サラリーマンの消費税負担心情とその対応策を探る(2016年)(最新)

2016/07/06 05:11

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2014年4月から消費税率は従来の5%から8%に引き上げられ、また今度は10%に引き上げるとの論議が交わされている。当然消費者の一員でもあるサラリーマンのふところ事情も、税率アップと共に厳しさを増すことになる。この実態感について、サラリーマンの小遣い事情を中心に活動様式を定点観測的に調査している、新生銀行の「サラリーマンのお小遣い調査」の最新版報告書をもとに確認していくことにする(【発表リリース:男性会社員のお小遣いは過去3番目に低い金額-「2016年サラリーマンのお小遣い調査」結果について】)。


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消費税増税負担を実感は7割超え


今調査の調査方法などは先行する解説記事【2016年のサラリーマンこづかい事情】にあるので、そちらを確認のこと。今記事では追加調査要件として女性社員に関しても取り上げているが、人数は男性会社員の調査数のほぼ3/4分(789人)であるものの、世代別の均等割り当てなど他調査方法は男性社員と同じである。

さて、消費税そのものに関して、負担を覚える人は会社員においても多い。サラリーマンでは774.4%、女性会社員では82.5%と8割を超える結果が出ている。

↑ 「こづかい面で」消費税の負担を感じているか(会社員)
↑ 「こづかい面で」消費税の負担を感じているか(会社員)

経年、年齢階層別では特に法則だった動きは無く、男女別では概して女性の方が高い値が出ている。女性が多いのは、一つに小遣い額そのものが女性の方が低い事、そしてもう一つは女性は男性と比べて一般的に金銭感覚に優れていることを起因とするものだろう。

もっとも今件は、1円でも消費が増える事柄を対象とした設問であり、多くの人が肯定するのは当然でもある(手の甲をつねられて「痛いか」と聞かれるようなもの)。しかし見方を変えれば、会社員の7割から8割は消費税への負担を実感していることになる。消費性向にも少なからぬ影響を与えることは間違いない。

税率アップの対策は?


現時点では消費税率のアップ(8%から10%)は延期となっているが、今調査の時点では延期するか否かの論議がなされていた。そこで消費税率改定が実施された場合、何らかの対策をとるか否かと尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 消費税の再増税の際には何らかの負担対策を取るか(2016年、会社員)
↑ 消費税の再増税の際には何らかの負担対策を取るか(2016年、会社員)

男性全体では5割強、女性会社員では7割近く。男性は若年層ほど対策を取る人が多く、女性は男性をはるかに上回る形で対策を取る形となっている。金銭面での敏感さがそのまま数字化されているようで興味深い。

その「対策」の具体的内容を聞いた結果が次のグラフ。多数の選択肢を掲げて複数回答で答えてもらったが、どの属性でも上位陣は同じとの結果が出た(設問上は上位3項目が独自選択肢で、それ以外は「その他の対策」とあるが、「その他の対策」の回答率は1%内外でしかない)。支出増への対策は概して汎用的なようだ。

↑ 消費税増税の負担への具体的対応策(対応策を取る人限定)(上位3位、2016年)
↑ 消費税増税の負担への具体的対応策(対応策を取る人限定)(上位3位、2016年)

どの属性でもトップ項目は「小遣い額の節約」。しかしそれに続く項目が男性では若年層は「収入アップ(副収入などで)」「預貯金取り崩し」なのに対し、中堅層以降は「預貯金取り崩し」が先に来て、その次に「収入アップ」が続いている。預貯金に余裕がなければ取り崩しそのものが不可能であることを考えれば、若年層は「無い袖は振れないから取り崩しはできない。だから収入をアップするのが優先」との考えに落ち着くのも理解はできる。

女性は世代全体での合算結果としたが、男性よりも10%ポイント以上「小遣い額の節約」の回答率が高いのが興味深い。節約志向は女性の方が上であることは、今記事の上部でも触れたばかりだか、その性向が具体的対応策でも表れている。

消費税率をいかなる比率にすべきか、さらには消費税そのもののあり方についても論議される今日この頃だが、少なくとも会社員のお小遣いの領域では確実に消費を抑える影響がある。消費は経済全体においては血の巡りに等しく、それが抑えられるのは中長期的に見れば血流の悪化、さらには身体そのもののトラブルリスクの底上げを意味する。数量化しにくい話ではあるが、考えさせられる内容には違いない。


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