正規・非正規就業者数の詳細をグラフ化してみる(2015年)

2015/06/12 11:00

日本の就業者(職員、従業員)の労働問題に関しては、正規・非正規の雇用形態による違いが大きくクローズアップされている。特に昨今では非正規就業者の増加にスポットライトが当てられ、物議がかもされている。そこで今回は、総務省統計局の労働力調査による公開データを基に、中期的な正規・非正規の状況変化について、具体的な数字を合わせ確認をしていくことにする(【労働力調査】)。

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男女・世代別非正規率動向


まず最初に精査を行うのは、男女それぞれ、さらには世代別の、非正規職員・従業者率。これは各世代の雇用者(役員を除く)数に対する、非正規職員・従業員者の割合を示したもの。15-24歳は学生も多分に含むため実態と幾分のずれが生じるが、長期データは就学中の者も含めた値しかなく、こちらを採用している。また、年ベースの値で比較する際に取得できる期間を長くするため、毎年第1四半期の平均値、2001年以前は(2月と8月のみ調査が行われているため)2月の値を適用している。

まずは男性。

↑ 世代別非正規職員・従業者率(役員を除いた雇用者数に対する比率)(男性)(四半期のうち、1-3月平均を取得。2001年以前は2月の値を取得)
↑ 世代別非正規職員・従業者率(役員を除いた雇用者数に対する比率)(男性)(四半期のうち、1-3月平均を取得。2001年以前は2月の値を取得)

↑ 世代別非正規職員・従業者率(2001年以降)(役員を除いた雇用者数に対する比率)(男性)(四半期のうち、1-3月平均を取得。2001年以前は2月の値を取得)
↑ 世代別非正規職員・従業者率(2001年以降)(役員を除いた雇用者数に対する比率)(男性)(四半期のうち、1-3月平均を取得。2001年以前は2月の値を取得)


若年層が高い値を示しているのは、一つに学生のアルバイトによるもの、そしてもう一つがいわゆるフリーターによるもの。実数を見ると、2015年時点では学生込みの15-24歳における非正規は108万人だが、就学中を除いた値は47万人にまで減る。実際には純粋なこの世代の非正規率は半分足らずと見て良いだろう(試算をすると2015年時点のこの世代の男性における、就学中を除いた場合の非正規率は28.1%となる)。

むしろ興味を引くのは高年齢層の高い値。65歳以上では実に70%を超している。これは定年退職後に勤め先にパートやアルバイト、嘱託や顧問として再雇用される場合や、ボランティア的な低賃金の就労に当たる場合が多いと考えられる。

続いて女性。

↑ 世代別非正規職員・従業者率(役員を除いた雇用者数に対する比率)(女性)(四半期のうち、1-3月平均を取得。2001年以前は2月の値を取得)
↑ 世代別非正規職員・従業者率(役員を除いた雇用者数に対する比率)(女性)(四半期のうち、1-3月平均を取得。2001年以前は2月の値を取得)

↑ 世代別非正規職員・従業者率(2001年以降)(役員を除いた雇用者数に対する比率)(女性)(四半期のうち、1-3月平均を取得。2001年以前は2月の値を取得)
↑ 世代別非正規職員・従業者率(2001年以降)(役員を除いた雇用者数に対する比率)(女性)(四半期のうち、1-3月平均を取得。2001年以前は2月の値を取得)

高年齢層が高いのは男性と同じで、理由もほぼ同じ。他方、中堅層も高い値を維持しているのは、子育てをしながら日中はパートやアルバイトに従事する、いわゆる兼業主婦をこなしているのが原因。兼業主婦率は漸増していることは別記事で記している通りだが、それと共に中堅層の非正規率も確実に上昇している。

正規・非正規の具体的人数を見ていくと……!?


以上は各世代・性別の就業者に占める正規・非正規の比率。次に示すのは、それぞれの絶対人数。正規・非正規の状況を把握するのには、非正規率そのものの増減と共に、重要な値ではある。

まず男性。総計、各世代別を一気に算出し、掲載する。

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(15-24歳)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(15-24歳)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(25-34歳)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(25-34歳)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(35-44歳)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(35-44歳)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(45-54歳)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(45-54歳)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(55-64歳)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(55-64歳)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(65歳以上)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(男性)(役員を除いた雇用者数)(65歳以上)

非正規就業者の数の増加、比率の増大が問題視されているのは事実。一つのきっかけが関連法案の改正にあったのも事実で、全体値ではそのきっかけ以降人数・比率共に増大しているのが確認できる。

ところが世代別に見ると、若年層では非正規の数はほぼ横ばい、良くて微増の範囲に留まり、正規が漸減し、就業者数全体が減り、結果として非正規の比率が大きく伸びている実態が分かる。一方中堅層では総就業数は横ばいか漸増、正規も横ばいかやや増、非正規は漸増となり、若年層とは状況を異にしている。

そしてもっとも大きな変化を示しているのが55歳以上の高齢者。特に65歳以上では正規の数はあまり変わらず(とはいえここ数年では微増の動きを示しているが)、非正規の数が大幅に増加し、この世代における就業者数がかさ上げされているのが分かる。この増加の原因は上記にある通り、定年退職を迎えた人たちが(元の職場に)再就職した事案によるところが大きい。

見方を変えれば社会全体として、若年層の雇用は抑えられ、特に正規が削られ、少しずつ非正規は増えていく。代わりに高齢層の非正規があてがわれていく。就業者の世代的な新陳代謝がスピードダウンすることを意味するが、この状況は以前【学歴・業種別などの若年労働者の変化をグラフ化してみる(2009年→2013年)(2014年)(最新)】でも指摘した内容を裏付けるものとなる。

続いて女性。女性は元々非正規の数・比率が大きいだけに、この「就業者の世代的な新陳代謝のスピードダウン」がより分かりやすい結果となっている。

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(15-24歳)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(15-24歳)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(25-34歳)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(25-34歳)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(35-44歳)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(35-44歳)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(45-54歳)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(45-54歳)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(55-64歳)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(55-64歳)

↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(65歳以上)
↑ 世代別正規職員・従業者と非正規樹職員・従業員数(万人)(女性)(役員を除いた雇用者数)(65歳以上)

非正規率が高めな以外は、男性と大きな違いは無い。若年層は漸減、中堅層は総就業者数が横ばいか漸増、正規も横ばいか漸減、非正規は漸増となり、比率も増大。そして高齢層は正規が横ばいで、非正規がグンと伸びる形となっている。



若年層の就業者数が減退している理由は、若年層の人数そのものが減っていること、そして大学への進学率が上昇しているのも一因。一方、上記の「学歴・業種別などの若年労働者の変化をグラフ化してみる」で指摘の通り、企業内の新陳代謝が遅れているのも大きな要因として挙げられる。満員電車ならば一度出た乗客がホームに足を踏み入れた直後に再び電車内に戻り、駅ホームの乗客が中に入れないような状態にある。そして高齢層の急激な非正規率・人数の増加。

昨今における就業者全体としての非正規率の上昇原因は、各世代における非正規数の増加・正規の減少が原因に違いはないが、多分に男女ならば女性、そして世代別ならば高齢層の非正規の増加によるところが大きいことが分かる。

ちなみに直近となる2015年における、非正規率は次の通り。本文中で触れている就学中を含む・含まないことによる差異を把握しやすいよう、15-24歳においては、在学中の人をのぞいた値も併記する。

↑ 世代別非正規職員・従業者率(役員を除いた雇用者数に対する比率)(男性)(2015年、四半期のうち、1-3月平均を取得)
↑ 世代別非正規職員・従業者率(役員を除いた雇用者数に対する比率)(男性)(2015年、四半期のうち、1-3月平均を取得)

↑ 世代別非正規職員・従業者率(役員を除いた雇用者数に対する比率)(女性)(2015年、四半期のうち、1-3月平均を取得)
↑ 世代別非正規職員・従業者率(役員を除いた雇用者数に対する比率)(女性)(2015年、四半期のうち、1-3月平均を取得)

なお今回は精査を略するが、そして以前に他記事で解説をしているが、ここ数年に限れば就業者数は漸増し、完全失業者数・率、非労働力人口は漸減の傾向にある。上記グラフでもこの数年において、若年層でも就業者数が増加しているのもその表れ。正規・非正規の問題は全体として見れば大きな要件に違いないが、表面的な部分だけにとらわれず、その中身、そして関連する各種動向も合わせ、考える必要があるのだろう。


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