約40年に渡る学習塾の月謝推移をグラフ化してみる(2015年)

2015/05/15 14:00

先の記事【40年あまりの大学授業料の推移をグラフ化してみる】で総務省統計局における公開値【小売物価統計調査 調査結果】を元に、大学生の授業料負担に関する検証を行った。その際に「授業を行う側、教鞭を取る側の給与はいかなる推移を示しているのだろうか」と、視点を変えた疑問が生じることとなった。そこで今回は同じく「小売物価統計調査」を元に、教鞭を取る側の給与を推測できる値の一つ、学習塾の月謝についてその推移を確認していくことにする。

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40年近くで約3倍に上昇


グラフを生成・精査するデータの取得元は上記にある通り、総務省統計局の小売物価統計調査。今調査で現時点において、教鞭を取る側で時系列的なデータが収録されているのは直接的には皆無だが、今回取り上げる学習塾の月謝は取得可能となっている。ただしもっとも古い値は1976年のもので、調査対象が2013年4月以降とそれ以前では、

・2013年4月より前……学習塾。月謝。中学生を対象とした塾で2年生。学習内容が補習又は進学。学習科目3科目(英語,数学,国語)。週2回又は3回。

・2013年4月以降……学習塾。月謝。中学2年生。グループ指導。補習又は進学。学習科目5科目(英語、数学、国語、理科、社会)。週2日又は3日。

と大きく様変わりし、それに伴い月謝額も跳ね上がる形となっている。これは学習塾の状況変化に伴い、より一般的な対象を精査対象とするためのもの。学習塾も時代の流れに伴い、そのスタイルを変えているという次第。

ともあれ、次に示すのが学習塾の月謝推移。間接的に学習塾の講師における給与の動向も推し量れる。

↑ 学習塾の月謝推移(1976年-2015年)(円)(中学生)(2015年は直近月)
↑ 学習塾の月謝推移(1976年-2015年)(円)(中学生)(2015年は直近月)

やはり対象変更によりイレギュラー的な動きが生じてしまっているが、前世紀まではほぼ右肩上がりに上昇する一方で、今世紀に入ってからは横ばい、むしろ漸減する傾向にある。子供の人数の減退により、学習塾の経営も厳しくなり、差別化・競争激化が生じ、値上げがしにくくなったのだろうか。

ともあれ、1976年から基準変更直前の2012年までの間に塾の月謝はほぼ3倍、基準が変わってしまったが直近2015年との間には大よそ4倍もの差が生じている。塾の講師の給与も大体その程度の上昇が予想できる。

物価動向を勘案すると……?


続いてこの月謝動向に、消費者物価の変化を反映させてみる。物価が違えば同じ金額でも価値は変わることから、単純な金額比較で問題が生じる際の対策でもある。

具体的には各年の価格に、それぞれの年の消費者物価指数を反映させた値を試算する。【過去60年余にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】で用いた値を基に、直近2015年の値を基準値として、各年の価格を再計算した結果が次のグラフ。つまりそれぞれの年における物価が2015年と同じ水準との仮定のもとに、各年の具体的な値を換算した結果である。

↑ 学習塾の月謝推移(1976年-2015年)(円)(中学生)(2015年は直近月)(2015年の値を元に消費者物価指数を考慮)
↑ 学習塾の月謝推移(1976年-2015年)(円)(中学生)(2015年は直近月)(2015年の値を元に消費者物価指数を考慮)

やや上昇カーブがなだらかになるが、前世紀末までの上昇と、今世紀に入ってからの横ばい傾向に大きな変化はない。これは消費者物価そのものが1970年後半以降はあまり大きな動きを示さなかったのが原因である。むしろなかばデフレ的な状態を示す期間もあったほど。月謝を払う立場からすればありがたい話ではあるが、その月謝を資本に給与を受け取る講師の立場からすれば、頭の痛い話には違いない。

ちなみに中長期的推移を取得できないため今回精査からは除外したが、直近月における小学生の学習塾と高校生向けの予備校の授業料は次の通り。

↑ 学習塾月謝など(東京都区部、2015年4月、円)
↑ 学習塾月謝など(東京都区部、2015年4月、円)

予備校の授業料が一番高く、月額換算で5万円近く。小学生は4万2000円程度。中学生向けの学習塾が一番廉価となっている。

なお、本来「教鞭を取る側の手取り、給与」との観点では直接的な動きを知ることは、「小売物価統計調査」からはかなわなかった。これについては別ルートで、もう少し短い期間を対象にしたものではあるが、公的機関発表のデータを取得することができた。その実情については別の機会に精査を行うことにしよう。


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