パソコンの世帯主年齢階層別普及率をグラフ化してみる(2015年)

2015/04/25 19:00

かつては仕事用として、あるいは裕福な家庭にのみその姿を見ることが出来た個人向けのコンピューターことパーソナルコンピューター、略してパソコン。今や多くの人が手に取れるようになり、同時にインターネットへの窓口としての使い方が主目的となる機材として認知されている。またその様式もデスクトップ型だけでなくノート型も普及し、昨今ではむしろノート型の方が利用率は高い状態。一方でその「インターネットへの手軽な窓口」との観点では、より機動性の高いスマートフォンやタブレット型端末に(完全な代替機では無いものの)主役の座を奪われつつあるのが現状。そのパソコンの普及率について、世帯主の年齢階層別に詳しい動向を、内閣府が定期的に公開している調査結果【消費動向調査】を基に確認していくことにする。

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総世帯におけるパソコン普及率推移


「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義についてはまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。また今件では2013年までは明確な定義はないが、タブレット型端末は(回答者独自の判断により)幾分今件のパソコン扱い(ノートパソコン系)されているものと考えられる。一方2014年以降は回答項目に「タブレット型端末」が新設されており、その誤認はなくなった。なおその「タブレット型端末」自身の動向は後日機会を改めて精査する。

「内閣府の消費動向調査」で年齢階層別の調査が行われているのは2004年4月以降各年3月次。そこでそれらのデータを元に、「総世帯」(要は全部の世帯)における世帯主年齢階層別・パソコン普及率をグラフ化したのが次の図。

↑ 世帯主年齢階層別パソコン普及率(総世帯)(3月末時点)(-2015年)
↑ 世帯主年齢階層別パソコン普及率(総世帯)(3月末時点)(-2015年)

別先行記事【テレビやパソコンなどの普及率をグラフ化してみる(上)…テレビ・パソコン・ファックスなど】の通り、「一般世帯(二人以上の世帯)」のパソコン普及率は直近2015年で78.0%。それと比べると「総世帯」全体では10ポイントほど低い値。逆算すれば容易に分かるのだが、これは「単身世帯」においてパソコン普及率が低いことが原因(「総世帯」=「単身世帯」+「一般世帯」)。

また経年別で見ると、2009年-2010年にイレギュラー的な動きがあるが、総じてどの世代でも時間の経過と共に、普及率が少しずつ、しかし確実に上昇している。ところが2014年においては30-59歳世代でやや大きめな減少が発生し、これが原因で総世帯全体でも前年比でマイナスの値を示してしまった。2015年も幅こそ縮小したもののこの世代におけるパソコン普及率は減少を継続している。【小中高校生のパソコン使用状況をグラフ化してみる】でも指摘している通り、インターネットのアクセスのためのツールとして割り切り、より機動性が高く価格が安いスマートフォンやタブレット型端末にシフトした結果、パソコン利用の必然性が下がった可能性が考えられる。中堅層はこれまで全体普及率をけん引する役割をも果たしていただけに、注視すべき動きと言える。

もっとも2015年は30歳未満と60歳以上が上昇したため、全体値としては前年比プラスを示す形となった。特に30歳未満の上昇が著しく、調査値が確認可能な2005年以降でははじめて、若年層と中堅層の値が入れ替わる形となった。

保有数量(世帯全体。保有世帯限定ではない)でも、全体を引っ張ってきた中堅層の足踏み状態が確認できる。

↑ 世帯主年齢階層別パソコン保有数量(総世帯)(1世帯当たり)(3月末時点)(-2015年)
↑ 世帯主年齢階層別パソコン保有数量(総世帯)(1世帯当たり)(3月末時点)(-2015年)

特に2009年以降の伸びが著しかった中堅層だが、2012年以降は伸び方が穏やかなものとなっている。一方で29歳以下の若年層は相変わらず急速な伸びを示し続けているのが印象的。

2015年に限れば注目の動きを見せる中堅層が大きな下げ幅を示しているが、それ以外の世代でも減少が確認できる。若年層・高齢層では普及率が上昇しているにも関わらず保有台数が減っていることから、「とりあえず持っている世帯」は増加しているが、「複数台維持維持している世帯」が減少していることが考えられる。パソコンは1台あれば十分で、それを補完する形でスマートフォンやタブレット型端末を使いこなすスタイルが想起される。

直近の2015年分を世帯種類別で精査する


「総世帯」では無く、直近2015年における、単身・一般世帯(二人以上世帯)それぞれのパソコン普及率・「保有世帯当たりの」(調査対象世帯全体ではない)保有台数を示したのが次のグラフ。要はパソコンを保有している世帯も持っていない世帯もあるが、どれ位の世帯が持っているか、そしてそのうち保有世帯に限定して「それでは何台自宅にあるの?」と聞いた結果の平均値。

↑ 世帯主年齢階層別パソコン普及率(2015年3月末)
↑ 世帯主年齢階層別パソコン普及率(2015年3月末)

↑ 世帯主年齢階層別・パソコン保有世帯当たり保有数(2015年3月末)
↑ 世帯主年齢階層別・パソコン保有世帯当たり保有数(2015年3月末)

「単身世帯」よりも「一般世帯」の方が、パソコンの保有率は高い。だが30歳未満に限れば、両世帯間の普及率にほとんど差異は見られない。いわゆるマニア的な層による値のかさ上げによるものだろう。

また60歳以上の単身世帯での保有率は著しい低さを見せる。「一人暮らしの高齢者が、改めて一から、あるいは初歩から教えてもらう人もおらず、パソコンに興味を持っても保有できない状態」なのが容易に想像できる。無論、経済的な面も理由の一つ。

他方、保有世帯別の保有台数を見ると、概して「一般世帯」の方が多い。これは回答者だけでなく配偶者、そして子供も保有している事例があるからに他ならない。特に子供が育ちざかりの30-59歳世代では高い値を示している。



昨今では「インターネットにアクセスするのはスマートフォンで十分」とする事例が増えている。俗にいうタッチパネル世代と表現できる層ともいえるのだが、仕事場での利用ならともかく、プライベートではパソコンは不必要で、スマートフォン、精々タブレット型端末があればインターネット利用は事足りると割り切る人達である。利用目的次第ではまさに正論で、今後このスタイルは増加してくるのは間違いない(デジタル写真におけるデジカメからスマートフォン、固定電話から携帯電話へのシフトの流れに似ている)。

また繰り返しになるが、ノートパソコン扱いされていた感のあるタブレット機は、2014年からは項目が明確化されて区分されることとなった。一部世代で前年比で値が減少しているのは、2013年までの誤認が無くなったのも一因かもしれない。


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