カラーテレビの普及率現状をグラフ化してみる(2015年)

2015/04/27 08:00

配信される内容(テレビ番組)の質的劣化や競合メディアの浸透に伴う立ち位置の変化と連動性への模索、世代構造における高齢層の増加を受けての相対的なメディア力の持ち直しなど、周辺環境も合わせ目まぐるしい動きを見せるテレビ界隈。そのテレビの本体の浸透率を把握できる、公的機関による調査の一つとして挙げられるのが内閣府の【消費動向調査】。今回はこの調査結果を基に、多方面の切り口からテレビの普及状況を確認していくことにする。同調査結果をソースにした先行記事【年齢階層別のテレビ普及率をグラフ化してみる】と合わせて目を通されることをお勧めする。

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ブラウン管テレビ除外が影響を…


「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義についてはまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明されている。そちらで確認のこと。

また先行記事「年齢階層別のテレビ普及率をグラフ化してみる」でも触れている通り、該当項目では2013年までは薄型テレビとブラウン管テレビの双方を対象としていたものの、2014年からは薄型テレビのみを回答対象としており、ブラウン管は除外されることになった。これが過去のデータとの兼ね合わせの点で、小さからぬ影響を与えている。

まず直近2015年の全般的な世帯普及率だが、単身世帯は91.6%、一般世帯は97.5%。やや単身世帯が低めなものの、実質的には前者が9割、後者は10割近くと表現できる。

↑ テレビ世帯主性別普及率(2015年3月末)
↑ テレビ世帯主性別普及率(2015年3月末)

続いて「保有世帯の」平均保有台数。消費動向調査の公開データに収録されている「保有の有無を問わず全世帯での値」では無いので要注意。保有状況の把握としては、こちらの値の方が実態をイメージしやすい。

↑ カラーテレビ世帯主性別・保有世帯あたり平均保有台数(2015年3月末)
↑ カラーテレビ世帯主性別・保有世帯あたり平均保有台数(2015年3月末)

単身世帯はほぼ1.4台。視聴する人が一人なのにもかかわらずテレビが複数台あるのはおかしな話に思える。しかしリビングと自室(寝室)それぞれにテレビを配しているのかもしれない。

一方一般世帯では男性で2台を超え、女性も2台近い保有状況。世帯構成人数も多く(最低でも単身世帯の2倍)、部屋割も多数に及び、家族共通のテレビ以外に一部の個室にもテレビを配していることが考えられる。同じ部屋に複数台のテレビが置かれることは考えにくく、少なくとも2部屋にテレビがそれぞれ置かれている計算となる。「リビング」、そして「子供部屋、あるいは夫婦の部屋」が自然な状況として想定できよう。

世帯主の世代別ではどのような変化を見せるのか


続いて世代別保有率。性別とクロスしたデータと、男女合わせてではあるがより細かい世代区分のデータが取得できるので、双方をそれぞれグラフ化する。

↑ カラーテレビ世帯主性別・年齢階層別普及率(2015年3月末)
↑ カラーテレビ世帯主性別・年齢階層別普及率(2015年3月末)

↑ カラーテレビ世帯主年齢階層別普及率(2015年3月末)
↑ カラーテレビ世帯主年齢階層別普及率(2015年3月末)

各世代とも単身世帯より一般世帯の方が普及率は高い(女性・29歳以下・一般世帯が空欄なのは、該当対象世帯が統計有意値に満たなかったため)。この理由については上記の通り。また単身世帯では若年層ほど普及率が低い傾向にある。今流行の「若年層のテレビ離れ」との言葉が当てはまりそうな感もあるが、それでも8割前後の普及率では少々無理がある。もっとも今件はあくまでも普及=テレビ受信機保有率の話で、テレビ番組の視聴状況はまた別の話なのだが。

年収差では普及率にあまり変化は無し


世帯主年収別普及率では大きな変化は見られない。

↑ カラーテレビ世帯主年収別普及率数(2015年3月末)
↑ カラーテレビ世帯主年収別普及率数(2015年3月末)

前述の通りブラウン管テレビが回答範ちゅうから外されたため、いくぶん値が以前と比べて落ちてはいるものの、100%に近い状態に違いは無い。テレビ視聴は基本的に無料(初期投資以外に電気料金は必要。また、有料放送も無料では視聴できない)。そのため年収による普及率の差はほとんど見られない。多少の違いはあれど法則性は無く、また多い少ないも誤差レベル。「テレビは貧富の隔てなく楽しめる娯楽」「もっとも安価な大衆娯楽」との言葉に間違いはない。

なお単身世帯・1200万円以上の普及率が75.0%と低い値を示しているが、これは単に調査対象母集団世帯数が少ない(8世帯)ことで生じたぶれと考えた方が無難である。

時系列推移も確認


良い機会でもあるので、時系列的な推移も確認していく。まずは単身世帯・一般世帯の区分別による、時系列的な普及率推移。消費動向調査はかつて一般世帯のみを対象としており、単身世帯は別途「単身世帯消費動向調査」で調査が行われていた。そこで1998年以降の動向では、一部にその「単身世帯消費動向調査」の結果を用いている。

↑ 世帯種類別カラーテレビ普及率(単身世帯の一部は「単身世帯消費動向調査」から)(-2015年)
↑ 世帯種類別カラーテレビ普及率(単身世帯の一部は「単身世帯消費動向調査」から)(-2015年)

単身世帯の方が普及率は低い。これは昔も今も変わらず。そして一般世帯の普及率が高いまま推移する一方、単身世帯では多少の上下がありながらも、少しずつ値が減っているように見える。

また上記にある通り、ブラウン管テレビの除外に伴う普及率の急落だが、単身世帯の方が下落率が大きい。単身世帯ではブラウン管テレビから薄型テレビへの買換え率が低いと考えられる。外部周辺機器を使うなどでブラウン管テレビでも地デジ放送を視聴することは不可能ではないが、画質などの点であまり合理的ではない。一人暮らしだから我慢できる、同居人の反対も無いといったところだろうか。

ついで大まかな枠組みでの世代別。一般世帯は2005年以降のもののみ、単身世帯は先の「単身世帯消費動向調査」の値を用いて、1998年以降で生成する。

↑ カラーテレビ普及率(単身世帯)(一部は「単身世帯消費動向調査」から)(世帯主世代別)(-2015年)
↑ カラーテレビ普及率(単身世帯)(一部は「単身世帯消費動向調査」から)(世帯主世代別)(-2015年)

↑ カラーテレビ普及率(一般世帯)(世帯主世代別)(-2015年)
↑ カラーテレビ普及率(一般世帯)(世帯主世代別)(-2015年)

一般世帯が高いまま推移しているのはどの世代も変わらない。2013年に29歳以下が大きく落ちているが、これは調査対象母数が42世帯でしかなく、ぶれによるもの。そして2014年は上記の通りブラウン管テレビ除外のための下落だが、29歳以下は逆に上昇している。これはブラウン管テレビ除外によるマイナスの影響がほとんど無く、純粋な上昇の結果といえる。とはいえ該当回答者が46人のみであることから、こちらもまたぶれの可能性も否定できない。

ところが2015年では、前年の調査対象変更による下落から持ち直しを見せたのは30歳以降で、29歳以下は逆に減少傾向を示している。単年のみの動きでイレギュラーな可能性はあるが、2013年でも大きく下落をしていること、加えて直後に触れる単身世帯でも同じような下落傾向にあることから、「若者のテレビ離れ」的な状況が起きていることが想起される。

大きな変化が見えるのは単身世帯。2005年前後を境目に、29歳以下の層で明らかに低下傾向を示している。いわゆる「若者のテレビ離れ」の体現化だろう。「若者の(固定受信型)テレビ離れ(≒ワンセグの利用増加)」の可能性もゼロではないが、複数の携帯電話関連の機能利用調査の限りでは、動画視聴はともかくテレビ番組をワンセグ機能を用いて視聴する機会はさほどないことから、あまり影響は与えていないと考えた方が適切だろう。特に直近の2015年では前年比で6.8%ポイントもの下落を示しており、来年以降の動向が大いに注目される状況ではある。

なお2014年分のブラウン管テレビ除外の影響だが、一般世帯同様単身世帯でも、若年層がもっとも影響は少ない。そのため30歳未満の下げ幅がゆるやかなものとなり、30歳から59歳層との間で逆転現象が起きてしまった。しかし2015年では直上の通り29歳以下の下落は著しく、再びこれまで通りの序列に戻っている。来年以降もこの順番、さらには上昇・下落傾向が継続するのか、注目したいところだ。


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