今年も観測開始はGW前から…熱中症による搬送者数は1週間で181人(2016年4月25日-5月1日)

2016/05/06 11:00

総務省消防庁は2016年5月6日、同年4月25日から5月1日の一週間における熱中症搬送人数が181人(速報値)であることを発表した。今年分は今回週分から熱中症による搬送人数の調査を始めており、消防庁が掌握している累計人数は当然同値の181人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では1人が、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は6人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)

今夏の電力事情に関して政府による決定前の専門委員会決定を元に精査した記事【電力需給検証小委員会の報告書とりまとめ、今夏は「特別な節電要請は行う必要はないと考えられる」との話】などで解説の通り、今年夏も法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請、さらに去年夏のような数字目標無しの節電要請ですら行われない可能性が多分にあるとの報告が当委員会の公開報告書ではされている。5月中旬以降に発表されるであろう政府決定でも、恐らくは同じような判断の下での話となるだろう。しかし震災から5年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また現時点で気象庁が発表している夏季予報では北陸・東海・関東甲信地域でやや高め、近畿・中国・四国・九州では高めの気温となる可能性が高いとの話が出ている(【季節予報(夏 6-8月)(気象庁)】)。降水量が全国的に多めになるとの予報も同時に出ているのは幸いだが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないことは言うまでもない。またここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

そこで消防庁では【今年も消防庁の熱中症の情報は5月から提供開始】にある通り、昨年同様今年も熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

今回発表された各種値は今年の分としては初週、第1週目のものとなる。現時点では速報値であり、今後逐次確定値に切り替えられることになる(確定値は速報値よりもいくぶんの増加がなされることが多い)。

今回計測週では大よそ良い天候となり、東京では1日、大阪では3日もの夏日(最高気温が25度以上)を観測することとなった。また4月14日と16日の震度7の地震をはじめ、14日以降九州・熊本方面で大きな地震が相次いでおり、この地震による被災者に熱中症に関するリスクが懸念される事態となっている。


↑ 被災地の避難生活者への熱中症リスクを伝えるニュース映像。【直接リンクはこちら:被災地も夏日予想 長引く避難生活に熱中症のリスク(16/05/01)】

昨年気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.283(2016年3月)】によれば、夏の初めまでには終息している可能性が高く、その場合は平常、むしろラニーニャ現象(発生しても平均気温や降水量に変化はない)が発生する可能性が多分にあるとしている。

地域別では埼玉県の18人をはじめ、京都府の14人、愛知県の11人などが上位についている。とはいえ多い地域でも20人/週を超えることは無く、何らかの集まり、イベントで事案が発生すれば、すぐに大きな変動が起きうる、ぶれが生じやすい順位動向には違いない。とはいえ、4月末から5月頭の時点でこれだけの搬送者が存在している状況には、あらためて熱中症への意識を高める必要性を覚えさせれる。実際、天候が良く気温も上昇した4月26日と5月1日には多くの搬送者が確認されているのは上記の通り。

↑ 東京都の最高気温と天候(2016年4月25日-5月1日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2016年4月25日-5月1日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年4月25日-5月1日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年4月25日-5月1日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年4月25日-5月1日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年4月25日-5月1日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月25日から開始している(昨年は5月13日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

搬送者数を昨年のほぼ同時期に当たる2015年4月27日から5月3日の搬送者(577人、確定報)と比較すると、今年は低めの値となっている。これはひとえに昨年と比べて気温が低かったからに他ならない。

↑ 参考:東京都の最高気温と天候(2015年4月27日-5月3日)
↑ 参考:東京都の最高気温と天候(2015年4月27日-5月3日)

電力需給の観点では昨年の状況から進歩があまり見られないのが残念な話ではある。ちまたで電力不足が騒がれ、また電気代の生活費への負担が増すと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もあり、単に節約心によるものだけとは限らない)。

なおゴールデンウィーク中は今回計測週分に続き好天が続き、気温も高い日が多かったことから、次回計測週も今回週同様、あるいはそれ以上の熱中症によると思われる救急搬送者数は増加するものと考えられる。ネット上の言及でも気分を悪くしたとの話の中で、多分に熱中症そのもの、あるいはそれに近い症状を訴えている人もおり、「この時期だからと熱中症をなめていた」との発言も見受けられる。

日取りの上では夏はまだ先の話ではあるが、すでに熱中症のリスクに留意しなければならない時期にある。今後も知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も合わせ、健康管理に留意してほしいものである。


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