1.1%ポイント前年同期から改善…大学生の2016年1月末時点での就職内定率は87.8%に

2016/03/19 05:00

厚生労働省は2016年3月18日、2015年度(平成27年度、2015年4月1日から2016年3月31日)における大学や短期大学、高等専門学校、専修学校の新卒者就職状況に関する最新調査結果を公開した。その発表資料によれば2016年2月1日(1月末)時点の大学卒業予定者の就職内定率(就職希望者に対する就職内定者の割合)は87.8%となり、昨年同時期と比べ1.1%ポイントの増加(改善)が見られたことが明らかになった(【発表リリース(平成27年度「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」)】)。また、同日発表された【平成27年度「高校・中学新卒者の求人・求職・内定状況」取りまとめ】によれば、高校新卒者の就職内定率は93.6%となり、昨年同期から0.8%ポイントの増加(改善)を示している。

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5年連続の改善で金融危機ぼっ発以前の最高値に近づく


公表された調査結果によると、2016年2月1日時点で大学の就職内定率は87.8%となり、前年同期の86.7%と比べて1.1%ポイントのプラスとなった。つまりそれだけ同じ時期における就職状況が改善したことになる。

↑ 中卒-大卒予定者の就職(内定)率(2016年1月末時点と2015年同時期)
↑ 中卒-大卒予定者の就職(内定)率(2016年1月末時点と2015年同時期)

短期大学の就職内定率は大学や高等専門学校と比較して低めに出てしまう。今回調査の就職内定率もそれに習う形で、いくぶんだが差が生じている。もっともこれでも前年同期と比べるとプラス7.9%ポイントと大幅な改善を示している。

前回(2015年12月1日時点)、前々回(2015年10月1日時点)の調査結果発表時点では一部属性で前年同期比にてマイナス値が出ていたり、プラス値を示した学校でもここ数年の伸び率と比べると明らかに低い上昇値が出ていたが、その主要因と考えられる解禁日(民間企業の大学・短期大学における学生の採用面接解禁時期)がこれまでの4月から8月へと大幅に後ろ倒しとなったことの影響は、ようやく今回発表時期に至り、薄れた、無くなった感はある。解禁日の変更で一時的な内定率の低迷が生じたことを受けて、経団連では選考開始のスケジュールについて、2016年からは6月に前倒しする旨の発表を行っており(【記者会見における榊原会長発言要旨(経団連、2015年11月9日)】)(現時点でこの発表からの変更発言は無し)、来年度は今年度のような、早期時点の低迷は改善されると思われる。

今年度分では初めて具体的数字が計上された中学新卒者の内定率は、前年同月と比べてマイナスを示している。求人数は増えているものの、求職者数が減っており、求人倍率も増加した上でのマイナスであることから、求職者が就職先をより熟考して選択中であるか、望みの好条件による求人案件が提示されていない可能性がある。単に雇用市場が悪化した結果としての内定率の低下ではなさそうだ。

国公立と私立大学、男女別で確認


このうち大学(国公立・私立の合計、個別)にスポットライトを当て、男女別にその動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 国公立・私立大の男女別就職(内定)率(2016年1月末時点と2015年同時期)
↑ 国公立・私立大の男女別就職(内定)率(2016年1月末時点と2015年同時期)

今グラフで対象とした区分において、前年同期比で上昇を示したのは大学全体の男女、国公立大女性、そして私立大男女。前回調査時点で大きなマイナス値を示した国公立大男性(マイナス1.9%ポイント)が、今回もマイナス値を計上しており、解禁日の影響は今なお国公立大男性に生じているようだ。

この数年においては、2月1日時点は男性よりも女性の方が内定率は高い傾向にある。私立ではその差を埋めるべく、男性の方が高い増加ポイントを見せたが、国公立大では女性がプラスで男性はマイナスとなり、逆に拡大する形となってしまっている。相変わらず国公立大学の男子学生の苦痛が数字からにじみ出てきそうな状況に違いはない。

中期的な内定率推移から就職戦線の動きを推し量る


厚生労働省が定期的に発表している今件就職(内定率)において、過去のデータを逐次抽出し、(金融危機ぼっ発直前からの動向を推し量るため)過去11年間における動向をグラフ化したのが次の図。リーマンショック後下げ続け、2011年3月卒分を底とし、それ以降は少しずつ回復基調にある状況が容易に把握できる。それだけに、2015年における解禁日の大幅後ろ倒しに伴い就活学生側に混乱が生じ、(2年前と比べればまだ上だが、)内定率の改善状況が一時的に足踏み状態となってしまったのは残念でならない。今回発表のタイミングではようやくその影響も薄れ、再び増加傾向を見せる形となったのは幸いである。

↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2016年2月1日)
↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2016年2月1日)

厚労省では2月1日時点における就職内定率は2000年3月卒業者の分から計上しているが、その領域内では最高値は2008年3月卒業者の88.7%。今回の87.8%はそれに次ぐ値となる。

大学生などの就職(内定)率は、その時の経済状態や企業の景気判断、とりわけその時点の景況感では無く、今後の見通し的なものと深い関係にある。現在景気が良くても、今後の見通しに不安があれば、わざわざ人材を増やしてリスクを底上げする酔狂さを持つ企業はさほど多くない。逆に企業の先行きが明るければ、それを見越して事業拡大を図るため、人材の追加確保に勤しむことになる。

つまり学生諸子の就職率を底上げし、安定化させるには、(非常に大雑把な話ではあるが)景気回復こそが一番の対策となる。それと共に安易な、大人側の一方的な思惑で人生設計を揺るがすような変更をスナック感覚で行うことなく、十分な思慮の上での決定が求められる。



冒頭にある通り、同日付で中学・高校卒業予定者の内定率も発表されている。高校新卒者の各種データは次の通り。

■高校新卒者
・就職内定率は93.6%。前年同期で0.8%ポイント増
・求人数は35.0万人。前年同期で12.0%増
・求職者数は17.5万人。前年同期で0.8%増
・就職(内定)者は16.4万人。前年同期で1.7%増

■中学新卒者
・就職内定率は34.2%。前年同期で2.6%ポイント減
・求人数は1548人。前年同期で4.9%増
・求職者数は880人。前年同期で7.4%減
・就職(内定)者は301人。前年同月で14.0%減。

高校新卒者では求人数が大きく増加する一方、求職者数(求職率)はそれに比べて低めの増加に留まっている。求人倍率も2.0倍となり、前年同期比で0.2ポイントと上昇を見せている。求職者にとっては好ましい環境下に違いない。もっとも求職者全員が内定をもらったわけでは無く、企業・求職者双方のマッチングを考えれば、さらなる状況改善に期待がかかる。ただしあまりにも求人倍率が上がりすぎると、今度は企業側の人材不足が深刻化してしまうので、そのバランス感覚が難しいのだが。

他方中学新卒者では求人数は増加し、求職者数は減少している。高校進学者が増え、中学卒業で就職する選択をした人が減っていることになる。また内定率は減退。上記にある通り、労働需要そのものは増えているものの、求職者が望む内容のものが無いか、あるいは条件そのものが好転しているために熟考中の可能性がある。

中学・高校卒業者は大学卒業者と比べて短期間での離職率が高いことでも知られている(【学歴別・就職後の離職状況をグラフ化してみる(2015年)(最新)】)。内定率そのものは高くても、定着率が低ければ、企業も学生も双方とも不幸となる。企業側の人手不足が深刻化する昨今、「仕方なくこの企業を選ばざるを得ない」といった状況も減りつつあるのが幸いなところ。定着率も上昇し、より健全な、雇用・被雇用双方が望む状況に移行しながら、就職内定率が上がるよう、望みたいものだ。


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