎調査では用語の説明中で今回取り扱った「所得」に関して「稼働所得」「公的年金・恩給」「財産所得」「年金以外の社会保障給付金」「仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得」と分類し、さらに「稼働所得」は「雇用者所得」「事業所得」「農耕・畜産所得」「家内労働所得」と区分している。

そのうち「雇用者所得」は「世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額をいい、税金や社会保険料を含む。なお、給料などの支払いに代えて行われた現物支給(有価証券や食事の支給など)は時価で見積もった額に換算して含めた」と説明されており、税引き前の額面を意味している。サラリーマンの場合は給与明細を見れば分かる通り、あらかじめ控除として税金や社会保険料の額が引かれて上で手取り収入として渡されるため、実質的には今件の「所得」は収入に近しい。また「事業所得」は「世帯員が事業(農耕・畜産事業を除く)によって得た収入から仕入原価や必要経費(税金、社会保険料を除く。以下同じ)を差し引いた金額をいう」とあり、こちらは所得そのままを意味する。

一方、税法上ではサラリーマンなどが受け取る給与に該当する給与所得は、収入金額から給与所得控除額を引いた額が相当。またいわゆる「可処分所得」は実収入から税金、社会保険料などの非消費支出を差し引いた額で、俗にいう手取り(収入)を意味する。

国民生活基礎調査で雇用者所得が実質的に収入に近しい値で算出されているのは、税金や社会保険料は経費では無く、他の稼働様態ならば所得から改めて支払うことになるため。なお今記事でかつては一部収入と所得を混在した表記がなれていたが、今回正しい、国民生活基礎調査にて表記されている言い回しに統一した。


■関連記事:
【年齢階層別の収入や負債の推移をグラフ化してみる(2014年)(最新)】
【基本は現金・クレカ…二人以上世帯の代金支払い方法の移り変わりをグラフ化してみる】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー