2016年3月のたばこ販売本数はプラス10.3%、値上げ前の駆け込み需要で大幅増

2016/04/15 16:00

日本たばこ協会は2016年4月15日に同協会公式サイトにおいて、2016年3月の紙巻きたばこの販売実績を発表した。その発表データによれば2016年3月の紙巻きたばこの販売実績は165億本となり、前年同月比ではプラス10.3%となった。販売代金はプラス9.5%の3509億円を示している。今回月は翌月の2016年4月から主要銘柄が値上げされるために駆け込み需要が生じており、2015年6月以降9か月ぶりに本数・代金共に前年同月比でプラスが計上されることとなった(【日本たばこ協会:公式ページ・トピックス一覧】)。

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↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(本数・億本)(-2016年3月)
↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(本数・億本)(-2016年3月)

↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(販売代金・億円)(-2016年3月)
↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(販売代金・億円)(-2016年3月)

たばこの税率引き上げに伴う大幅なたばこの販売価格の値上げは、2010年10月に開始されている。それに先立つ形で同年9月には安値で買えるうちにまとめ買いをする人たちによる「駆け込み特需」が発生した。そして同年10月以降は価格の上昇による喫煙者の減少(値上げに伴う喫煙者の禁煙者化)、喫煙継続者の利用本数の減少に加え、値上げ前の特需による大幅な需要のぶり返し(安値の時に購入したたばこを劣化する前に消費するために、新品は買いひかえられる)もあり、販売本数・金額共に大きく減る状態がしばらく続いた。

さらに翌年2011年の3月には東日本大地震・震災が発生。それ以降はその影響、具体的には生産・輸送ラインの機能停止・稼働率低下、原材料の調達困難による生産数・種類調整で、販売本数は大きく減少している。他方販売金額は先の値上げ分が販売本数の減退をカバーする形でプラスを維持。時間の経過と共に、震災の直接被害と影響による損失からはほぼ回復を果たしたものの、2010年の値上げ、そして中期的な健康志向の高まりに伴う禁煙・減煙促進によって、販売本数は漸減状態を続けている。

2014年4月に実施された消費税率引上げに伴う実売価格のアップの際にも、直前の特需とその後の反動は多少ながらも生じている。今回月はその引き上げ後に生じた売上の特異的な減退の影響も無くなり、従来の動向に戻った月との比較となる。そして冒頭にもある通り、また【メビウスなどのたばこが4月1日から値上げへ】でも解説しているが、2016年4月からはメビウス35銘柄と旧3級品全6銘柄の値上げが成されるため(メビウスは430→440円、旧3級品はゴールデンバットがプラス50円、それ以外はプラス30円の値上げ)、それに向けた駆け込み需要が発生。結果として前年同月比では大きなプラスを計上する形となった。ちなみに本数の2年前同月比は(やはり消費税率改定に伴う値上げ直前の駆け込み需要による大幅増加との比較となることから)マイナス19.1%、代金はマイナス16.7%で、2年分の流れとしては「本数は減退状態、売上も減退」と表現できる。

日取りの上で前年同月と比較すると、日曜日・祝祭日数(土曜日は含まれない)は2016年では5日、2015年は6日。休みの日数は今年の方が1日少ない。つまり配達日数が1日少ないことになるため、日取りの上で本数は数%の減退が生じていると見ることができる。その影響があってなおプラスを計上していることから、値上げ前の特需がいかに大きかったかが分かる。

たばこは物価上昇や市場、その他各方面からの要請(例えば価格引き上げにより間接的なたばこ離れを誘うべきとの健康面での意見)に伴い、何度となく値上げされてきた。その値上げ後における販売数変移の傾向を、以前【値上げによる家計のたばこ支出金額推移への影響を過去二回分と合わせてグラフ化してみる】で検証している。

それによれば「(1)販売本数減の売り上げ面でのマイナス影響を打ち消すほど、値上げ分の売上増の影響が大きく、総売り上げは増加する」「(2)販売本数の減少幅は拡大し、値上げ分ではカバーしきれなくなる。売上も前年比プラスからマイナスに」とのパターンが確認できる。2010年10月の値上げは上げ幅が非常に大きく、必然的に販売本数の減少分を補う単価上昇分も大きいため、売上プラスの状態が長期化していた。

↑ たばこ税推移(円)(1本当たり)(従量税)(消費税含まず)(再録)
↑ たばこ税推移(円)(1本当たり)(従量税)(消費税含まず)(再録)

しかし2012年の6月以降は概して販売本数・販売代金共に前年同月比でマイナスを維持。時折プラスに転じる場面があっても長続きせず、再びマイナスに戻る動きを示している。現状ではほぼ「(2)」の段階に移行していた。

2014年4月の消費税率改定に伴う値上げ以降は、販売本数は前年同月でマイナスを維持し、さらに販売金額もマイナスのまま。「(1)」の行程を経ることなく「(2)」の状況が継続しており、価格改定直前の特需をのぞけば実質的に「(2)」の状態が維持されていたと判断できる動きといえる。

↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(販売本数、前年同月比)
↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(販売本数、前年同月比)

【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる】でも記している通り、コンビニでは売上全体に占めるたばこの比率は高い(2割強)。さらに来店時の「ついで買い」による相乗効果も期待できる。ところがたばこ販売実績の減退状態は継続しており、各コンビニとも代替品の模索と普及を急ピッチで続けている。

近頃大手コンビニでは相次ぎ「淹れたてコーヒー」を導入し、それと相性の良いドーナツを定番化しているが、それも代替品の一つ。また昨今では消費者の決済性向の変化に伴い、プリペイドカードを積極的に展開しており、こちらも「流れ」の一つになりつつある。フライヤー商品を中心とした(そして利益率の高い)各種作りたての惣菜を多数取り揃えることで、一人身世帯・主婦層のハートもつかみつつある。

高性能の情報端末の導入により、その端末経由で取引されるさまざまなチケットの売買も、生活拠点のコンビニとしての立ち位置を確かにし、金銭の流れを大きなものとしている。その上、従来では考えにくかった健康志向の食品も多数開発し、独自色を持たせた上でシリーズ化し、健康に強い関心を持つ層をも魅了しつつある。

なお過去において価格の値上げに伴う駆け込み需要が生じた場合、実際に値上げが生じてからは「値上げによる需要減退」「買い込んだたばこの消費が先行されることによる需要減退」の2つの要素により、販売実績は大きく落ち込んでいる。次回月となる2016年4月もまた、同じような大規模な下落が予想される。

今後も価格動向と共に、販売本数・販売代金の動きについて注意深く見守りたい。


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