各地で真夏日を観測し今年最多数値を記録…熱中症による搬送者数は1週間で877人(2016年5月23日-5月29日)

2016/05/31 11:00

総務省消防庁は2016年5月31日、同年5月23日から5月29日の一週間における熱中症搬送人数が877人(速報値)であることを発表した。これで消防庁が掌握している今年の累計搬送人数は2707人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では幸いにもゼロだったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は12人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)

今夏の電力事情に関する政府による決定を元にした精査記事【震災後初の節電要請そのものの見送り……2016年夏の電力需給対策内容正式発表】などで解説の通り、今年夏は震災後初めて、法的拘束力のある電力使用制限令、数字目標のある節電要請、さらに去年夏のような数字目標無しの節電要請ですら行われないこととなった。十分な節電意識を持ち続けると共に、その実行は欠かせないが、特別な体制で臨む必要はないとの判断である。しかし震災から5年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また春前に気象庁が発表していた夏季予報では、北陸・東海・関東甲信地域でやや高め、近畿・中国・四国・九州では高めの気温となる可能性が高いとの観測が成されていた(【季節予報(夏 6-8月)(2016年2月24日発表、気象庁)】)。降水量が全国的に多めになるとの予報も同時に出ていたのは幸いだったが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないのも事実。またここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

そこで消防庁では【今年も消防庁の熱中症の情報は5月から提供開始】にある通り、昨年同様今年も熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

なお現時点では最新の長期予報として【季節予報(夏 6-8月)(2016年5月25日発表、気象庁)】)が開示されているが、それによれば全国的に気温は高く、特に西日本や沖縄・奄美で高め、降水量は北・東・西日本で(つまり沖縄・奄美以外で)平年並みか多い見込みが出ている。

今回発表された各種値は今年の分としては第5週目のものとなる。公開直近分の値は速報値であり、今後逐次修正暫定値、そして確定値に切り替えられることになる(暫定値、確定値は速報値よりもいくぶんの増加がなされることが多い)。

今回計測週は前週末から続く季節外れの暑さが続き、関東地方でも光化学スモッグに係わる気象情報が発表された。また23日には東京・大阪共に30度を超え、今件記事においては今年初の真夏日(日中気温が30度以上)を観測することに。24日以降は気温も落ち着いたものの湿度が高く、熱中症リスクは高いまま。他方、四国や北日本を中心に雨が降るなど涼しさを感じさせる空模様となるに連れ、気温も落ち着き、大阪では5月17日以来続いていた夏日(日中温度が25度以上)の記録が28日に途切れる形となった。そろそろ沖縄・奄美地方以外にも梅雨の足音が聞こえてきそうな気象状況ではある。


↑ 週初めの高温を知らせるニュース映像。【直接リンクはこちら:ほぼ真夏・・・熱中症急増 巣鴨は例大祭で熱気(16/05/24) 】

昨年気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.284(2016年4月)(5月12日発表)】によれば、春の間には終息している可能性が高く、その場合は夏に平常化、むしろラニーニャ現象(発生しても平均気温や降水量に変化はない)が発生する可能性が多分にあるとしている。

地域別では東京の60人をはじめ、埼玉・沖縄の54人、大阪の51人など50人以上の地域が複数確認されている。地域性は特に気温と湿度が高かった沖縄を除けば際立ったものは無く、人口密集地帯で計上値が多い。

↑ 東京都の最高気温と天候(2016年5月23日-5月29日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2016年5月23日-5月29日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年5月23日-5月29日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年5月23日-5月29日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年5月23日-5月29日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年5月23日-5月29日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月25日から開始している(昨年は5月13日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

搬送者数を昨年の同時期に当たる2015年5月23日から5月29日の搬送者(980人、確定報)と比較すると、搬送者数は100人ほど減っている。昨年の各地域ごとの搬送者数と比較すると、東京都、埼玉、そして沖縄でずば抜けた多さが示されているが、その他の多くの地域では昨年より低い値に留まっている。とはいえ、5月の時点で単週でも1000人近くの搬送者が計上される状況は、憂慮すべきなのに違いはない。

電力需給の観点では新電力への離脱による恩恵を除けば、昨年の状況から進歩があまり見られないのが残念な話。電気代の生活費への負担が増すと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる。また【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話などもあり、人口構成比・絶対人数で増加を続ける高齢者による冷房忌避の傾向を考慮すると、今後熱中症による社会全体のリスクはさらに増加するものと考えられる。

なおまだ夏季どころか一部の地域でしか梅雨は到来していないが(現時点で梅雨入りをしているのは沖縄・奄美地方のみ)、気温だけでなく湿度の高さも合わせ体調不良を引き起こす要因は多々あり、それと共に熱中症のリスクも高まりを見せていく。ネット上の言及を見ても、気温が高い日には気分を悪くしたなどの語りと共に、多分に熱中症そのもの、あるいはそれに近い症状を訴えている人を見受けることができ、「この時期だからと熱中症をなめていた」との発言も少なくない。

日取りの上では夏はまだ先の話ではあるが、すでに熱中症に留意しなければならない時期にある(だからこその消防庁の搬送者速報も早期に開始されているのだが)。今後も知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も合わせ、健康管理に留意してほしいものである。


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