主要国の軍事費をグラフ化してみる(2015年)

2015/05/08 08:00

ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute、SIPRI)は2015年4月13日、2014年における世界の軍事費動向をまとめたレポート「Trends in World military expenditure 2014」を発表した。その内容によると2014年の世界全体における軍事費総額は1兆7760億米ドルであることが分かった。もっとも多い軍事支出を計上していたのはアメリカ合衆国で6100億ドル、次いで中国の2160億ドル、ロシアの845億ドルが続いている。今回はこの報告書を基に、世界の軍事支出の現状を確認していくことにする(【発表リリース:Trends in World military expenditure 2014】)。

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アメリカと中国だけで全世界の46.5%を占める軍事支出


最初に示すのは「Trends in World military expenditure 2014」で公開されている、主要国の軍事支出の上位陣国。米ドル換算で統一しており、「*」がついているのはSIPRIによる推定値。またあくまでもSIPRIが軍事費であると認識した額で、主に対外勢力に対抗する物理的国家軍事組織に対する執行予算が計上されている。

↑ 主要国軍事費(2014年)(上位15位、米ドル換算、億ドル、*は推定値、SIPRI発表値)
↑ 主要国軍事費(2014年)(上位15位、米ドル換算、億ドル、*は推定値、SIPRI発表値)

↑ 世界の軍事費シェア(2014年、米ドル換算、上位10位国とその他)
↑ 世界の軍事費シェア(2014年、米ドル換算、上位10位国とその他)

冒頭でも触れた通りSIPRIの計算による2014年の世界全体の軍事費は1兆7760億ドル。その1/3強をアメリカ一国が計上している。次いで多いのは中国で2160億ドル、12.2%。為替レートが影響しうること、海外からの購入品もあるとはいえ、単純な軍事費の多い少ないで軍事力の大小が推し量り切れるわけではないが、やはり両国の軍事力の大きさが改めて認識できる。それと共に、冷戦時代は「米ソ冷戦」との言葉にもある通り、アメリカと肩を並べる形で軍拡を行っていたソ連(一部独立した地域もあるが、実質的に今のロシア)の軍事費がここまで落ちていることに、改めて驚きを覚える人も少なくあるまい。

昨今防衛費周りで一部から多様な意見が出されている日本だが、【軍事費の伸びとグラフの書き方と】【防衛費の推移を見ると、直近の2014年度分でも2004年度分にすら追いついていない】でも解説の通り、ここ2、3年はようやく持ち直してきたものの、それでも10年位前と比べれば(自国通貨比較でも)値を落としている。今回の統計でも9位に留まっている。

対GDP比で比較してみると……!?


軍事支出の比較は単純な絶対額だけでなく、その国の実情に考慮すべきとの意見もある。そこで今回は、よく使われる指標の一つ、対GDP比を確認する。これはIMF発表の各国GDPと比較し、その国の軍事支出が何%に値するかを計算したもの。要は各国の経済力に対する軍事支出のバランスを示したもので、かつて日本で指標の一つとされた「防衛費はGNP1%まで」が良い例である(GNP1%枠はすでに撤廃されており、かつGNPとGDPは別物。これについては機会を改めて解説する)。なおグラフは軍事費そのものの上位陣に絞り、国の並びも軍事費の大きい順としている。

↑ 主要国軍事費対GDP比(2014年)(米ドル換算で上位15位の順、対IMF発表によるGPD比率、*は推定値参照、SIPRI発表値)
↑ 主要国軍事費対GDP比(2014年)(米ドル換算で上位15位の順、対IMF発表によるGPD比率、*は推定値参照、SIPRI発表値)

サウジアラビアが群を抜き、1割強を示している。またUAEも5%を超えており、石油産出国・中東の軍事費の大きさが認識できる。次いでロシアが4.5%、アメリカが3.5%。日本は1.0%で、中国は2.1%。軍事支出上位陣の国は大よそ1%から2%台に収まっており、日本が一番少ない。

SIPRIでは今回発表分も含め、「Trends in World military expenditure」のレポートを3年分収録・公開している。そこでその3年分につき、軍事支出絶対額と対GDP比の推移を、2014年時点の上位国に絞ってグラフ化したのが次の図。米ドル換算の際に、為替レートの大きな変動が影響しうるため(例えば日本では円安が進んだため、自国通貨比較では増加しているものの、米ドルベースでは逆に減少している)、あくまでも対外比較指標程度に見てほしい。

↑ 主要国軍事費(2014年における上位10位、米ドル換算、億ドル、*は推定値、SIPRI発表値)
↑ 主要国軍事費(2014年における上位10位、米ドル換算、億ドル、*は推定値、SIPRI発表値)

↑ 主要国軍事費(対GDP比)(2014年における上位10位、米ドル換算、億ドル、*は推定値、SIPRI発表値)
↑ 主要国軍事費(対GDP比)(2014年における上位10位、米ドル換算、億ドル、*は推定値、SIPRI発表値)

アメリカが軍事費を削減していることは良く知られた話ではあるが、その実情がよく把握できる。他方中国の大幅な軍拡が、GDPの底上げを背景としていること(軍事費そのものが大きく増大しているが、GDPも同時に成長しているため、対GDP比はさほど増えていない)、それらも合わせて概して先進諸国が軍縮、新興国が軍拡の方向を示していることがうかがえる。これはレポートでも指摘されていることに加え、冷戦終結後、特にここ数年の一つのトレンドとなっている。

繰り返しになるが軍事費はあくまでも指標の一つでしかなく、また為替レートで多分に影響を受ける。とはいえ、対外的要因が大きい軍事力の物差しとしては、十分以上に参考になるものに違いは無い。


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