後半の気温上昇で搬送者数も急増…熱中症による搬送者数は1週間で459人(2016年5月9日-5月15日)

2016/05/17 11:00

総務省消防庁は2016年5月17日、同年5月9日から5月15日の一週間における熱中症搬送人数が459人(速報値)であることを発表した。これで消防庁が掌握している今年の累計搬送人数は1062人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では幸いにもゼロだったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は7人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)

今夏の電力事情に関する政府による決定を元にした精査記事【震災後初の節電要請そのものの見送り……2016年夏の電力需給対策内容正式発表】などで解説の通り、今年夏は震災後初めて、法的拘束力のある電力使用制限令、数字目標のある節電要請、さらに去年夏のような数字目標無しの節電要請ですら行われないこととなった。十分な節電意識を持ち、その実行は欠かせないが、特別な体制で臨む必要はないとの判断である。しかし震災から5年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また現時点で気象庁が発表している夏季予報では春先の時点で、北陸・東海・関東甲信地域でやや高め、近畿・中国・四国・九州では高めの気温となる可能性が高いとの話が出ていた(【季節予報(夏 6-8月)(2016年2月24日発表、気象庁)】)。降水量が全国的に多めになるとの予報も同時に出ているのは幸いだが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないことは言うまでもない。またここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

そこで消防庁では【今年も消防庁の熱中症の情報は5月から提供開始】にある通り、昨年同様今年も熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

今回発表された各種値は今年の分としては第3週目のものとなる。公開直近分の値は速報値であり、今後逐次修正暫定値、そして確定値に切り替えられることになる(暫定値、確定値は速報値よりもいくぶんの増加がなされることが多い)。

今回該当週はゴールデンウィーク開けに該当する。しばらく祝祭日が無く、憂鬱な日々が続く中での動向だが、低気圧の影響を受けて西日本を中心に週前半は天候が崩れ、首都圏でも雨の日もあるなど、穏やかな日々が続いた。また関東地方を中心に強風が吹き荒れ、各地で被害も報告されている。一方で沖縄では連続しての真夏日を記録するなど、熱中症リスクが高まる状態が続く形となった。そして週後半に入ると天候は回復し、各地で夏日を記録することとなった。5月13日には桜前線が根室に達するのと合わせ、春の終わりを感じさせる気象状況となっている。

また4月14日と16日の震度7の地震をはじめ、14日以降九州・熊本方面で大きな地震が相次いでおり、この地震による被災者に熱中症に関するリスクが懸念される事態が生じていることは言うまでもない。


↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内。【直接リンクはこちら:熊本市で初の真夏日 暑さが避難生活に影響(16/05/15) 】

昨年気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.284(2016年4月) 】によれば、春の間には終息している可能性が高く、その場合は夏に平常化、むしろラニーニャ現象(発生しても平均気温や降水量に変化はない)が発生する可能性が多分にあるとしている。

地域別では岡山県の32人をはじめ、東京都と愛知県の27人、沖縄県の23人、埼玉県の21人などが上位についている。天候・気温動向を見れば分かる通り、前半は悪天候で気温も低く搬送者はごく少数に留まったものの、後半に入ると晴れの日も増え、気温も上昇し、それに伴い搬送者が急激に増える動きが確認できる。東京では夏日(最高気温が25度以上)を3日、大阪では4日観測しており、多分に各地域でも搬送者が週後半に集中したことが予想される(都道府県別の日にちごとの搬送者数は非公開)。

↑ 東京都の最高気温と天候(2016年5月9日-5月15日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2016年5月9日-5月15日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年5月9日-5月15日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年5月9日-5月15日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年5月9日-5月15日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年5月9日-5月15日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月25日から開始している(昨年は5月13日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

搬送者数を昨年の同時期に当たる2015年5月9日から5月15日の搬送者(440人、確定報)と比較すると、昨年と今年の搬送者数はほとんど変わらない結果が出ている。大よその地域では前年と同様、むしろ少ない傾向が見受けられるが、一部地域(石川県、兵庫県、鹿児島県、岡山県)で昨年を大きく上回る値が出ており、これが全体数を引き上げる形となっている。岡山県の天候動向を確認すると、特に週後半で寒暖の差が激しい日が複数確認されており(例えば北部(津山)では5月14日の最低気温は12.6度、最高気温は27.5度)、これが体調不良、そして熱中症への引き金となったのだろう。

電力需給の観点では新電力への離脱による恩恵を除けば、昨年の状況から進歩があまり見られないのが残念な話。電気代の生活費への負担が増すと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる。また【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話などもあり、人口構成比・絶対人数で増加を続ける高齢者による冷房忌避の傾向を考慮すると、今後熱中症による社会全体のリスクはさらに増加するものと考えられる。

なおまだ夏季どころか一部の地域でしか梅雨は到来していないが、気温だけでなく湿度の高さも合わせ体調不良を引き起こす要因は多々あり、それと共に熱中症のリスクも高まりを見せていく。ネット上の言及を見ても、気温が高い日には気分を悪くしたなどの語りと共に、多分に熱中症そのもの、あるいはそれに近い症状を訴えている人を見受けることができ、「この時期だからと熱中症をなめていた」との発言も少なくない。

日取りの上では夏はまだ先の話ではあるが、すでに熱中症に留意しなければならない時期にある(だからこその消防庁の搬送者速報も早期に開始されているのだが)。今後も知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も合わせ、健康管理に留意してほしいものである。


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