利用者約1割、利用本数50本近く、金額は1万2000円強…有料動画配信の実情をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/06/09 04:54

映像や音楽の市場を大きく変質させ、エンタメ部門に新たな旋風を巻き起こす技術・サービスとして、急速に浸透しつつあるのが有料動画配信。個別の作品をデータ単位で買い取る、あるいはレンタルソフトのように短期間視聴できるスタイルだけでなく、クラウドサービスのように特定作品を視聴する権利を得られる「永久視聴権」の販売や、一定期間は特定の枠組み内で好きな映像が観放題の定額サービスも展開され、急速にその利用者を積み増ししている。今回は日本映像ソフト協会が2016年4月27日付で発表した、日本の映像ソフト協会そのものやソフト関連の実地調査結果を絡めた白書【映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査】の最新版「概要」をもとに、有料動画配信サービスの周辺状況を確認していくことにする。

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国内市場規模は961億円、利用者の年間利用本数は49本


先行記事【映像ビデオ市場の推移をグラフ化してみる】にもある通り、直近の2015年では有料動画配信サービス市場は961億円を計上している。この市場には「定額見放題サービス」「都度課金サービス」「有料動画購入サービス」などが該当するが、WOWOWやスカパー!のような有料放送局による自社放送番組の再配信、ポータルサイトの有料付随サービス、動画配信サービスの有料プレミアムなどは2014年分までは該当しなかったが、2015年分以降は情勢の変化を鑑み、計上するように計算方法を変更している。

↑ 映像ソフト市場規模推移(億円)(-2015年)(再録)
↑ 映像ソフト市場規模推移(億円)(-2015年)(再録)

この有料動画配信サービスの利用状況を確認したところ、2015年では調査対象母集団(16-69歳。一般調査は1500人、有料動画配信の内情調査は300人。いずれも男女・年齢・インターネットの利用状況に関するウェイトバックがかけられており、調査対象母集団の属性に関する偏りは最小限に抑えられている)の10.6%が利用していることが分かった。大よそ9人に1人。また、利用者における平均利用本数は48.6本。

↑ 有料動画配信利用率(2013-2015年)
↑ 有料動画配信利用率(2013-2015年)

↑ 有料動画配信利用者の平均利用傾向
↑ 有料動画配信利用者の平均利用傾向

調査開始からまだ3年分しか経年データが無く、しかも2015年から計測対象範囲を大きく拡大していることもあり、経年傾向を推し量ることは難しいものの、2015年は利用者率が大きく増え、利用金額も増加しているが、利用本数が減っているのが分かる。ソフトの相場の上昇以外に、より厳選して作品を選ぶ視聴スタイルにシフトしているのかもしれない。「視放題」タイプのサービスも計上されたにも関わらず、かえって利用金額が増加し、本数が減ったのは皮肉な話ではある。

利用者はどのようなジャンルを視聴しているのだろうか。先行記事でセル購入やレンタル市場動向と合わせて解説したが、一番人気は洋画、次いで邦画との結果が出た。洋画・邦画を問わず、映画を有料動画配信サービスで視聴するスタイルがメインのようだ。また昨今ではシリーズものの作品を一気に公開するスタイルが好評の日本のアニメの人気も高い。

↑ 有料動画配信利用者の視聴ジャンル(複数回答)(2015年)
↑ 有料動画配信利用者の視聴ジャンル(複数回答)(2015年)

次いで多いのは海外のテレビドラマ。シリーズものをまとめて視聴するスタイルだろう。さらに日本のテレビドラマが続くが、これらは有料動画サービスやチャンネルで、パッケージスタイルにしていちどきに配信するケースが多く、上記で触れた日本のアニメ同様「最初から最後まで一気に視聴できる」便宜性が受け、視聴動機をかきたてる一因となっているようだ。インターネット喫茶などで長編ものや長期連載の漫画単行本がずらりと並んでいるのを目にすると、つい最初から読みたくなる、あの感覚と同じと考えれば道理は通る。

上位陣のジャンルはこれらで占められており、それ以降は利用率が2割を切っている。視聴しているか否かのみの問い合わせで、どの程度の本数の視聴かまでは尋ねていないが、少なくとも有料動画配信サービス利用者でも8割以上はアジア映画・テレビドラマ、日本音楽ビデオなどはタッチしていない計算になる。

意外にも利用者は中堅層以降が多い有料動画配信


次に示すのはそれぞれの利用者・該当者における年齢階層構成比。例えば有料動画配信利用者で16-19歳は6.0%とあるので、有料動画配信を利用した人のうち6.0%は16-19歳で占められている。全体の6.0%や、16-19歳のうち6.0%では無い。

↑ ビデオソフト利用者の年齢構成比(2015年)
↑ ビデオソフト利用者の年齢構成比(2015年)

意外にも(?!)映像ソフトの購入者やレンタル利用者と比べ、有料動画配信利用者の方が、全般的に利用年齢が高い傾向がある。購入者は過半数が30代以下だが、レンタルでは5割足らずとなり、有料動画では4割程度にまで落ちる。50代以上では購入者は1/4程度だが、有料動画では1/3に達している。

それぞれのジャンル別の視聴動向までは公開されていないので推測に任せるしかないのだが、レンタルや購入では調達しにくい、不可能なタイプの動画コンテンツ、例えば昔に流行ったドラマやアニメ、映画を、在庫を気にせずすぐに視聴できる利点が、中堅層以降に受けているのかもしれない。



余談になるが上記の「ビデオソフト利用者の年齢構成比」を全体比で算出し直したのが次のグラフ。見やすいように縦横を入れ替えている。例えばセル購入者の60代は1.7%とあるので、16歳から60代までのすべての人のうち1.7%は、セル購入をしている60代となる。

↑ ビデオソフト利用者の年齢構成比(2015年、全体比)
↑ ビデオソフト利用者の年齢構成比(2015年、全体比)

該当する人がどの程度支払いをして本数を視聴したかはまた別の話だが、少なくとも人数の上では圧倒的にレンタル利用者が多い。30代まででセル購入者全体とほぼ同じ、有料動画利用者全体をはるかに上回る人数を示している。また、セル購入者の30代までは、ほぼ有料動画利用者全員と同じ。年齢属性と人数の把握の観点では、大いに役立つ指標となるに違いない。


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