2015年9月の熱中症での病院搬送者は1424人、年積算では高齢者が初の過半数を記録

2015/10/17 12:00

総務省消防庁は2015年10月16日付で、同年9月及び5月から9月までの積算による熱中症を起因とした全国の救急搬送の状況(確定値)を発表した。それによれば同年9月における熱中症による救急搬送者は1424人となった。前年の同月の値である1824人と比較すると、400人の減少となる。また5月から9月までの積算による搬送者数は5万5852人となり、過去の値と比較可能な6月から9月の積算値としては5万2948人を計上、2010年以降では2013年の5万8729人、2010年の5万6119人に続く3番目に多い年となった。一方、搬送者の年齢階層別では比率算出が可能な2008年以降でははじめて高齢者(65歳以上)の値が半数を超えて50.2%となった(【消防庁:発表リリース一覧ページ】)。

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今年の9月は東西日本では上旬に前線や低気圧の影響で曇りや雨の日が多く、中旬には大陸から冷涼な空気が流れ込んだ影響で低かったことなどから、熱中症による搬送者数は前年比で大きく減少した。もっとも消防庁側では10月に入っても一部地域では真夏日(一日の最高気温が30度以上)を観測する日もありうることから、熱中症への警戒が引き続き必要であるとしている。

今回の発表によれば、2015年9月の全国における熱中症による救急搬送人員は1424人。昨年2015年は1824人、よって22%もの減少となる。

↑ 熱中症搬送人員(2008-2015年、各9月、人)
↑ 熱中症搬送人員(2008-2015年、各9月、人)

↑ 熱中症搬送人員(2008-2015年、各9月、人数比)
↑ 熱中症搬送人員(2008-2015年、各9月、人数比)

昨年同時期と比べると新生児・乳幼児では増加しているが、これは元々絶対数が少ないのが原因によるぶれで、人数そのものは1人の増加でしかない。他方それ以外は全階層で減少しているものの、高齢者の減少ぶりは他階層と比べて少なめとなっている。高齢者の人数そのものが増加の一途をたどっており、気候状況によるリスクの軽減が生じても、母数が増えていることで減少度合いがおとなしめになってしまった結果による。

搬送時の初診傷病程度は次の通り。人数は重症区分で変わらず、それ以外は減少。死亡事例はマイナス66.7%と大きな減少比率だが、これは前年3件から1件に減った結果によるもので、絶対数が少ないがためのぶれによるもの。患者の発生数そのものの減少だけでなく、発生・状況確認時の症状の軽減もまた、熱中症対策の上では求められる要素であり、今後も中長期的な視点から、油断することなく早期発見・早期対策が求められる。

↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2008-2015年、各9月、人)
↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2008-2015年、各9月、人)

↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2008-2015年、各9月、人数比)
↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2008-2015年、各9月、人数比)

ちなみに各症状の具体的内容は次の通りとなる。

軽症:入院を必要としない程度

中等症:重症または軽症以外の病状

重症:3週間の入院加療を必要とするもの以上

死亡:医師の初診時に死亡が確認されたもの

「軽症」と「重症」の容体を比較した上で勘案すると、「中等症」とは「3週間未満の入院を必要とするもの」と判断できる。つまり「重症ほどではないが、搬送時には相当状態が悪化しており、入院措置が必要な状況」。本人の無理がたたった、または他に誰もいない環境下で気を失い、第三者による発見が遅れたことが想定できる。見方を変えると2015年9月の該当期日においては、ほぼ7割の熱中症による救急搬送者は入院をせずに済んだことになる。

自分自身への注意を怠りなくするのと共に、異常を感じたらすぐに水分補給、涼しい場所への移動、楽になる姿勢を保つなど各種対応を行うのは常識論のレベル。それと同時に身の回りに体力の不安な人(療養中や病症で通院中の人)、身体の衰え(老化)などの理由から適切な反応が期待できない人が居る時には、積極的に声をかけるなどして、熱中症の発生を極力防ぐ姿勢を望みたい。

なお今回の確定報により、2015年5月1日から9月30日における搬送者数総計は5万5852人となった(6月以降の観測値が計上されているのは2010年以降、5月分は2015年から)。

↑ 夏期熱中症救急搬送人員(2010-2015年)(各年6月-9月の累計)
↑ 夏期熱中症救急搬送人員(2010-2015年)(各年6月-9月の累計)

また、2008年以降観測調査が行われている消防庁の熱中症搬送者に関する計測値で、各年の搬送者を年齢階層別に仕切り分けし、その比率を算出したのが次のグラフ。毎年高齢者の比率が増加しており、冒頭で言及の通り、今年初めて高齢者の割合が5割を超える形となった。

↑ 熱中症搬送人員(2008-2015年、各6-9月、人数比)(2008年・2009年は6月分欠)
↑ 熱中症搬送人員(2008-2015年、各6-9月、人数比)(2008年・2009年は6月分欠)

今件について報告書でも特記事項として「平成20年の調査開始以降初めて高齢者の割合が50%を超えました」との言及が成されている。高齢者人口、全人口比が増加している以上、高齢者の搬送者数・比率が増加するのはものの道理ではあるが、高齢者は元々高リスク者であることも合わせ、搬送時の傷病度も重度の場合が多いため、より大きな注意を払う必要がある。今後はさまざまな方面から、これまで以上に高齢者の熱中症リスクへの対策が求められよう。

熱中症への対策は、多分に身体の健康管理そのものにもつながる話。来年以降も今年までの経験、情報を有効に活かし、体調全般を管理する視線で自分の、そして周囲の体を気遣い、その中で熱中症に対する注意と配慮をしてほしいものである。


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