50余年に渡る貯蓄額や年収、貯蓄の年収比の移り変わりをグラフ化してみる(2015年)

2015/05/22 11:00

家計内における貯蓄や負債の現状や動向を知るためのデータは官民問わず多数調査・公開されているが、その中でも重要視されているものの一つが、総務省統計局が定期的に調査・結果の公開を実施している家計調査報告。その「貯蓄・負債編」の直近年次分にあたる2014年分・速報値が、先日2015年5月19日に発表された。今回はこの値や過去のデータを基に、日本における長年に渡る、二人以上世帯の貯蓄額、年収の変移を確認していくことにする(【家計調査報告(貯蓄・負債編)-年平均結果速報-(二人以上の世帯)】)。

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今回グラフ化し精査する値のうち、2000年分までは「家計調査」の附帯調査として実施されていた「貯蓄動向調査」のものを参照している。それまでは「家計調査」そのものでは同様の調査は行われていなかった。「家計調査」へは1年の準備期間をおいた上で移行されたので、グラフでも2001年分が空いている。

さて、「貯蓄動向調査」分も合わせ、1959年以降の二人以上の世帯における「貯蓄現在高」と「年間収入」、さらには「貯蓄の年収比」(年収の何%分が貯蓄として備えられているか。失業などに備えるためには半年から3年分のたくわえが必要と言われている)の推移を示したのが次のグラフ。物価上昇と共に年収や貯蓄現在高が上昇しているだけでなく、貯蓄の年収比が少しずつ増えている。また、金額が分かりやすいよう、「家計調査」へ移行した2002年以降分について抽出したグラフを併記しておく。なお今調査は二人以上世帯(原則夫婦世帯)のみの対象であり、世帯全体、あるいは単身世帯の動向を推し量ることはできない。

↑ 貯蓄現在高及び年間収入の推移(二人以上の世帯)(-2014年)(2000年までは貯蓄動向調査による)
↑ 貯蓄現在高及び年間収入の推移(二人以上の世帯)(-2014年)(2000年までは貯蓄動向調査による)

↑ 貯蓄現在高及び年間収入の推移(二人以上の世帯)(2002年-2014年)
↑ 貯蓄現在高及び年間収入の推移(二人以上の世帯)(2002年-2014年)

1990年以降「年間年収」が横ばい、やや少しずつ減少しているのは【過去60年余にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】でも解説している通り、物価が横ばい、むしろ多少ながらも下がっていることも合わせ、日本の成長率が鈍化したのが主要因。

とりわけ「家計調査」に切り替わった2002年以降の減少は物価安定だけでなく、デフレの進行、さらには【日銀レポートによる「なぜ好景気でも賃金は上がらなかったのか」】などで解説した通り、多種多様な要因による結果である。

↑ 消費者物価指数推移(1950年-2015年)(1950年の値を1.00とした時、持家の帰属家賃を除く総合)(東京都区部)(2015年は4月時点までの平均値)(再録)
↑ 消費者物価指数推移(1950年-2015年)(1950年の値を1.00とした時、持家の帰属家賃を除く総合)(東京都区部)(2015年は4月時点までの平均値)(再録)

ただしここ数年は脱デフレ政策をはじめとした各種経済政策の転換に伴い、消費者物価指数の上昇と共に年間収入の減退に歯止めがかかる動きを示している。

一方、貯蓄「額」は横ばい。結果として貯蓄年収比は漸増の一途をたどっている。もっとも金融危機が発生した2007年から数年間は、貯蓄の切り崩しが起きたこともあり、額面そのものも減少している。

他方、今世紀に入ってから年収が下がり、あるいは横ばいな一方で平均貯蓄額や貯蓄率が上昇しているのは、定年退職(・再就職)者の全体数に占める比率の増加が大きな要因。該当世帯では貯蓄額が高い一方、年収は低い傾向がある。そして全体の平均値は回答世帯数の世帯主年齢階級別ウェイトがかかる。これは先行記事【世帯主の年齢別貯蓄総額分布をグラフ化してみる】でも挙げている。

↑ 貯蓄現在高及び年間収入(二人以上の世帯)(2014年、円)(世帯主年齢階級別)
↑ 貯蓄現在高及び年間収入(二人以上の世帯)(2014年、円)(世帯主年齢階級別)

↑ 世帯数割合(二人以上の世帯・勤労者及び勤労者以外世帯)(-2014年)(再録)
↑ 世帯数割合(二人以上の世帯・勤労者及び勤労者以外世帯)(-2014年)(再録)

直近の2014年に限れば、前年と比べて貯蓄額、貯蓄年収比で増加し、年収は減っている。これは直上で説明の通り、貯蓄額が大きく年収が低い高齢者が比率的に増加したことによるところが大きい。



参考までに最新の2014年分の値を挙げておくと、平均貯蓄額1798万円・平均年収614万円・平均貯蓄年収比は292.8%となっている。これらはあくまでも平均値であり、中央値では無い(直上にある通り、世代別で大きな差異が生じている。そして定年退職者などで多額の貯蓄をしている人が、平均値を引き上げている)が、参考値、または目標値として覚えておくことをお勧めする。


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