GW中の搬送者数は前週比で増加…熱中症による搬送者数は1週間で388人(2016年5月2日-5月8日)

2016/05/10 11:00

総務省消防庁は2016年5月10日、同年5月2日から5月8日の一週間における熱中症搬送人数が388人(速報値)であることを発表した。今年分は前回週分から熱中症による搬送人数の調査を始めており、消防庁が掌握している累計人数は589人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では幸いにもゼロだったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は7人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)

今夏の電力事情に関して政府による決定前の専門委員会決定を元に精査した記事【電力需給検証小委員会の報告書とりまとめ、今夏は「特別な節電要請は行う必要はないと考えられる」との話】などで解説の通り、今年夏も法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請、さらに去年夏のような数字目標無しの節電要請ですら行われない可能性が多分にあるとの報告が当委員会の公開報告書では成されている。5月中旬以降に発表されるであろう政府決定でも、恐らくは同じような判断の下での話となるだろう。しかし震災から5年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また現時点で気象庁が発表している夏季予報では北陸・東海・関東甲信地域でやや高め、近畿・中国・四国・九州では高めの気温となる可能性が高いとの話が出ている(【季節予報(夏 6-8月)(2016年2月24日発表、気象庁)】)。降水量が全国的に多めになるとの予報も同時に出ているのは幸いだが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないことは言うまでもない。またここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

そこで消防庁では【今年も消防庁の熱中症の情報は5月から提供開始】にある通り、昨年同様今年も熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

今回発表された各種値は今年の分としては第2週目のものとなる。公開直近分の値は速報値であり、今後逐次修正暫定値、そして確定値に切り替えられることになる(暫定値、確定値は速報値よりもいくぶんの増加がなされることが多い)。

今回該当週はゴールデンウィーク真っただ中。前半は大よそ良い天気に恵まれ、真夏日を観測する地域もあったものの、中盤以降は西から下り坂となり、西日本を中心に一部では大雨となった。そして週末にかけて再び暑さが舞い戻り、東京・大阪共に夏日を記録するほどの気温が観測されている。内陸部では7月並の暑さが到来し、高い湿度と合わせ不快指数を押し上げる形となっている。

また4月14日と16日の震度7の地震をはじめ、14日以降九州・熊本方面で大きな地震が相次いでおり、この地震による被災者に熱中症に関するリスクが懸念される事態が生じていることは言うまでもない。

昨年気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.283(2016年3月)】によれば、夏の初めまでには終息している可能性が高く、その場合は平常、むしろラニーニャ現象(発生しても平均気温や降水量に変化はない)が発生する可能性が多分にあるとしている。

地域別では埼玉県の42人をはじめ、東京都の33人、沖縄県の25人、神奈川と大阪の20人などが上位についている。天候・気温動向を見れば分かる通り、平日の金曜日のこそ悪天候で気温も下がったものの、それ以外は大よそ良い天候となったことから、東京・大阪共に4日の夏日(最高気温が25度以上)を記録。特に大阪では5月2日に真夏日(30度以上)の一歩手前まで気温が上昇している。人口密集地域での搬送者数が特に目立つ形となっているのも、休みを利用した外出機会の際の状況発生によるものだろう。天候が悪化した6日に限り、搬送者数が大きく減っているのも印象的。

↑ 東京都の最高気温と天候(2016年5月2日-5月8日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2016年5月2日-5月8日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年5月2日-5月8日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年5月2日-5月8日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年5月2日-5月8日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年5月2日-5月8日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月25日から開始している(昨年は5月13日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

搬送者数を昨年のほぼ同時期に当たる2015年5月4日から5月10日の搬送者(370人、確定報)と比較すると、今年はやや多めの値となっている。これはひとえに昨年の同時期が今年と比べると天候が崩れがちで、過ごしやすい日々が続いたのが要因。とはいえ20人足らずの値は誤差の範ちゅうでもある。

電力需給の観点では昨年の状況から進歩があまり見られないのが残念な話。ちまたで電力不足が騒がれ、また電気代の生活費への負担が増すと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もあり、単に節約心によるものだけとは限らない)。

なおまだ夏季どころか梅雨も到来していないが、気温だけでなく湿度の高さも合わせ体調不良を引き起こす要因は多々あり、それと共に熱中症のリスクも高まりを見せていく。ネット上の言及を見ても、気温が高い日には気分を悪くしたなどの語りと共に、多分に熱中症そのもの、あるいはそれに近い症状を訴えている人を見受けることができ、「この時期だからと熱中症をなめていた」との発言も少なくない。

日取りの上では夏はまだ先の話ではあるが、すでに熱中症に留意しなければならない時期にある(だからこその消防庁の搬送者速報も早期に開始されているのだが)。今後も知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も合わせ、健康管理に留意してほしいものである。


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