紙の新聞は今なお最大の利用率ではあるが…米国新聞事情(SNM2016版)

2016/07/01 05:05

インターネットの普及浸透に伴い、情報取得手段が桁違いに増え、ニュースを確認する手段としての新聞の立ち位置は、相対的に低下しつつある。紙媒体の新聞を構成するニュース記事はウェブ上にもさまざまな形で配信されることで、新聞の威厳は保たれ続けているが、その状況変化は時代の流れ、情報の価値観の変化を覚えさせるものがある。今回はアメリカの調査機関である【Pew Research Center】が2016年6月15日に発表した、同国のニュースメディアの動向と展望に関する報告書【State of the News Media 2016】を基に、同国の新聞事情をいくつかの指標から確認していくことにする。

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冒頭でも触れたように、新聞社の大部分は紙媒体による新聞の発行を主事業としている。一方で記事を載せる媒体が増えたことにより、ウェブ上にも同様の記事を載せ、広報ツールとして用いたり、広告収入を得たり、有料で閲読させることによる料金徴収を行い、売上を計上している。

次に示すのは2014年から2015年において、アメリカ合衆国の大人(18歳以上)のうち媒体を問わず新聞を読む人における、その新聞の閲読手法の内容を確認したもの。例えば2015年で「紙のみ」は51%であることから、同国の大人で新聞を読む人のうち51%は、パソコンやモバイル端末では新聞を読まず、紙の新聞のみを読んでいることになる。なお「新聞を読む」とはあくまでも新聞社発行の記事を読んでいると回答者が認識したもの。ソーシャルメディア経由などの場合は該当しない。

↑ 新聞記事を読む人の購読媒体(米、2014−2015年))
↑ 新聞記事を読む人の購読媒体(米、2014−2015年)

パソコンやスマートフォンが浸透している現状でも、紙でのみ新聞を閲覧する人は5割に達している。一方で経年変化は2年分しかないためぶれの可能性はあるが、確実に紙のみの人は減っている。

次に回答率として多いのは、紙とパソコンとモバイルで、これが14%。前年からは2%ポイントの増加。パソコンが使える環境を有しているならば、操作性や画面の大きさなどからスマートフォンなどのモバイル機器よりもパソコンで読む方が便利には違いなく、場面で使い分けているのだろう。

その次は紙とパソコンで11%。上記の通り、回答者が「新聞を読んでいる」と認識しなければ回答には含まれないことから、スマートフォンなどでは新聞社のウェブやアプリを利用するのではなく、ソーシャルメディアやポータルサイトのニュースを読んでいるのかもしれない。

紙媒体の新聞のみの閲読者比率は減っているが、新聞の発行部数はもっと大きな勢いで減っている。

↑ 新聞発行部数前年比(紙媒体、米)
↑ 新聞発行部数前年比(紙媒体、米)

元々新聞の軟調さは昔からのものだったが、経済的な情勢としての金融危機、リーマンショックと、スマートフォンの普及浸透がほぼ同時系列で生じ、2007年以降はダイナミックな減少ぶりを示す形となった。その後は軟調ぶりも穏やかなものとなり、2012年から2013年にかけては前年比でプラスを計上。当時は「紙媒体の新聞業界が復調を見せた」などと話題にも登ったものだが、2014年には再び失速。2015年も下落基調は続いており、2012年からの復調は一時的なリバウンド、調整的な動きに過ぎなかったようだ。

この紙媒体の新聞発行部数の減退を見るに、今後も「紙のみ」の新聞利用者は減り、パソコンやモバイル端末のみり利用者が増加していくことは容易に想像ができる(あるいは原因と結果が逆かもしれない)。その過程で、紙媒体とパソコンやモバイルを併用する人も増加を示すものと考えられる。

実際、ウェブ上で展開される新聞の利用者数は増加の動きを示している。しかし単なる増加では無く、パソコンからモバイルへのシフトを経ながらの増加となっている。

↑ 米上位50新聞社による2014年から2015年における動向(50社中の社数)
↑ 米上位50新聞社による2014年から2015年における動向(50社中の社数)

モバイルの利用者は大幅増なのに対し、パソコンの利用者は減っている社数の方が多い。しかし一方で、モバイル利用者の訪問者辺りの閲覧時間は減少しているが、パソコン利用者のそれは増加の動きを示している。

それぞれのクロス回答が無いので推測の域を出ないが、モバイルによる新聞ニュースの閲覧者が増加していることに違いは無いものの、増加した分の少なからずは短い時間でニュースを取得したい層だったことが考えられる。もちろん元からモバイルのニュース閲覧者も、情報取得の選択肢増加に伴い、新聞社からのニュース取得への時間を減らしたい思惑もある。他方、パソコン経由の新聞ニュース閲覧者は、モバイルと比べると長時間の閲覧に耐えられる、というよりはじっくりと読みたい人が使い続けているため、残った人全体における閲覧時間が伸びているものとすれば、道理は通る。



スマートフォンの普及に伴い、情報は短く簡潔に、それこそつまみ食い的な取得ができる分量の成形によるものへの需要が増えているとの調査結果が複数挙げられている。情報を取得する手段が増え、目の前のたくさんの情報について好奇心のままにどれもこれも手をつけたい、でも時間も集中力も限りがあるので、とにかく少しずつ味見をしたいといったところだろう。また、そのつまみ食い的な情報取得をより効果的に行うためには、新聞社単位でのサイトやアプリ閲覧よりは、ソーシャルメディアやポータルサイトでまとめて取得した方が良い。時間や労力の節約になる。

新聞社配信の記事に限っても、取得手段が紙媒体からパソコン、スマートフォンへとシフトが進んでいる。それぞれの長所を求めて、既存のツールを利用し続ける人は多分に居るだろうが、今後も紙媒体の利用者は減り、長文をじっくりと読むパソコン経由の利用者も漸減し、さくっと斜め読みできるモバイル系のニュース取得を中心にする人が増えていくに違いない。


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