日本が見せる独自性…メディアと「報道の自由」に関する人々の見方(最新)

2019/03/23 05:37

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2019-0314一般市民がより健全で正しい判断ができる材料を提供するとの観点から、公明正大なスタンスを前提として、報道の自由は民主主義国家において保証されてしかるべきものとの認識がある。他方、報道の質の劣化や偏向化(の露呈)、不特定多数が情報発信・受信を可能とするメディア環境の激変に伴い、「報道の自由」が意味するものの再定義と現状認識への問いかけが世界各国で行われるようになっている。今回は新聞通信調査会が2019年3月11日までに発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」の内容から、各国の一般市民が考える、報道の自由に関する現状について確認をしていくことにする(【発表リリース:諸外国における対日メディア世論調査】)。

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今調査における調査要項は先行記事【諸外国における新聞の信頼度、そして今後も役割を維持できるか否か】を参照のこと。

次以降の項目は「報道の自由」に関する問いに、賛意(強弱)・反意(強弱)の計4択で答えてもらった結果。実際にはグラフの通り「無回答」もあるため、実質的には5択となっている。また「報道の自由」の文言そのものに対する説明は特に無いため、その言い回しから回答者が想像するものに対する想いが回答に反映されていることになる。国によるイメージの違いも多分にあることは認識しておくべきだろう。

また日本の値は今件調査では無く、新聞通信調査会が別途行った「メディアに関する全国世論調査」(2018年8月実施)の値から抽出したもので、回答条件も異なるため、参考値に過ぎないことにも留意する必要がある。

まずは「報道の自由は常に保障されるべき」との問いに対する反応。

↑ 報道の自由は常に保障されるべき
↑ 報道の自由は常に保障されるべき

すべての国で8割以上が賛意意見を有し、アメリカ合衆国と韓国、フランスでは9割を超えている。強い賛意意見が高い値を示しているのはアメリカ合衆国、イギリス、フランス、韓国。他方アメリカ合衆国では6.3%、イギリスでは5.1%が強い反意意見を持っているのが印象的。

続いて政府・国益とメディアとの関係。

↑ 政府が国益を損なうとの理由でメディアに圧力をかけるのは当然(2019年)
↑ 政府が国益を損なうとの理由でメディアに圧力をかけるのは当然(2019年)

具体的指標や例が無く、あくまでも一般論での話ではあるが、もっとも賛意派が多いのはタイ、それから少し下がる形でイギリスと中国、そして韓国とアメリカ合衆国では賛意派が過半数。フランスではギリギリ5割に届かないがほぼ半数が賛意派。

他方日本では参考値ではあるものの、賛意派は3割強でしか無く、反意派は6割を超え過半数に達している。

最後はメディアの暴走的行為に関する意見。

↑ 報道によってプライバシーが侵害されている(2019年)
報道によってプライバシーが侵害されている(2019年)

個人のプライバシーの保護にかかわる概念や求められるべき領域は、国の体制や文化によって大きく異なるため、単に「プライバシーが侵害」との表現では、国によって回答時の思惑が大きく異なっている可能性がある。ある国では侵害行為として非難されるべきレベルの行為が、他の国では当たり前のものだと判断されることもあるだろう。

すべての国で、報道によってプライバシーが侵害されているとの認識を示す人が過半数を超えている。中でもイギリスとフランスでは強い賛意が4割を超えている。他方、中国や韓国では賛意派が5割台しか無く、特に韓国では強い反意が2割を超えている。日本ではおおよそアメリカ合衆国と同じ。ただし強い否定派はごく少数。



「報道の自由」の文言の定義が無いこと、各国でその言い回しに対する見解や意味するもの、指し示すものが微妙に異なる抽象的概念であることも要因だが、この結果が各国の「報道の自由」に対する姿勢の違いを包括する形で示したとは言い難い。他方、一般論として、それぞれの国における報道(と呼ばれる対象)への心服性を認識する観点では、よい指標となることは間違いあるまい。

あえてざっくばらんに総括するとすれば、「報道の自由は常に保証されるべきだが、今の報道は責務を果たしておらず、保証対象には当たらないのでは無いかとする認識が多々見られる」「日本では国益を損なう内容であってもメディアに圧力をかけることはまかりならぬ」となるのだろうか。

なお前回年ではこの設問項目では「現在の報道を見ていると圧力をかけられても仕方が無い」「メディアは報道の自由を振りかざしている」などのような、現在メディアが指摘されている問題点であり、日本独自の特性・報道感がよく出ている問いもあったのだが、2019年分では削除されている。残念であり、不思議でもある。


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