2016年2月度外食産業売上プラス5.5%…3か月連続で前年比プラスを計上

2016/03/26 05:00

日本フードサービス協会は2016年3月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2016年2月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス5.5%を計上した。該当月はうるう年の2月に当たるため前年同月よりも1日分日数が多く、単純計算で約3.6%分の上乗せが期待できる状況だったのに加え、前年の同時期に異物混入事案で大きなマイナス値を示したファストフードが大きな反動を示しており、その影響も大きく作用している(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が193、店舗数は3万2513店舗。今月は前月と比較すると事業社数は増加したが、店舗数共は減少している。

全業態すべてを合わせた2016年2月度売り上げ状況は、前年同月比で105.5%となり、5.5%の増加を記録した。これは先月から継続の形で3か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では今年がうるう年に当たるため1日分日数が多く、その分はプラスに働いている(休日や土日の日数は変わらず)。また雨天日では東京は5日少なく、大阪は1日多いためややポジティブ、平均気温は東京・大阪共に高めとなり、天候面でもプラスの材料がそろう形となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で3か月連続のプラス(プラス9.6%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続している。直近でその最たる問題として大きな話題となった異物混入騒動による売上の大幅減は前年1月に生じており翌月の2月もまだその影響は大きく、今回月はその値との比較となるため、客単価・客数共に大きく上昇。売上高は実にプラス16.3%を計上した。ただし前年同月における売上の前年同月比はマイナス16.2%を示したため、リバウンド以上のものでは無い。洋風の2年前同月比を試算するとマイナス2.8%となる。年換算では約マイナス1.3%。

マクドナルド単体の2016年2月における営業成績はプラス29.4%(売上、既存店、前年同月比)とそれなりに大きな上げ幅を示しており(上げた理由も洋風全体と同じでリバウンドによるもの)、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる。なお同業他社のモスバーガーではプラス11.0%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス5.2%、客単価はプラス2.5%と成し、売上はプラス7.8%とプラスを計上。定食メニューが好評を博したようだ(恐らくは鍋定食だろう)。持ち帰り米飯・回転寿司は店舗数の減少に伴う客数減退が足を引っ張ったものの、客単価がそれをサポートし、売上はぎりぎりながらもプラスに。

ファミリーレストラン部門は全業種がプラスの売上で、特に焼肉のプラス幅が大きい(プラス8.5%)。中華は回転ずし同様に店舗数が減少の中でも客数・客単価共にプラスを示す健闘ぶり。焼肉の堅調さは、ファミリー層を中心に客数が増えたのが要因とのこと。パブ/居酒屋部門ではパブが店舗数を減らしたにも関わらずキャンペーンイベントが好調を示して売上をプラス2.6%と増やしたが、居酒屋はそれ以上に店舗数の減退(マイナス9.1%)による客数減が響き、マイナス7.7%と区分別最大の下げ幅を計上。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客単価はわずかに下げたが客数が堅調で、売上もプラス。リリースには「大型の新店が堅調」と説明されている。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年2月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年2月分)

寒暖激しく
客数に一部影響あるも
日取りやリバウンドで
おおむね堅調。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。業績そのものも回復、少なくとも下落の勢いにブレーキがかかりつつある。ここ数か月全体として売り上げが前年同月比でプラスを示しているのは、好ましい話に違いない。ただし上記でも一部触れているが、今回の全体値、そしてファストフードにおける大きなプラス値は、多分に前年同月における大きな落ち込みの反動によるところが大きい。また今月に限ればうるう年による日数加算という特殊事情あるため、平日分が加算されたとしても売上高は2%から3%は差し引いて検証した方が、状況把握の上で正確さは増す。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしつつある。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続しており、中期的戦略転換が数字となって表れている。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。もっとも今回月の場合、店舗数は9.1%も減じた一方で、客数は5.8%の減少に留まっており、下落の加速感からは脱した気配が見受けられる(ただし上記の通りうるう年分を考慮すると、楽観視はできない)。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。店舗数の急速な減少は、状況の悪化を受け、淘汰が進んでいるように見える。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告もなされ、その市場の実情が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2016年2月は既存店で客数プラス2.8%・客単価プラス0.8%、売上高プラス3.5%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントといえる。


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