日本が見せる独自性…メディアと「報道の自由」に関する人々の見方(2016年)(最新)

2016/04/30 05:22

一般市民がより健全で正しい判断ができる材料を提供するとの観点から、公明正大なスタンスを前提として、報道の自由は民主主義国家において保証されてしかるべきものとの認識がある。他方、報道の質の劣化や偏向化(の露呈)、不特定多数が情報発信・受信を可能とするメディア環境の激変に伴い、「報道の自由」が意味するものの再定義と現状認識への問いかけが世界各国で成されるようになっている。今回は新聞通信調査会が2016年4月18日に発表した、アメリカやイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査(2016年調査)」の内容から、各国の一般市民が考える、報道の自由に関する現状について確認をしていくことにする(【発表リリース:諸外国における対日メディア世論調査(2016年調査)】)。

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今調査における調査要項は先行記事【諸外国から見た新聞の信頼度、そして今後も役割を維持できるか否か】を参照のこと。

次以降の項目は「報道の自由」に関する問いに、同意(強弱)・反意(強弱)の計4択で答えてもらった結果。実際にはグラフの通り「無回答」もあるため、実質的には5択となっている。また「報道の自由」の文言そのものに対する説明は特にないため、その言い回しから回答者が想像するものに対する想いが回答に反映されていることになる。国によるイメージの違いも多分にあることは認識しておくべきだろう。

また日本の値は今件調査では無く、新聞通信調査会が別途行った「メディアに関する全国世論調査」(2015年9月実施)の値から抽出したもので、回答条件も異なるため、参考値でしかないことにも留意する必要がある。

まずは「報道の自由は常に保障されるべき」との問いに対する反応。

↑ 報道の自由は常に保障されるべき(2016年)
↑ 報道の自由は常に保障されるべき(2016年)

すべての国で8割以上が肯定意見を有し、アメリカ合衆国とフランスでは9割を超えている。特にフランスでは7割近い人が強い肯定意見を持っており、「報道の自由」に関する意思の強さがうかがえる。その是非はともかく、以前同国で発生した出版物に絡んだ事件で同国が見せた姿勢が納得できる値ではある。他方イギリスでは6.9%が強い否定意見を唱えているのが印象的。

続いて現状の報道に対し、その品質や内容、正当性を鑑み、圧力をかけられても仕方がないとする意見に対する反応。

↑ 現在の報道を見ていると圧力をかけられても仕方がない(2016年)
↑ 現在の報道を見ていると圧力をかけられても仕方がない(2016年)

意外(!?)にも圧力を肯定する意見は中国でもっとも強く、強弱合わせて9割近くに達している。強い肯定派だけでも5割に近く、これも諸国で一番高い値。その他の国ではややタイが大きめだが、大よそ5割前後。米英仏韓は肯定・否定派がほぼ競っている状況。

他方日本は他国と大きく異なり、唯一肯定派が半数を切っている。強い肯定意見も唯一1ケタ台%で、強い否定派こそフランスと同程度だが、弱い否定派は36.2%とこれも最大値。年齢階層別の回答値を確認すると(上記の通り日本のみ昨年の別調査によるもの)、10代では肯定派が5割近くで20代から40代までが大よそ4割近く、50代以降で3割前半へと下落しており、世代間の認識の違いも生じている内情であることが分かる。

続いて政府・国益とメディアとの関係。

↑ 政府が国益を損なうとの理由でメディアに圧力をかけるのは当然(2016年)
↑ 政府が国益を損なうとの理由でメディアに圧力をかけるのは当然(2016年)

具体的指標や例が無く、あくまでも一般論での話ではあるが、もっとも肯定的なのはタイ、それとほぼ並ぶ形で中国。8割が国益のためならば政府がメディアに圧力をかけることを容認している。アメリカ合衆国やイギリスは7割、フランスや韓国は6割近く。

他方日本では参考値ではあるものの、賛意者は3割にも届かず、否定派は7割にも達している。これも元資料を見る限り、10代では4割強が賛成派で、20代以降は3割足らずに留まっており、年齢階層(世代)の認識の差が出ている。

最後はメディアの暴走的行為に関する意見。

↑ メディアは報道の自由を振りかざしている(2016年)
↑ メディアは報道の自由を振りかざしている(2016年)

イギリスとアメリカ合衆国では7割が肯定、フランス、中国、韓国、タイでも6割が肯定派。否定派はフランスでやや多く2割を超えているが、これはお国柄的なもの。

他方日本では諸国と異なり、唯一肯定派が少数派で、否定派が多数派の状態。強い賛意派も一番少ない12.7%。これも元資料を見る限り、10代で賛意派が大きく突出し(58.6%)、20代から50代までは4割強から5割近く、60代以降で急速に値を減らす動きにあり、世代間ギャップが生じている内情が見えてくる。



「報道の自由」の文言の定義が無いこと、各国でその言い回しに対する見解や意味するもの、指し示すものが微妙に異なる抽象的概念であることも要因だが、この結果が各国の「報道の自由」に対する姿勢の違いを包括する形で示したとはいいがたい。他方、一般論として、それぞれの国における報道(と呼ばれる対象)への心服性を認識する観点では、良い指標となることは間違いあるまい。


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