パソコンの年収別普及率現状をグラフ化してみる(2015年)

2015/04/27 11:00

昨今ではインターネットへの窓口としてパソコンだけでなくスマートフォンやタブレット型端末も急速に利用者が増え、普及率を上昇させつつある。特に若年層では最初に触れるインターネット端末がスマートフォンとなる場合が多く、そのまま常用を続け、パソコンへの接触機会が学校の授業など最小限のものとなり、キーボードを使う場面が減っているのではないかとの話もよく見聞きする。そしてスマートフォンの普及・キーボード利用機会の少ない若年層の増加背景に、年収が少ない世帯ではパソコンを整備できず、代わりにスマートフォンを用いているとの説も呈されている。今回はそれらの話を検証する際に役立つであろう、世帯年収別のパソコンやスマートフォン、さらにはタブレット型端末の世帯年収別普及率などについて、内閣府が定期的に公開している調査結果【消費動向調査】を基に確認していくことにする。

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「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義についてはまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明されている。必要な場合はそちらを参照のこと。また今件では2013年までの回答では明確な定義はないものの、タブレット型端末は(回答者独自の判断により)いくぶんパソコン扱い(ノートパソコン系)されているものと考えられる。一方2014年以降は回答項目に「タブレット型端末」が新設されて、その誤認はなくなった。

今回は一般世帯(二人以上世帯)のみを検証対象とする。単身世帯と一般世帯では世帯年収の意味合いが大きく異なるのに加え、主に若年層のパソコンやスマートフォンの利用機会に関する動向を確認するのが目的であり、単身世帯で未成年者のケースは想定しにくいからである。

次に示すのは直近の2015年3月末時点における、世帯年収別パソコン、スマートフォン、タブレット型端末の普及率。一世帯に何台保有していても、あるかないかのみでの回答なので、100%を超えることは無い。

↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末世帯年収別普及率(2015年3月末)(一般世帯)
↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末世帯年収別普及率(2015年3月末)(一般世帯)

全ハードとも大よそ高年収ほど高普及率を示している。一方でパソコン・スマートフォン共に750万円程度で普及率がほぼ頭打ちになるのに対し、タブレット型端末は一様に上昇を続けている。これはひとえにタブレット型端末の普及率そのものがまだ低めなため。パソコンとスマートフォンの高年収における普及率の動きは、いわばカウンターストップ、上限に近付いたために頭打ち状態になったものと考えられる。見方を変えるとパソコンの世帯普及率は9割強、スマートフォンは8割強が、世帯普及率の上限と見て良いかもしれない。

いずれにせよ、上限値はあるものの、世帯年収によるパソコンやスマートフォンの普及率に違いは確実に存在する。もっともパソコンとスマートフォンの普及世帯がだぶっていることは多分にありえるため、「スマートフォンがパソコンの代替として用いられている」「スマートフォンがパソコンを取得できない世帯の代用品的立ち位置として存在する」などの立証は、今件データだけでは出来ない(そもそも消費動向調査でスマートフォン単独の調査項目が登場したのは、2014年3月末の年次調査が初めてであり、数年に渡る経年変化による精査は不可能)。

「保有世帯」における平均保有台数を確認すると、保有率とは異なり、年収が上になるほど一様に台数が増加しているのが分かる(ただしタブレット型端末は750万円クラスで頭打ちになる)。

↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末世帯年収別・保有世帯あたり平均保有台数(2015年3月末)(一般世帯)
↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末世帯年収別・保有世帯あたり平均保有台数(2015年3月末)(一般世帯)

この動きは年収と共に上昇する普及率は一定額で頭打ちになるが、それより上の年収でも世帯内で複数持ちの人が増え、平均保有台数は増えていくことを意味する。パソコン保有世帯に絞っても、300万円未満では1.34台なのに対し、1200万円以上では2.16台となり、ほぼ1台分の差が出ている次第である。世帯人数までの仕切り分けはしておらず精査は不可能だが、世帯台数が多ければ各世帯構成員がパソコンに触れる機会は増え、子供専用のパソコンが用意されている可能性も高くなる。

これらの数字を見るに、「パソコン、さらにはスマートフォンやタブレット型端末は世帯年収が高額になるほど普及率は高く、保有世帯における保有台数も多くなる」ことは確定事項と見なして良い。一方で「パソコンを持てない低所得世帯が、その代替端末としてスマートフォンを取得するようになった」との仮説を裏付けるまでには至らない。

ただし、これまでパソコンを所有していなかった世帯が、スマートフォンの所有ではじめてインターネットへのアクセス機会を得る事例は多分に考えられる。何しろ世帯年収区分で最低額の仕切りの層でも3割超えの世帯がスマートフォンを有しているのだから。



ちなみにパソコンの経年・世帯年収別普及率推移は次の通り。日本でスマートフォンが浸透し始めた2009年以降の動きを追っている。

↑ パソコン世帯年収別・普及率推移(一般世帯)
↑ パソコン世帯年収別・普及率推移(一般世帯)

本文にある通り「2013年まではタブレット型端末は多分にパソコン扱いで回答されている」こともあり、2014年における中堅世帯層以降の減少は、タブレット型端末の回答項目の独立による可能性がある。しかし一方で全体、そして中堅所得層や低所得層の一部で数年に渡る減退傾向が見られるのは注目したい。

さらに今件はあくまでも普及=所有率であり、新規購入率や常用率でないことから、たとえ利用度合いが減る、利用しなくなっても、過去にパソコンを購入・利用していれば回答者には該当しうる。まったく必要性を覚え無くなれば、現在所有のパソコンに関する普及率は、じわりと少しずつ、そして確実に減るようになる(廃棄や譲渡によって)。

あと数年、スマートフォンが単独調査対象項目になってからのデータを取得できるようになれば、「低年収層…ゼロからスマホへ」「高年収層…パソコンからスマホ(兼用)へ」の動きが確認できるようになるかもしれない。


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