客数減退でわずかに売り上げはマイナス…2016年3月度のコンビニ売上高は既存店が0.06%のマイナス、12か月ぶり

2016/04/21 11:00

日本フランチャイズチェーン協会は2016年4月20日に、コンビニエンスストアの同年3月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でマイナス0.06%となり、12か月ぶりのマイナスを示すこととなった。月内の気温変動が激しく来客数に影響が生じたものの、カウンター商材やお弁当、調理めんなどの中食の堅調ぶりは相変わらずで客単価を底上げし、客数の減退をカバーする形となり、売り上げ減は最小限に留まる形となっている(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は12か月ぶりのマイナス、全店は37か月連続のプラス
全店ベース……+2.9%
既存店ベース…−0.06%

●店舗数(前年同月比)
+2.7%

●来店客数:既存店は4か月ぶりのマイナス、全店は60か月連続のプラス
全店ベース……+2.4%
既存店ベース…−0.7%

●平均客単価:既存店は12か月連続のプラス、全店も12か月連続のプラス
全店ベース……+0.4%(615.7円)
既存店ベース…+0.6%(607.9円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……+0.7%
加工食品……+0.7%
非食品………−0.6%
サービス……−5.0%
合計…………−0.1%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

3月は上旬から中旬にかけて気温は高かったものの、下旬に向けて気温が低下し、天候上大きな変動があった。それの影響もあってか、来客数はマイナスに振れ、売上の足を引っ張る形となる。

他方、コーヒーをはじめとしたカウンター商材、お弁当や調理めんなど各種中食関連品などは良く売れており、客単価は底上げされている。先行記事のチェーンストアの月次業績報告でも中食系食材の堅調さが継続していることが伝えられており、中食需要の高まりを販売サイドからもうかがい知ることができる。

たばこや雑誌に絡んだ特記事項は見受けられず、前年同月と比べて特に大きく売り上げが落ちた、あるいは伸びた動きは無いようだ。もっとも2016年4月からたばこの主要銘柄の値上げが実施されており、たばこ協会の販売関連データでも同年3月に特需が発生したことが確認されている。その特需状態ですら、前年同月比で非食品がマイナス0.6%を計上する状況は、コンビニにおけるたばこの売上が相当収縮しているようすがうかがえる。前年同月(2015年3月)ではマイナス12.4%で、その反動があってなおマイナスを計上しているのも危機感を覚えさせる。

商品構成別の売上高(既存店ベース)の動向を確認すると、淹れたてコーヒーや惣菜の堅調ぶりで全体をけん引する日配食品はプラス0.7%、加工食品はプラス0.7%、非食品はマイナス0.6%となった。客数が既存店ベースでマイナス0.7%であることから、計算を単純化するためにシンプルにその分を考慮して考えると、日配食品や加工食品は実質面でも堅調な売り上げを伸ばしている、非食品はほぼ横ばいであると推定できる。またサービスはマイナス5.0%と比較的大きな下落が生じているが、これは前年同月ではプラス14.6%を計上しており、この反動によるところが大きい。2年分で試算をするとで約9%(年換算でプラス約4.3%)の伸びとなる。

2014年夏まではガソリン代の高騰が来店機運の足を引っ張り、集客の観点でマイナスに働いているのではとの懸念があった。昨今では原油価格の安値安定化に伴いガソリン代も安値で落ち着いており、その観点における心配は薄れている。一方でここ数年来懸念されていたたばこや雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止の状況にあるようで、報告書の言及にたばこや雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は見られなくなった。ただし雑誌はともかくたばこの減退ぶりは、非食品項目の軟調さから容易に想像はできる。

セブンカフェ&ドーナツかつてコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる】)。

たばこは機会あるたびに税負担の上乗せが論議されている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化はない。今年4月からは一部銘柄で、税引き上げとは無関係な値上げが実施されたため、販売数の減少はさらに加速する。一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうにないが、コンビニにおける同じ印刷物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2015年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも1000店舗をめどに書籍中心の専用棚設置が計画されており、今後非食品項目に影響を及ぼす可能性が出てきた。地域書店の閉店が相次ぐ中、うまく出版物の需要をコンビニがすくい取ることができるのか、注目したい動きではある。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツも良い例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。上記でも言及しているが、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしているようだ。

イレギュラー的要素によって生じた軟調な環境の中でも、堅調な売り上げを維持できる軸の模索も多方面で進められている。関連他業界を巻き込む形で、今後も多様な動きが見られそうだ。


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