日本の家計資産残高は減少、1684兆円に…日米家計資産推移(2015年Q3分)

2015/12/24 05:00

日本銀行は2015年12月22日付で、2015年第3四半期(7-9月、Q3)の「資金循環の日米比較」レポートを公開した。その内容によれば日本では「投資信託」「株式・出資金」の額が減り、金融資産総額は減少し1684兆円となった。高い貯蓄性向は継続されており、日本の「現金・預金」比率は相変わらず5割を超えている(【日本銀行:資金循環リリース掲載ページ】)。

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日米の金融資産への考え方が顕著に分かる資産分布


今リリースは日本銀行が年4回定期的に「資金循環の日米欧比較」の速報値として発表している。当サイトでは2009年6月掲載、2009年Q1分から定期更新の形で各データをグラフ化し、状況に関して精査を行っている(途中からは検索周りの事情を受け、最新の値に関するレポートを逐次上書きする形で掲載しているため、最新の記事とそれ以前の記事との間では、期間が抜けている)。今回は2015年12月22日に発表された最新版公開値(2015年Q3分)に基づいたものとなる。

まずは直近となる2015年第3四半期(Q3)時点での、日米、そして参考値としてユーロエリアでの家計に関する資産構成比率。日本が「現金・預金」で半数超えと大きく傾倒している一方で、アメリカ合衆国が「株式・出資金」や「投資信託」さらには「債券」を大量に保有している図式はこれまで通り。リスクを許容し投資を重視し成果に期待するアメリカ合衆国、確実性に重点を置く日本と、両国の貯蓄性向、金融資産への考え方の違いがそのまま数字に表れている。また日本で「現金・預金」が多いのは、主に高齢者による貯蓄性向の表れでもある。

↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2015年Q3)
↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2015年Q3)

3国・地域とも「保険・年金準備金」の比率はほぼ同じ(いくぶん日本が少ないが)。一方で”「現金・預金」”と”「債券」「投資信託」「株式・出資金」で構成される有価証券”の保有比率が、ユーロ圏は日米の中間にあるのが興味深い。バランスの観点では、日本は現預金過多、アメリカ合衆国はリスク商品が多め。ユーロエリアのバランスが一番リスク分散の上では優れている。

「現金第一」は以前から…日本の家計金融資産


これを定例のフォーマットに従い日米別に、その推移をグラフ化して状況を精査する。まずは日本について、構成比率と絶対額の推移を確認する。

↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(2001年-2015年Q3)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(2001年-2015年Q3)

↑ 日本の家計金融資産構成推移(2001年-2015年Q3)(単位:兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(2001年-2015年Q3)(単位:兆円)

大きな変化として目に留まるのは、2008年前後で「現金・預金」の比率が伸びていること。約5%ポイントの増加が見られる。貯金額そのものが増えたのも多少の影響はあるが、それ以上に株価の低迷を起因としていると考えられる。つまり絶対額の増加は影響が小さく、他の要素が減って相対的に「現金・預金」比率が上がったと考えた方が道理は通る。その上損切り(有価証券などについてこれ以上の価格下落によるさらなる損失可能性を避けるため、売却損を覚悟して売り、現金化する)による「株式・出資金」から「現金・預金」へのシフトも多分にある。

「株式・出資金」の比率だけでなく、額そのものが同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きは裏付けられる。2007年夏に始まる金融危機、株価下落は、家計の金融資産にも大きな影響をもたらしたことになる。

今2015年Q3期では「現金・預金」は減少しているが、それ以上に大きく「投資信託」「株式・出資金」は減少している。今四半期では中国の市場暴落「チャイナ・クライシス」をきっかけに大きな株価下落が起きており、それが多分に影響したものと考えられる。

一方、「株式・出資金」はこの2、3年ほどの間に全体比率・絶対金額共にじわりと、そして確かな勢いで増加を示していたが、この2四半期では後戻りをしている。多分に株価下落が影響していると見て良い。とはいえ、金融危機ぼっ発前の水準、比率で1割に手が届く状況となったことに違いは無い。

中期的には増加継続中の米家計金融資産


一方アメリカ合衆国。

↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年Q4-2015年Q3)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年Q4-2015年Q3)

↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年Q4-2015年Q3)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年Q4-2015年Q3)(兆ドル)

アメリカの該当期における株価動向は、日経平均株価同様、夏の中国の株価暴落とその後の強引な対策への不信感による市場不安を受け、大きく下落している。その影響もあり、「現金・預金」こそ増加しているが、「投資信託」「株式・出資金」は減少を示し、リスク回避の動きもあり「債券」は大きな増加を示している。昨今では債券比率の減少度合いが注目を集めていたが、(市場情勢によるものとはいえ)今回大きく切り返した形となった。

資産総額は68.9兆ドル。前四半期からはわずかに総額を下げている。



家計金融資産の総額は2015年Q3時点で日本が1684兆円、アメリカが68.9兆ドル。これはそれぞれ直近前四半期から(日本)マイナス1.92%・(アメリカ)マイナス1.29%の変移。やはり両国とも「チャイナ・クライシス」による影響が大きく出る形となった。

今回取り上げた直近期以降の動向としては、その「チャイナ・クライシス」からの復活でゆるゆると市場は戻しを見せているものの、需給関係を受けて原油価格が下落し、その影響で株価は頭を抑えられる形となっている。来年はアメリカ合衆国における大統領選挙があるため、これまでのパターンでは大よそ株価は大きな上昇を示すはずなのだが、今年はそのような「花火」的な動きを見ることはできなかった。やはり夏の下落で出鼻をくじかれたのが痛い。

次回発表予定の2015年Q4分では、金融資産はどのような動きを示すのだろうか。引き続き精査を行いたい。


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