恐らくは今年最後の週報告…熱中症による搬送者数は1週間で142人(2015年9月28日-10月4日)

2015/10/06 10:00

総務省消防庁は2015年10月6日、同年9月28日から10月4日の一週間における熱中症搬送人数が142人(速報値)であることを発表した。前回週の256人(速報値からの改定値)と比べると114人の減少となった。また今年の熱中症による搬送人数は、消防庁が今年カウントを始めた4月27日以降における累計人数としては5万6192人(速報値、一部改定値や確定値による累積)に達している。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では幸いにもゼロだったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は2人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)

今夏の電力事情に関して政府発表を元に精査した記事【「今年も数値目標なし」…2015年夏の節電要請内容正式発表】などで解説の通り、今年夏も昨年同様、法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請は発せられることなく、数字目標無しの節電要請に留まることとなった。そして先日、その要請期間も終了した。しかし震災から4年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

さらに気象庁が今年春先に発表した中期予報では、気温は平年並み、あるいはやや低めで、7月から8月にかけては雨が平年よりは多くなるとの予想が出されていたが、6月は気温が高めに推移する可能性が高いとされ、熱中症への懸念も大きなものがあった。また昨年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認された。

そこで消防庁では【消防庁の熱中症搬送患者情報、今年は5月からだそうです】にある通り、昨年までは熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について5月中旬以降に開始していたものを、今年は4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内

今回発表された各種値は今年の分としては第23週目のものとなる。過去に発表された速報値も逐次確定値に切り替えられており、改定の際にはいくぶんの増加が確認されている。

今回計測週では非常に大きな勢力を保ったまま日本に接近した台風21号の影響を受け、また上空の寒気の影響もあり、気温は低い値を示したままで推移した。さらに爆弾低気圧(猛烈低気圧、急速に発達した低気圧)も発生し、北日本・北海道を中心に暴風雨に見舞われる形となっている。

気象庁は9月18日付で、8月中旬以降の天候不順が続く状況に関して報告書を発表している(【平成27年(2015年)8月中旬以降の不順な天候】)。それによれば8月上旬までのゆだるような暑さから一転して冷夏を思わせる気温の低下ぶり、さらには不安定な天候状況・日照時間の少なさに関して、直接的な要因は前線の停滞と相次ぐ台風の到来を挙げている。前線の停滞の理由としては上空の偏西風の南への偏りと蛇行が関連し、その理由はエルニーニョ現象の影響によるものとしている。

そのエルニーニョ現象だが、気象庁では9月10日付で【エルニーニョ監視速報(No.276)】を発表している。それによると、現在エルニーニョ現象が生じており、今冬までの間は継続する可能性が高いことを伝えている。また10月1日付で【9月の天候】と、9月の気候状況のまとめを報告しているが、「平成27年9月関東・東北豪雨」の発生や気温の東西日本での低めな状態が継続したこと、北・東日本日本海側では日照時間が少なかったことなど、豪雨はさておくとしても気温の低さなどの観点では、熱中症リスクを下げる気象だったことが再確認できる分析がなされている。

地域別では沖縄県の18人をはじめ、大阪府の12人、広島県・宮崎県の10人などが上位についている。とはいえ多い地域でも20人/週を超えることは無く、何らかの集まり、イベントで事案が発生すれば、すぐに大きな変動が起きうる、ぶれが生じやすい順位動向には違いない。それだけすでに秋に足を踏み入れている証ではある。

気温状況も東京・大阪共に猛暑日はゼロ、真夏日もゼロを計上している。晴れの日でも30度を超えておらず、今年の夏はすでに過去のものとなった現状が見て取れる。

↑ 東京都の最高気温と天候(2015年9月28日-10月4日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2015年9月28日-10月4日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年9月28日-10月4日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年9月28日-10月4日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年9月28日-10月4日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年9月28日-10月4日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、5月13日から開始している。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】)。なお同サイトの情報公開は2015年分は10月16日までとなる。つまりはその時期までは、リスクを考慮すべきとの判断がされている。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト
↑ 環境省熱中症予防情報サイト

今回発表されたリリースでは日付を合わせる形で同年同時期の搬送者数を参考値として提示しているが、それによると昨年の同時期における搬送者数(確定値)は160人。今年は速報値で比較すると1割強ほど減の値となっている。とはいえ、都道府県別では1ケタ台の値ばかりであり、誤差の範囲に等しい。

他方累計搬送者数について、前年と比較できる期間(5月19日以降)に限って比較すると、2014年は4万1509人だったのに対し、今年は5万4698人となり、1万人以上の増加が確認されている。

電力需給の観点では昨年の状況から進歩がほとんど見られないのが残念な話ではある(一応、九州電力管轄の川内原発が再稼働を行い、2013年9月に関西電力の大飯原発停止以降、原発による発電が無い状況からは1年11か月ほどぶりに脱することとなったが)。ちまたで電力不足が騒がれ、また電気代の高騰が続くと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もある)。

なお消防庁の熱中症によると思われる救急搬送者に関する週次報告は、原則9月分までのものとなるため、恐らくは今回発表分が今年最後のものとなる。月次分、さらには人口動態調査や国立環境研究所がのちほど発表する状況報告の精査はまた後ほどの話となるが、今年の週次分記事展開も今回が最後。

今後も健康管理には十分に留意しながら知識、ノウハウを再確認し、来年の夏季に活かしてほしいものである。


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