年齢層別の交通事故死者数をグラフ化してみる(2015年)(最新)

2015/02/25 11:00

警察庁は2015年2月20日付で、2014年中の交通事故の状況を精査した報告書となる「平成26年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について」を公開した(【警察庁リリース発表ページ】)。今回はこのデータを基に、世代別の交通事故による死者数を複数の切り口でグラフ化した上で、状況の確認と精査をしていくことにする。高齢化の進行と共に増加を示すと言われている、高齢者の交通事故による犠牲者の動向に、特に注意を払いたいところだ。

スポンサードリンク


全体では漸減する事故死亡者、増えるシニア層


まずは積み上げ式と個々の世代の動きを折れ線グラフにした、年齢階層別事故死亡者の推移。これは「事故発生から24時間以内の死亡者」に限定している。なお今グラフも含め、今記事で生成したグラフについては、過去の値も後日発表された修正値を確認した上で反映している。

↑ 年齢層別死者数の推移(各年12月末、人)(-2014年)(積み上げグラフ)
↑ 年齢層別死者数の推移(各年12月末、人)(-2014年)(積み上げグラフ)

↑ 年齢層別死者数の推移(-2014年)(各年12月末、人)(各年齢階層別折れ線グラフ)
↑ 年齢層別死者数の推移(-2014年)(各年12月末、人)(各年齢階層別折れ線グラフ)

全体数が減少の傾向を見せているのはすでに【戦後の交通事故・負傷者・死亡者をグラフ化してみる】などでお伝えした通り。一方、茶色が濃い層、つまり右側の2つ分の階層にあたる高齢者(65歳以上)の部分が他の世代と比べると縮み方が緩やか(=人数があまり減っていない)ように見える。実際、前年の2013年では65歳から74歳層に限れば前年比で大幅な増加すら示した。

詳しくは後述、そして別記事で解説していくが、高齢者人口そのものが増加しているのに加え、高齢者の対人口比死者数が高い値を示しているのが、この高齢者の逓減率が緩やかな原因。もっとも直近となる2014年では全年齢区分において、前年比で減少を示している。

そこで今度はこれらの動向について、各年毎の交通事故死者数全体に占める割合でグラフにしたのが次の図。一つが棒グラフで、各年ごとに占める割合が分かりやすいように、もう一つは折れ線グラフで、各年齢層毎の割合の変化を見易くしたもの。

↑ 年齢層別死者数の推移(各年12月末)(各年合計に占める各年齢層の割合)(-2014年)
↑ 年齢層別死者数の推移(各年12月末)(各年合計に占める各年齢層の割合)(-2014年)

↑ 年齢層別死者数の推移(各年12月末)(各年合計に占める各年齢層の割合、各属性毎の折れ線グラフ)(-2014年)
↑ 年齢層別死者数の推移(各年12月末)(各年合計に占める各年齢層の割合、各属性毎の折れ線グラフ)(-2014年)

ここ数年の傾向として、死者「数」は(最初のグラフにある通り)各年齢層で減少しているが、75歳以上がやや横ばい、65-74歳の減少率が低いため、全体に対する比率では逆に増えてしまっている。2011年ではイレギュラーな減少の動きが生じたが、2012年は再び高齢者が占める比率が増加、その傾向は2013年以降においても継続している。

2014年における全死者のうち65歳以上の比率は53.3%。これまでの公開データの中では昨年に続き最大値を更新(2013年は52.7%)してしまっている。

65歳以上の死亡事故状況を精査する


それでは65歳以上の死亡事故者の状況は、どのような傾向を見せているのか。それが分かれば、これからさらに深刻な問題となるであろう高齢者の事故死亡率を、減少傾向に至らせるヒントがつかめるかもしれない。そこで該当者の交通事故死亡状態別人数推移を調べた結果が次の折れ線グラフ。例えば「自転車運転中」なら、当事者(高齢者)が自転車を運転している際に事故に遭遇し、亡くなった事例である。

↑ 高齢者(65歳以上)の年齢層別状態別死者数の推移(各年12月末、人)(-2014年)
↑ 高齢者(65歳以上)の年齢層別状態別死者数の推移(各年12月末、人)(-2014年)

世間一般におけるイメージとしては「交通事故」なら、当事者が自動車、あるいは自転車運転中の状態が最上位につくように思える。しかし実際には「歩行中」による事故を起因とするものがもっとも多い。次いで「自動車乗車中」、そして「自転車乗車中」が上位についている。

2014年の動きを見ると、大よそ減少の動きを示しているが、「自動車運転中」はほぼ横ばい(613人→600人)に留まっている。詳細を見ると65-74歳では増加しており、これが65歳以上の「自動車運転中」全体値の下げ幅を最小限に押しとどめた原因であることが分かる。

グラフ作成は略するものの、高齢者に限って死亡事故数が多い、そして全体における交通事故死者数の比率増加の要因の一つとされる「歩行中の死亡事故」「自転車乗車中の死亡事故」の法令違反別区分を見ると、

●自転車乗車中死者
 安全不確認……22.7%、一時不停止……11.3%、ハンドル操作(安全運転義務)……9.6%
 (他に違反なし……20.1%)

●歩行中死者
 走行車両の直前後(横断違反)……16.1%、横断歩道外(横断違反)……13.2%、酩酊等……6.8%
 (他に違反なし……38.6%)

が上位3位を占めている。高齢者以外の割合とも傾向は大きく異なり(例えば高齢者以外の歩行中による法令違反別区分の最上位は酩酊(酔っ払い状態)などによるものである)、「自分自身の身体能力への過信、思い違い」が死亡事故の引き金の主要因であることが分かる。

道を一人歩く老人自動車などを運転している人なら、横断歩道が無い場所なのにもかかわらず、堂々と道を横断するお年寄りに遭遇し、冷や汗をかいた経験が、一度や二度ならずあるはず。彼ら・彼女らは、「かつて交通量が少なかった時代と同じように(「渡り切るまで車など来ない」)」「以前の若い頃の自分のように素早く」渡れると判断している、または「自動車が来ても人間が歩いているのだから、止まってくれるに違いない」などと判断を下し、横断している場合が多いと考えざるを得ない。あるいはそこまでの思慮すら無く、単に「面倒だから近道をしてしまえ」との思いだけで突っ切ろうとしている可能性もある。

しかし「飛び出すな 車は急に止まれない」の標語の通り、横断中の人間を視界にとらえたドライバーが瞬時にブレーキを踏み込んでも、自動車はすぐに停止できない。例えば時速60キロで走る自動車がブレーキを踏んだとしても、止まるまでには20メートルもの距離を有する(さらにそこに、対象物を視界におさめてからブレーキを踏むまでの判断時間による走行距離(空走距離)が加わる)。結果として上記グラフに「カウント」されるような事態におちいった場合、本人はもちろん家族も、そして半ば巻き添えとなった自動車運転手にも大きな不幸、負担が襲い掛かることになる。

高齢化により高齢者の人口が増加するにつれ、事故対象者の絶対数、そして全体に占める割合でも高齢者が増えてしまうのは、統計学上仕方ない(例:同じ1%でも100人ならば1人でしかないが、1万人の場合は100人となる)。報告書にも高齢者の死者「数」の減少が緩やかな理由として、高齢者人口の増加と高齢者の死亡率の高さを要因として挙げている。

次に示すのは「それぞれの」年齢階層における交通事故死者率。たとえば75歳以上は8.94と出ているので(全人口では無く)75歳以上の10万人のうち、2014年では8.94人が交通事故で亡くなったことを意味する。

↑ 年齢階層別・人口10万人当たりの交通事故死者数(2014年、人)
↑ 年齢階層別・人口10万人当たりの交通事故死者数(2014年、人)

しかし一方で「絶対数」の増加を「統計学上、仕方ないで良い」で諦めてよいのか、との考え方もある。

高齢者の場合、「カウントされるような事故」の発生起因は上記のようにある程度特定されている。今後はこれらの対策への「これまで以上の」注力も必要となる。まずは徹底した啓蒙活動と、その成果が望める工夫、そして周囲の注意が求められよう。


■関連記事:
【戦後の交通事故・負傷者・死亡者をグラフ化してみる】
【40代男性の過半数が「居眠り運転事故」を起しそうになったと自覚】
【死亡事故率2.5倍、89%は「対策強化必要」…高齢運転者の実情】
【60-70代の自動車運転者、4割は毎日運転・地方居住者は5割近くも】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー