Faxやパソコン、携帯電話…高齢者の情報機器の利用実態をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/07/07 14:06

電話による通話、Faxによる送受信、パソコンや携帯電話、特にスマートフォンを用いたインターネット経由で使用できる多様なサービス。情報機器は最小限の労苦でさまざまな便益を受けられるツールとなるべく日々改良が加えられ、便利なものは急速に普及浸透し、多くの人に活用されるようになる。他方、既存の仕組みを使い慣れた、新しいものを覚えるのを敬遠しがちな高齢者では、それら情報機器の利用を避ける傾向があるとの指摘もなされている。今回は内閣府が2016年5月30日に発表した、高齢者の生活と意識に関する国際比較調査の最新版となる第8回調査結果から、日本だけでなく諸国も合わせ、高齢者における情報機器の利用実態を確認していくことにする(【内閣府:高齢者の生活と意識に関する国際比較調査一覧ページ】)。

スポンサードリンク


総合的な情報機器の利用実態


今調査の調査要項は先行記事【日本や諸外国の高齢者における結婚状況をグラフ化してみる(2016年)(最新)】を参照のこと。

次に示すのは調査各国の高齢者における、情報機器の利用実態について複数回答で尋ねた結果。「ファックスで家族・友人などと連絡を取る」「パソコンの電子メールで家族・友人などと連絡(ソーシャルメディアなども含むと判断)」「インターネットで情報収集、ショッピング(パソコン利用と判断)」「携帯電話で家族・友人などと連絡を取る(通話だけでなく電子メールやソーシャルメディアも含むと判断)」「携帯電話で情報収集、ショッピングをする」「いずれも使わない」それぞれの選択肢で当てはまるものを答えてもらっている。携帯電話は当然従来型携帯電話とスマートフォンの双方を指す。

↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)
↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)

携帯電話を利用した家族などとの連絡はどの国でも多用されており、6割から8割と高い値を示している。それにパソコンの電子メール、インターネットで情報収集などが続く形。

国別の動向を見ると、アメリカ合衆国ではFax以外の利用率が高いが、それ以上にスウェーデンの値の高さが目に留まる。携帯電話では9割近く、パソコンの電子メール・インターネットでの情報収集は6割近くに達している。同国のインターネット技術の浸透ぶりは高齢層にまで深く及んでいる、高齢層も積極的に活用しているようすが良くわかる。

ドイツはイメージとは逆の動き。多くの項目で調査国中最低の値を示し、「いずれも使わない」の値も3割強と最大値。むしろ技術を駆使したシニア層が大勢いる雰囲気があるのだが。

日本はそのドイツに次ぐ低い値。携帯電話系ではドイツより高い値だが、パソコン系ではむしろ低く、諸国中最低の値に留まっている。注目すべきはFax利用の値で、他国が数%程度でしかないのに、日本のみ1割強の値を計上している。操作がシンプルで確実にやりとりができるイメージとして、Faxが根強く愛されているのだろうか。

日本の詳細は


続いて日本の詳細を見ていく。まずは男女別。

↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)(日本、男女別)
↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)(日本、男女別)

Faxの利用、携帯電話の利用はさほど男女で差異が無い。パソコンを用いる「電子メール」「情報収集」は男性が女性の倍ほどの値を計上しているが、これは多分に現役時代に就業上利用していた、あるいは趣味趣向で使っていた習性・環境がそのまま継続しているものと考えられる。女性はむしろ同じような発想で携帯電話の利用率が高そうだが、ウェイトバックの実施の結果、女性はより高齢層で人数比率が高くなる、そして高齢層では身体の衰えから使えない・使わない人が多くなるのが、男女で差異があまり無い要因だろう(男女別々の年齢階層別の値が開示されていれば確認できるが、現状では未公開)。

↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)(日本、年齢階層別)
↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)(日本、年齢階層別)

続いて男女を合わせた年齢階層別。歳を経るほど身体の衰えで情報機器が使いにくくなる、さらに情報機器の普及が今世紀に入ってから、特にこの5、6年で急速に進んだこともあり、現役世代に触れていなかった人、過去の蓄積が多く新たに仕組みを覚えるのを苦手とする、歳が上の人ほど、利用率は低いものとなる。逆に「いずれも使わない」の率は歳と共に上昇、80代以上では5割を超える。

ただし見方を変えると、現時点で70代でも6割から7割は携帯電話で家族などと連絡を取り合っていることになる。多分に音声通話によるものと推測されるが、携帯電話が高齢層にとっては欠かせない存在となっていることがうかがえる。

Faxはパソコンや携帯電話と比べると古くから使われていたことに加え、操作が楽なこともあり、歳を経ても利用率の減退は大人しいものとなっている。

各国シニアの情報機器利用状況


続いて諸国の年齢階層別で利用状況を確認していく……とはいえすべての項目を取り上げるのは雑多に過ぎるので、「ネットで情報収集・ショッピング(実質的にパソコン利用)」「携帯電話で情報収集・ショッピング」「いずれも使わず」の3項目に絞ることにする。

↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)(年齢階層別、「ネットで情報収集・ショッピング」回答率)
↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)(年齢階層別、「ネットで情報収集・ショッピング」回答率)

まずはパソコンによる情報収集、ショッピング。要は多様なネット活用。情報先進国ともいえるスウェーデンでは60代で約2/3と高率を示し、70代に入っても過半数を維持。80代でも1割を優に超えている。アメリカ合衆国ですら70代までで4割台に留まっているのと比較すると、スウェーデンの気合いの入り方を改めて実感できる。

ドイツは上記にある通り、シニアの情報機器に対する姿勢はひかえめのようで低めの値。しかし日本は60代前半こそドイツより高いが、それ以上になるとすべて調査諸国中最低の値に留まっている。特に70代後半以降の利用率が低い。

↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)(年齢階層別、「携帯電話で情報収集・ショッピング」回答率)
↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)(年齢階層別、「携帯電話で情報収集・ショッピング」回答率)

日本のパソコン利用による値が低めなのは、多分に携帯電話で代替しているからでは、と思わせるのがこちらの値。スウェーデンの群を抜いた高さ、アメリカ合衆国の高めの値、ドイツの低さはパソコンと変わりがないが、日本はスウェーデン・アメリカ合衆国には及ばないものの、ドイツよりはかなり高めの値を示している。とはいえ、60代前半でも14.9%に留まっており、スウェーデンやアメリカ合衆国の3割前後と比べると半分程度でしかない。また60代後半以降は急激に値を落としているのも、両国との違いとして表れている。

↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)(年齢階層別、「いずれも使わず」回答率)
↑ 情報機器の利用状況(2015年、60歳以上、複数回答)(年齢階層別、「いずれも使わず」回答率)

最後は今回例示された選択肢をいずれも使わない人の割合。固定電話や手紙などによる連絡手段を用いることはありえるが、携帯電話もパソコンも、そしてFaxすらも使わないとする人たち。ドイツでは60代でもすでに2割前後と高い値を示しているのが意外といえば意外。それ以外では各国とも60代では低めの値だが、日本では60代後半で1割を超えている。

70代以降になると身体の衰えやこれまでの利用経験、新しい物事を覚えることからの逃避もあってか値は上昇していくが、アメリカ合衆国やスウェーデンでは歳を召しても「パソコンも携帯電話も使わない」とする人が、1割から2割程度に留まっているのは注目すべき動きに違いない。

日本は70代後半で3割を超え、80代に入ると過半数となる。



買い物弱者、過疎化、自動車運転の際の判断ミスや発症による事故、一人暮らし世帯問題など、高齢者と生活用品に係わる問題では、多分に情報機器を用いてサポートすべきだとの意見がある。要は、自らが買い物におもむくのが困難、ハイリスクであるのなら、商品を届けてもらえるインターネット通販を活用してもらうべきとするもの。

この考えは一理あるものの、仕組みを利用するのには情報機器の利便性を理解し、利用方法を習得してもらう必要がある。これだけ大勢の人が「いずれも使わず」としている現状を見るに、積極的な施策、特に利用によりどれだけ便利になるかの啓蒙が求められよう。


■関連記事:
【高齢者はインターネットやスマホをどの程度活用したいと考えているのだろうか(2016年)(最新)】
【インターネットやスマホなどのICT、高齢者はどれほど利用しているのか(2016年)(最新)】
【シニア層増加継続中…年齢階層別インターネット利用率をグラフ化してみる(2015年)(最新)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー