日本の家計資産残高は増加、1741兆円に…日米家計資産推移(2015年Q4分)

2016/04/06 12:00

日本銀行は2016年4月5日付で、2015年第4四半期(10-12月、Q4)の「資金循環の日米比較」レポートを公開した。その内容によれば日本では「現金・預金」「投資信託」「株式・出資金」「保険・年金」の額が増え、「債券」などの額が減り、金融資産総額は増加し1741兆円となった。高い貯蓄性向は継続されており、日本の「現金・預金」比率は相変わらず5割を超えている(【日本銀行:資金循環リリース掲載ページ】)。

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日米の金融資産への考え方が顕著に分かる資産分布


今リリースは日本銀行が年4回定期的に「資金循環の日米欧比較」の速報値として発表している。当サイトでは2009年6月掲載、2009年Q1分から定期更新の形で各データをグラフ化し、状況に関して精査を行っている。今回は2016年4月5日に発表された最新版公開値(2015年Q4分)に基づいたものとなる。

まずは直近となる2015年第4四半期(Q4)時点での、日米、そして参考値としてユーロエリアでの家計に関する資産構成比率。日本が「現金・預金」で半数超えと大きく傾倒している一方で、アメリカ合衆国が「株式・出資金」や「投資信託」さらには「債券」を大量に保有している図式はこれまで通り。リスクを許容し投資を重視し成果に期待するアメリカ合衆国、確実性に重点を置く日本と、両国の貯蓄性向、金融資産への考え方の違いがそのまま数字に表れている。また日本で「現金・預金」が多いのは、主に高齢者による貯蓄性向の表れでもある。

↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2015年Q4)
↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2015年Q4)

3国・地域とも「保険・年金準備金」の比率はほぼ同じ(いくぶん日本が少ないが)。一方で”「現金・預金」”と”「債券」「投資信託」「株式・出資金」で構成される有価証券”の保有比率が、ユーロ圏は日米の中間にあるのが興味深い。バランスの観点では、日本は現預金過多、アメリカ合衆国はリスク商品が多め。ユーロエリアのバランスが一番リスク分散の上では優れている。

「現金第一」は以前から…日本の家計金融資産


これを定例のフォーマットに従い日米別に、その推移をグラフ化して状況を精査する。まずは日本について、構成比率と絶対額の推移を確認する。なお日本に関しては2009年Q1以降は四半期単位だが、それ以前は大よそ1年単位でしか値を取得できなかったため、両者をまたぐグラフの場合、期間の仕切り分けの幅が異なることに注意されたい。

↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2015年Q4)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2015年Q4)

↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(直近5年間)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(直近5年間)

↑ 日本の家計金融資産構成推移(1997年-2015年Q4)(兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(1997年-2015年Q4)(兆円)

↑ 日本の家計金融資産構成推移(直近5年間)(兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(直近5年間)(兆円)

大きな変化として目に留まるのは、2008年前後で「現金・預金」の比率が伸びていること。約5%ポイントの増加が見られる。貯金額そのものが増えたのも多少の影響はあるが、それ以上に株価の低迷を起因としていると考えられる。つまり絶対額の増加は影響が小さく、他の要素が減って相対的に「現金・預金」比率が上がったと考えた方が道理は通る。その上損切り(有価証券などについてこれ以上の価格下落によるさらなる損失可能性を避けるため、売却損を覚悟して売り、現金化する)による「株式・出資金」から「現金・預金」へのシフトも多分にある。

「株式・出資金」の比率だけでなく、額そのものが同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きは裏付けられる。2007年夏に始まる金融危機、株価下落は、家計の金融資産にも大きな影響をもたらしたことになる。

今2015年Q4期では「現金・預金」「投資信託」「株式・出資金」「保険・年金準備金」共に額面を増加させ、「債券」が減少している。前四半期の中国における市場暴落「チャイナ・クライシス」をきっかけにした大きな株価下落からの回復感がうかがえる。ただし「株式・出資金」の額面はまだ本戻りでは無く、2015年Q1からQ2の水準にははるかに及ばない。

中期的には増加継続中の米家計金融資産


一方アメリカ合衆国。同国のデータは2008年Q4からは四半期単位で取得できているが、それ以前は大よそ年ベース。その期間をまたいだグラフでは、前後で期間の仕切りが異なることに注意してほしい。

↑ 米家計金融資産構成比率推移(2006年Q1-2015年Q4)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2006年Q1-2015年Q4)

↑ 米家計金融資産構成比率推移(直近5年間)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(直近5年間)

↑ 米家計金融資産構成額推移(2006年Q1-2015年Q4)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2006年Q1-2015年Q4)(兆ドル)

↑ 米家計金融資産構成額推移(直近5年間)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(直近5年間)(兆ドル)

アメリカの該当期における株価動向は、大よそ上昇の後は高値圏で横ばいの動き。年末にかけてやや落ちる形となっている。その影響もあり、「投資信託」「株式・出資金」は上昇、「債券」は減少を示している。他方、「現金・預金」も増加しており、全体的な経済面での堅調さが見受けられる。

資産総額は70.3兆ドル。前四半期からは総額を上げている。



家計金融資産の総額は2015年Q4時点で日本が1741兆円、アメリカが70.3兆ドル。これはそれぞれ直近前四半期から(日本)プラス3.38%・(アメリカ)プラス2.03%の変移。やはり両国とも「チャイナ・クライシス」による影響が大きく出た前四半期から持ち直す形となった。

今回取り上げた直近期以降の動向としては、その「チャイナ・クライシス」リターン的な感で年明けから大きく株価は下落。原油価格も不安定感は否めず、相場全体がゆるやかな軟調さの中に沈み込む雰囲気を見せている。今年はアメリカ合衆国における大統領選挙があるため、株価の上昇も期待できたが、現時点ではその動きも無い。

次回発表予定の2016年Q1分では、金融資産はどのような動きを示すのだろうか。引き続き精査を行いたい。


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