寒気流入で気温低下、搬送者も半減…熱中症による搬送者数は1週間で454人(2016年5月30日-6月5日)

2016/06/07 10:00

総務省消防庁は2016年6月7日、同年5月30日から6月5日の一週間における熱中症搬送人数が454人(速報値)であることを発表した。これで消防庁が掌握している今年の累計搬送人数は3205人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では幸いにもゼロだったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は9人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)

今夏の電力事情に関する政府による決定を元にした精査記事【震災後初の節電要請そのものの見送り……2016年夏の電力需給対策内容正式発表】などで解説の通り、今年夏は震災後初めて、法的拘束力のある電力使用制限令、数字目標のある節電要請、さらに去年夏のような数字目標無しの節電要請ですら行われないこととなった。十分な節電意識を持ち続けると共に、その実行は欠かせないが、特別な体制で臨む必要はないとの判断である。しかし震災から5年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また春前に気象庁が発表していた夏季予報では、北陸・東海・関東甲信地域でやや高め、近畿・中国・四国・九州では高めの気温となる可能性が高いとの観測が成されていた(【季節予報(夏 6-8月)(2016年2月24日発表、気象庁)】)。降水量が全国的に多めになるとの予報も同時に出ていたのは幸いだったが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないのも事実。またここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

そこで消防庁では【今年も消防庁の熱中症の情報は5月から提供開始】にある通り、昨年同様今年も熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

なお現時点では最新の長期予報として【季節予報(夏 6-8月)(2016年5月25日発表、気象庁)】)が開示されているが、それによれば全国的に気温は高く、特に西日本や沖縄・奄美で高め、降水量は北・東・西日本で(つまり沖縄・奄美以外で)平年並みか多い見込みが出ている。

今回発表された各種値は今年の分としては第6週目のものとなる。公開直近分の値は速報値であり、今後逐次修正暫定値、そして確定値に切り替えられることになる(暫定値、確定値は速報値よりもいくぶんの増加がなされることが多い)。

今回計測週では週頭は気温が西高東低状態となり、特に東日本から北日本にかけては強い寒気が流れ込むなど不安定な気象状況となった。6月2日には北海道の一部で雪が観測され、多くの人を驚かせている。関東甲信地方では少雨が続いているとして気象庁から気象情報が発表され、今後しばらくは雨とは無縁な状態が続きそうな予見を覚えさせる一方、九州と北海道では雨模様が続いた。また週末にかけて相次ぎ梅雨入りが発表され、5日までには関東甲信以南で梅雨入りに。これに合わせてお湿りが各所で見られ、気温も安定する形となっている。


↑ 北海道では6月に入ったにも関わらず降雪が観測された。【直接リンクはこちら:北見峠で6月の雪 北海道の季節逆戻り(2016/06/02)北海道新聞】

昨年気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.284(2016年4月)(5月12日発表)】によれば、春の間には終息している可能性が高く、その場合は夏に平常化、むしろラニーニャ現象(発生しても平均気温や降水量に変化はない)が発生する可能性が多分にあるとしている。

地域別では高気温が観測された沖縄でずば抜けて多い値を示しているが、それ以外では大よそ人口の多い地域で多数の搬送者が計上されている。なお一部地域で雪が観測された北海道でも、4人が熱中症により救急搬送されており、気温が低下した中でも油断は禁物であることが改めて認識できる。

↑ 東京都の最高気温と天候(2016年5月30日-6月5日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2016年5月30日-6月5日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年5月30日-6月5日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年5月30日-6月5日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年5月30日-6月5日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年5月30日-6月5日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月25日から開始している(昨年は5月13日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

搬送者数を昨年の同時期に当たる2015年5月30日から6月5日の搬送者(919人、確定報)と比較すると、搬送者数は半分ほどにまで減っている。減少は多分に昨年と比べて気温が低かったことによるもので、昨年の各地域ごとの搬送者数と比較すると、東京都、埼玉、神奈川、愛知、大阪など人口密集地帯で前年と比べると大きく値が減退しており(例えば昨年の東京は65人、今年は25人)、沖縄ですら前年と比べると2人少ない。

電力需給の観点では新電力への離脱による恩恵を除けば、昨年の状況から進歩があまり見られないのが残念な話。電気代の生活費への負担が増すと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる。また【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話などもあり、人口構成比・絶対人数で増加を続ける高齢者による冷房忌避の傾向を考慮すると、今後熱中症による社会全体のリスクはさらに増加するものと考えられる。

なおまだ梅雨入りは関東甲信以南までだが、気温だけでなく湿度の高さも合わせ体調不良を引き起こす要因は多々あり、それと共に熱中症のリスクも高まりを見せていく。まだ6月だから、梅雨時だから、熱中症のことは心配無用と油断をすると、水分不足や体調不良などが生じ、それをきっかけとして、熱中症の症状が生じる可能性もある。

日取りの上では夏は先の話。しかしすでに熱中症に留意しなければならない(だからこその消防庁の搬送者速報も早期に開始されているのだが)。今後も知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も合わせ、健康管理に留意してほしいものである。


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