年齢階層別・自転車乗用中の交通事故死者数推移をグラフ化してみる(2015年)

2015/02/27 08:00

エコ志向や健康志向、ガソリン代の高騰に伴う自動車の代替手段として、そして震災以降の交通手段におけるリスク分散・保険的手段の確保の観点など多種多様な事由で、自転車への注目は高まりを見せている。それと共に自転車が係わる事故、さらにはその事故で不幸にも命を落としてしまう事例への懸念も増すことになる。今回は2015年2月20日付で警察庁が発表した、2014年中の交通死亡事故の状況をまとめた報告書「平成26年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について」を元に、年齢階層別の自転車乗用中における交通事故死者数の動向を精査していくことにする(【警察庁リリース発表ページ】)。

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再び減少に転じた自転車事故死亡者数


交通事故全体における死者数などは以前【年齢層別の交通事故死者数をグラフ化してみる】で精査した通りだが、今回は特定条件下(自転車乗車中)におけるものをカウントすることになる。

まずはデータが取得可能、あるいは過去の記事から参照できる2000年以降における、自転車乗用中の死者数推移(対自動車によるものが多いが、対歩行者・対二輪車・自転車相互・自転車単独までも含めた合計値)。下記のグラフはすべて、記事執筆時以降に修正された値が確認できる場合は、その更新された値のものに差し替えている。

↑ 自転車乗車中の死者数推移(-2014年)
↑ 自転車乗車中の死者数推移(-2014年)

2003年まではほぼ横ばいだったものの、2004年以降は緩やかながらも確実に減少傾向にあった。前年分の2013年においては、その前の年の2012年における減少が急だったから……というわけでもないだろうが上昇に転じてしまったが、直近の2014年では再び減少に転じている。日本の総人口は漸減しているが、その減り方を大きく上回る形での減少傾向で、明らかに交通法規の順守浸透度合いの改善、啓蒙や規制の強化、さらには医療技術の進歩など、各方面の状況改善による結果が出ていると判断できる。

なお死亡事故では無く単なる事故件数も、直近2014年分の発表は後ほどとなるので現在は2013年分の値までしか確認できないが(【自転車交通事故の相手の推移をグラフ化してみる】)、やはり明らかに減少している。

中堅層が大きく減少


それではこれを年齢階層別に区切り、若年層(24歳以下)と高齢者(65歳以上)の比率推移を眺めることにする。絶対数の推移、そして各年の全体数に占める比率の推移の双方の切り口でグラフを構成し、状況を確認する。

↑ 自転車乗車中の年齢階層別死者数推移(若年層:-24歳と、高齢層:65歳以上)(積上げ)(-2014年)
↑ 自転車乗車中の年齢階層別死者数推移(若年層:-24歳と、高齢層:65歳以上)(積上げ)(-2014年)

↑ 自転車乗車中の年齢階層別死者数推移(若年層:-24歳と、高齢層:65歳以上)(比率)(-2014年)
↑ 自転車乗車中の年齢階層別死者数推移(若年層:-24歳と、高齢層:65歳以上)(比率)(-2014年)

高齢層はややばらつきがあるが、2007年前後までは比率の上では増加傾向、絶対数は減少傾向にあった。つまり高齢層の人数そのものが増えていることもあり、他の年齢層と比べて死亡者数の減少率が小さく、結果として死者数全体における比率が増加したという形である。そしてこの数年では、数・比率共に減少している。2011年は5年ぶりに6割を切った。

ところがその翌年の2012年は再び大きな増加を示し、再び6割を大きく超え、2007年-2008年の水準に逆戻りしてしまう。これは人数そのものが379人から364人と、他の世代と比べてほとんど減っていない(マイナス4%足らず)のが最大要因。そして前年の2013年では人数も増加したものの、他世代の増加分の方が大きく、全体比率は減少する。直近2014年は人数の上では減少したものの、全体と比べれば減少度合いは小さく、比率面ではわずかに増加してしまう。

一方若年層は比率・数共に漸減傾向だったものが、2007年以降は比率・数共にわずかずつだが横ばい、あるいは増加していた。件数が100未満なので誤差の可能性も捨てきれないが、数年続くと単なる誤差で片づけるのも難しい。携帯電話を使用しながらの走行をはじめ、無謀運転が関与している可能性もある。ただし2012年以降は再び数を減らしはじめ、比率も1ケタ台%にまで減じている。

絶対数が少ないため計算上のぶれの可能性も否定できないが、2014年における動向を詳しく見ていくと、主に中堅層の減少度合いが大きい。とりわけ40代では39人から28人となり、3割近くもの減少の動きが確認できる。前年比ゼロの年齢階層もあるが、このうち20代後半はすでに1ケタ台にまで減少しており、統計的に仕方がない面もある。むしろ30代(16人)、60代前半(53人)の方を注視すべき。

↑ 自転車乗車中の死者数推移(2014年、世代別、前年比)
↑ 自転車乗車中の死者数推移(2014年、世代別、前年比)

見方を変えると、全年齢階層で少なくとも増加の動きは無かったことになる。この点は評価すべきだろう。



自転車事故前世紀末から比べれば数そのものは減りつつあるが、「自転車事故による死者数の約2/3割が高齢者」との現実は否定できない。「自転車に乗らないように」のような強行指導はさすがに不可能だが、自分の体の具合・能力の限界と十分相談しながら、無理のない運転を心掛けてほしい。あるいは自動車免許のように、年に一度の自転車運転講習を義務付けるなどの制度を設けるのも一案だろう。

それに加えて若年層に限らず、携帯電話(最近ではスマートフォンがメイン)を利用しながらの運転は厳に慎むべき。さすがに自転車を走らせながらタッチパネルを操作する事例は想定しにくいものの、ゼロとはいえない(通話は相変わらずよく見受けられる)。「絶対大丈夫だから」「注意が散漫になることはない」とは該当者が良く語る言い訳だが、それが飲酒運転をする人の言と何ら変わりがないことに気が付いてほしい。具体的事例を目撃すると、つい身構え、出来るだけ近づかないようにしてしまうのは当方だけではあるまい。

事故が起きれば本人だけでなく、巻き込まれた人もまた大きな悲しみを背負うことになる。自分自身はもちろんだが、せめて自分の身の回りの人には、「自転車におけるながら運転」は慎むように声をかけてほしいものだ。


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