フジ、テレ朝軟調、日テレ堅調…主要テレビ局の直近視聴率をグラフ化してみる(2015年3月期下半期・通期)

2015/05/18 11:00

従来型4マス、つまりテレビ・新聞・雑誌・ラジオの中では最大の広告市場規模と媒体力を誇り、昨今の広告市場動向を見るに唯一復調の兆しを示しているのがテレビ。そのテレビにおいて、各局の権威、メディア力、力量を推し量る一つの指針となるのが「視聴率」。雑誌や新聞なら購読者数に該当するこの値は、テレビ全体のすう勢と共に、各局のパワーバランスを見決めるのにも欠かせない。今サイトではテレビ局のうちキー局でもあり上場を(直接、あるいは間接的に)果たしている企業の(半期)決算短信資料などを基に、ほぼ半年間隔でキー局の動向を確認している。今回は2015年5月付で発表された各社の決算短信資料を基に、2015年3月期(2014年4月から2015年3月)における下半期、そして通期の視聴率動向をチェックしていく。

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全日は日テレトップ、プライムも日テレトップに・テレ朝凋落


日本国内のテレビ局における視聴率は以前【「テレビをつけている時間」と「視聴時間」、「視聴率」を考え直してみる】で解説したように、現在ではビデオリサーチ社のみが計測を実施している。上場テレビ局・企業では各社が程度の差はあれど投資家への経営の状況判断材料として、短信資料で視聴率の提示を行っている。しかしいずれの資料もビデオリサーチ社提供の値を基にしているため、基本的に同じものとなる。

まずは現時点で直近にあたる2015年3月期通期の、キー局の視聴率をグラフ化する。データは【TBSホールディングス・決算説明会資料集ページ】内にある「2015年3月期決算説明会」から取得した。また下期単独のデータは非公開だが、上期の値は存在するため、そこから逆算して算出し、こちらもグラフ化している。なお「キー局」と表現した場合、NHKは含まれないが、良い機会でもあるので合わせてグラフに収めておく。

↑ 2015年3月期・下期視聴率(2014/9/29-2015/3/29、週ベース、ビデオリサーチ)
↑ 2015年3月期・下期視聴率(2014/9/29-2015/3/29、週ベース、ビデオリサーチ)

↑ 2015年3月期・通期視聴率(2014/3/31-2015/3/29、週ベース、ビデオリサーチ)
↑ 2015年3月期・通期視聴率(2014/3/31-2015/3/29、週ベース、ビデオリサーチ)

テレビ東京は区分の上では在京キー局の5局に収められているものの、他の4局と比べれば放送エリアの問題や放送内容の特異性の都合上、視聴率で他局と比べて低めの値が出るのは、ある意味やむを得ない。その特異性を考慮し順位精査の際に除外すると、TBSが主要キー局では視聴率が一番低迷している。これは同年上半期から変わらない。

視聴率が低迷しやすい昼間や深夜を除いていることから、全日と比べて高い視聴率が期待できるのがゴールデンタイム(19時から22時)とプライムタイム(19時から23時)。その双方で、10%を切っているのは(テレビ東京以外では)TBSのみ(フジテレビはゴールデン、NHKはプライムタイムだけが10%割れ)。上位陣では日本テレビとテレビ朝日が競り合い、その後をNHKが追いかけ、フジテレビが続く形。

今件で選択したテレビ局の中ではやや特異な動きを示しているのがNHK。他局と比べてゴールデンタイムとプライムタイムの差異が結構大きいのが目に留まる。ゴールデンタイムよりもプライムタイムの方が低いことから、22時から23時の夜間における視聴率がとりわけ低く、平均値を下げてしまっているのが分かる。もっともこれは番組構成上、民放ではこの時間帯に番組のクライマックスや人気の高い番組が入ることが多いのに対し、NHKではそうとは限らないこともあり、仕方がない話ではある。

ゴールデンタイムで視聴率動向を見ると(以後通期で確認)トップは日本テレビ、次いでテレビ朝日、NHKの順となる。プライムタイムで比較すると、トップにはやはり日本テレビが付き、次いでテレビ朝日、そしてフジテレビが収まることになる。NHKのプライムタイムでの低迷ぶりは直上にその理由を記した通りだが、プライムタイムでは過去において日本テレビとテレビ朝日の順位が入れ替わっていたにも関わらず、今年期では順位が変わらなかったのは興味深い動きと言える。

この流れは22時から23時の時間帯で放送される各局の人気番組のすう勢が、そのままこの差に表れたと見て良い。つまり今期においては、テレビ朝日の22時から23時に放送された番組が視聴率の観点で、例年と比べて足を引っ張ったことになる(具体的には報道ステーションと考えられる)。

前年同期からの変化で各局の勢いを推し量る


通期について視聴率の変移を前年同期比で表すと次の通りになる。比較対象は当然、2014年3月期通期のもの。

↑ 2015年3月期通期・視聴率前年同期比(週ベース、ビデオリサーチ)
↑ 2015年3月期通期・視聴率前年同期比(週ベース、ビデオリサーチ)

昨今巷で話題に登っている、各キー局のすう勢が色々とにじみ出る結果が出ている。健闘組は日本テレビ。ヨコヨコはテレビ東京とNHK。残念組はTBS、フジテレビ、テレビ朝日。

日本テレビの短信資料から日テレの堅調ぶりは前半期からの継続のもので、同社のテレビ番組戦略が少なくとも視聴率の観点では上手く行っている様子が数字となって表れている。実際、同社の決算短信補足資料・決算説明会資料を見ても「「年間」に続き「年度」でも三冠王獲得!」「改編成果を実感」「世帯視聴率と個人視聴率の両立」など、番組構成上の構造改革の成果が出ているとの解説をしている。またテレビ番組の制作費を削る一方、周辺事業として映画事業やイベント事業の充実をうたっており、番組との連動性による集客と番組自身の付加価値添付といった視点による、相乗効果に注目している雰囲気もうかがえる。

テレビ朝日の短信資料から他方、今回一番の下げ幅を示したテレビ朝日だが、同じく決算短信補足資料・決算説明会資料の限りでは、視聴率の減退に係わる説明は特になされていない。テレビCMの収益面で昨年放送のソチ冬季五輪や開局55周年記念ドラマスペシャルからの反動で減少したとの説明もあるが、別の機会で触れる経年変化の上での動向の説明には説得力が足りない。一方で、「コーポレート・ガバナンスの対応強化」と称し、体制の引き締めを明言するなど、一連の不祥事への対応も表記しており、色々と考えさせられるところはある。

経年変化で視聴率動向を見ると、この数年は各局ともターニングポイントを迎えている雰囲気がある。ある局はVの字回復を見せ、ある局は低迷を続け、ある局は下落傾向が収まらない。例えばかつてのTBSにおける「半沢直樹」のように、一時的な躍進を後押しする特異点が生じることもあるが、体制そのものの変化や時節の動きが無い限り、中期的な変化にはつながらない。食生活そのものを改めなければ、一時的な断食で体重が減っても、すぐに元に戻ってしまうのと同じである。

4大従来メディアの中では最大の影響力を持つ存在としての自覚の上で、各局がいかなる姿勢を見せ、それが視聴率の動向に結びついていくのか。今後も注意深く見守りたいところだ。


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