たばこ自販機は前年比15%のマイナス…自動販売機の現状をグラフ化してみる(2015年)

2015/04/23 11:00

ジュースなどの飲料水やたばこに始まり、新聞・書籍やお菓子類などの実商品の販売、食堂やファミレスや牛丼チェーン店での食券、さらには両替機やコインロッカーのようなサービスの提供にいたるまで、世の中には多種多様な自動販売機が展開され、機能を発揮している。そして先の震災に伴う電力需給問題に絡んでバッシングを受け、省エネ化の動きが加速されたり、タスポの導入やたばこ需要の減退でたばこ自動販売機の数が激減するなど、社会情勢の変化を受けながらも、自動販売機は毎日活動を続け、人々の生活を支え続けている。今回はその自動販売機の動向を、業界団体の日本自動販売機工業会が毎年公開しているデータを基に、確認していくことにする(【日本自動販売機工業会:自販機普及台数及び年間自販金額】)。

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飲料自販機がほぼ半数、たばこ自販機は減少続く


まずは直近、2014年末時点の自動販売機台数。飲料水、各種サービス、たばこその他もろもろを合わせ、全部で約503万5600台。

↑ 自販機普及状況(万台、各年末時点)
↑ 自販機普及状況(万台、各年末時点)

種類別では飲料自販機がもっとも多く約半数の257万台、次いでコインロッカーや両替機、ビデオソフトやパチンコ玉貸し機などの自動サービス機が126万台。切手や乾電池、新聞などの「日用品雑貨自販機」の86万台が続く。飲料自販機内では清涼飲料がもっとも多く220万台、残りが牛乳やコーヒー・ココア(カップ式)、お酒やビールなどとなる。

たばこ自動販売機去年からの変移を見ると、たばこ自動販売機の減少が著しい。この動きは2011年分から継続している傾向だが、2011年は震災による物理的ダメージに加え、たばこそのものの出荷制限や品目数の減少なども影響を与え、採算性の問題や省エネの観点から撤去する事例も多く、大きく減少していた。しかし2012年以降は少なくとも震災や出荷制限による直接原因は無いにも関わらず、相変わらず大きな減少を続けている。

これは【たばこ販売店と自動販売機の推移をグラフ化してみる】で詳しく解説している通り、たばこそのものの需要が減退しているのに加え、節電対策の矢面に立つ形で自販機そのものが一時停止させられたり照明を消されることでアピール度が減り売り上げが落ち(今なお節電の貼り紙と共に、灯りを消されているたばこ自販機の姿を目にすることもある)、採算が取れなくなる事例が増えていること、さらにはタスポ絡みや震災後の出荷制限などを経て、たばこを自販機で買う人そのものが少なくなっているのが要因(コンビニでの購入にシフトしつつある)。その上、だばこの自販機を併設している「街のタバコ屋さん」的なたばこ販売店が、店主の高齢化に伴い閉店、合わせて自販機を撤去してしまう例も増えている。

また台数よりも販売代金の落ち込み具合が著しいのも特徴。これは自販機経由のたばこ購入者が減り、自販機当たりの売上、採算が落ちている事を意味する。このことから、現在稼働中の自販機でもビジネス面で厳しい状態が続き、来年以降もさらに台数が減退するであろうことは容易に想像ができる。

↑ 自動販売機動向前年比(2014年)
↑ 自動販売機動向前年比(2014年)

たばこ自動販売機以外で興味深い動きを示したのは券類自販機。IC乗車券(PASMOなど)の利用者拡大、少子高齢化に伴う通勤・通学者の減少を背景とした鉄道利用の減少で乗車券購入者が減少して乗車券販売機は台数が減少(マイナス3.4%)したものの、外食産業で効率化、食品衛生の観点から食券自販機の導入が進みプラス3.6%の伸びを示し、結果として券類自販機全体では台数がプラス1.2%となった。一方で販売代金では乗車券自販機の販売額が食券自販機と比べてケタ違いに大きい中で、IC乗車券の利用拡大によりオートチャージ利用者が増加し、乗車券自販機の売上も減退。これが券類自販機全体における売上を大きく減らす形(マイナス5.5%)となった。

2014年はコンビニで大いに普及したカウンターコーヒーも、自販機動向に大きな影響を与えている。消費税率引き上げに伴う実売上高の減退、実質的な冷夏に伴う清涼飲料水の売上減に加え、「コンビニエンスストアのカウンターコーヒーの人気により缶コーヒーの売上が減少したことなどから、中身商品メーカーの自販機投資意欲が低迷した」と説明されている。直接カウンターコーヒーが自販機に影響を与えたのではなく「カウンターコーヒーの売り上げが伸びる」「相対的に缶コーヒーの売上が減少する」「缶コーヒーのメーカーが自販機への投資リソースを減退する」との連鎖反応的な流れ。

昨年2013年ではわずかに「コンビニエンスストアとの競合など」との表現に留まっていたコンビニのカウンターコーヒーの影響が、今年は数行に渡り明確に指摘・説明されている。見方を変えればそれほどまでに、コンビニのコーヒーが周辺業界に変化をもたらしている証拠でもある。

飲料販売機の推移で自販機のすう勢を知る


最後に日常生活でもっとも目に留まる、そして利用されることも多いであろう飲料自販機の過去からの推移を確認する。公式サイト上には直近1年分のデータしかないが、各種キャッシュデータなどのサルベージを行い、2005年以降のデータ取得を実施。2005年以降の普及台数・販売金額の前年比をグラフ化した結果が次の図。

↑ 飲料自動販売機普及状況推移(前年比)
↑ 飲料自動販売機普及状況推移(前年比)

2008年から2009年にかけて販売金額に大幅な減退が確認できる。これは「飲料自販機分野では、天候不順、経済情勢の悪化に伴う企業の人員整理・残業減少に加え、たばこ自販機に併設された自販機における『ついで買い』が減ったこと」「一部地域で販売商品価格の下落」などの説明がされており、「景気後退」「ついで買いの減少」「安売り競争」が大きくマイナスに作用したことによるもの。

一方台数は少なくとも2006年以降においては、2010年の1.0%増を除けば押し並べて減少状況にあった。そして震災の影響が及んだ2011年では、物理的損失以外に節電などの影響で撤去されたことによる、大規模な減少が起きている。2012年以降は転じて台数が増加しているが、これは震災後の電力需給問題から自販機が撤去された場所において再設置の需要が高まったのに合わせ、ヒートポンプ式飲料自販機など省エネタイプの機種の導入が進んだことが理由として挙げられる。もっとも2014年は再び台数も減退に転じている。

缶コーヒーは「清涼飲料」の中に含まれる。缶コーヒーそのものが売れなくても他の飲料に差し替えれば良いまでの話であるから、自販機そのもの減少には直接起因はしていないはずだが、上記の通りメーカー側の自販機投資意欲の減退の一因であることに違いは無く、影響している可能性は高い(缶コーヒーの売上が落ちたことで他の飲料に差し替えをしても、これまで通りの売上が得られるとは限らない。自販機単位の売上が落ちれば、損益分岐点を割り込み、撤去判断が下される可能性は高くなる)。台数減退の前年比では「酒・ビール」の品目が一番大きな減少率(マイナス12.2%)を示しているが、元々台数が他の品目とはケタ違いに少ないので、大きな影響は無い。

震災直後ほどではないものの、今なお自動販売機に対する無理解に端を発する、電力に絡んだバッシングの声を見聞きする。引き続き自販機業界には「合理的」な対策を求めると共に、一般の人たちにおいては感情論的・非論理的非難を起こさないよう願いたいものだ。


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