「ニチアサ」のテレビ視聴動向(最新)

2021/06/17 04:22

このエントリーをはてなブックマークに追加
2021-0608テレビ番組界隈の俗語の一つとして「ニチアサ」がある。これはテレビ朝日系列の「日曜日の朝の番組時間帯」あるいはその時間帯で放送されている番組そのものを意味し、具体的には日曜日の朝7時から10時まで、連続的な編成時間帯(における番組)を指す。元々はテレビ朝日系列の番組構成で用いられていた「ニチアサキッズタイム」(日曜日の朝の子供向け番組の時間帯)を短縮したものだが、短縮時に「キッズ(子供向け)」が省略されたことからも分かる通り、今なお子供向け番組が放映されているものの、今ではより幅広い年齢層に支持されているとの話もある。また同じような時間帯でテレビ東京などの他テレビ局で展開されている子供向け番組を指す場合もある。今回はNHK放送文化研究所が2021年5月21日に発表した2020年国民生活時間調査の報告書などを基に、この「ニチアサ」におけるテレビ視聴動向を多角的視点から確認していくことにする(【発表リリース:「2020年 国民生活時間調査」結果概要】)。

スポンサードリンク


今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを見る人、しかし高齢者は相変わらずほとんどの人が見ている(最新)】で記載済みなのでそちらを確認のこと。

早速だが次に示すのは各属性別における、「ニチアサ」に該当する日曜の朝7時から10時を含む日曜午前中におけるテレビ(視聴)行為者率の動向。「行為者」とは指定された行動を実際に成した人のこと、「行為者率」は指定された時間に該当行動を15分以上した人が、属性対象人数に対しどれほどいたのか、その割合。例えば該当属性の人数が500人で、特定時間帯のテレビ行為者率が15%ならば、その時間帯には500×15%=75人の人がテレビを見ていたと回答したことになる。

またテレビ視聴の行為はテレビ器材(据置型テレビだけでなく、ワンセグによる視聴も含む。録画視聴や購入・レンタルソフトの視聴は除く)を用い、放送されている番組を見ること、実質的に回答者が「テレビを見るいる」と自認できる行動を意味する。昨今ではレコーダーに録画してテレビを視聴するスタイルも一般的になっているが、それに関しては【録画番組やDVDなどの利用動向】を参照のこと。

無論今件のテレビ行為者がそのまま「ニチアサ」に該当する、テレビ朝日系列などの子供向けとされる番組を見ていたとは限らない。他番組を視聴対象としていた可能性も多分にある。一方で少なくとも「ニチアサ」を見ていた可能性がある人の割合にも違いない。テレビを見ていなければ「ニチアサ」を見ていた可能性はゼロになる。

↑ テレビ行為者率(男性、日曜午前、年齢階層別)(2020年)
↑ テレビ行為者率(男性、日曜午前、年齢階層別)(2020年)

↑ テレビ行為者率(女性、日曜午前、年齢階層別)(2020年)
↑ テレビ行為者率(女性、日曜午前、年齢階層別)(2020年)

ライフスタイルの上で高齢者は早起きであることが知られている。起床しなければ当然テレビは見られないので、必然的に早起きの高齢者の方がテレビ行為者率の上昇の動きは早い。「ニチアサ」に該当する時間帯に限り確認すると、男性では30代以降、8時に入ってからは10-20代も、女性では10代と30代以降、8時以降には20代も加わる形で上昇しているのが確認できる。また男性40代は9時-9時半で数字が盛り上がっている。そして10代では9時以降に限れば女性よりも男性の方が行為者率は高い。

なお現在はテレビ朝日系列において日曜朝8時半からは「プリキュア」シリーズ、9時からは「仮面ライダー」シリーズ、9時半からは変身ヒーローものの特撮テレビドラマが放送されている。特に10代において、男女の好みの違いが今テレビ行為者率の動きに表れているようで興味深い。

男性10代は「ニチアサ」が終わった後は行為者率が低下するが、女性10代はそのまま高い値を維持する。男女で日曜の午前中におけるテレビ視聴のスタイルの違いが明確に表れており興味深い。10時以降はアニメ番組こそ無いが、芸能系情報番組が複数局で放映されていることから、女性10代はこれを視聴しているのかもしれない。

男女別の区分は無いが、在学学校種類別で見ると、小学生が「ニチアサ」でテレビを楽しんでいることが分かる。上記グラフとは縦軸の区分が異なる事に注意。

↑ テレビ行為者率(日曜午前、学校種類別)(2020年)
↑ テレビ行為者率(日曜午前、学校種類別)(2020年)

同じ10代でも小学生は9時過ぎから、多分に9時半以降の番組(現状なら特撮テレビドラマ)を視聴していることになる。また、高校生が一番よく見ているように見えるのは意外かもしれない。大学生も8時から10時までは高めの値が維持されており、一定数が見ているものと推定される。



繰り返しになるが今件テレビ行為者率はあくまでもテレビ番組全体を対象としており、「ニチアサ」の番組に該当するテレビ朝日系列などの子供向け番組群を視聴した人だけに限らない。とはいえ、一部属性に有意な動きが見られる状況は、該当する番組が多分に影響している、視聴されている証と推定してもおかしくは無い。

他方、一部で語られている、中年層による行為者率の有意な上昇は確認ができなかった。むしろ壮齢層以降の方が高い値を示している。男性は午前9時以降も高値を維持したままだが、女性は値が急降下していることから、あるいは壮齢女性以降が子供達と一緒に「ニチアサ」の番組を楽しんでいるのかもしれない。


■関連記事:
【テレビを見るのは朝昼夕食時、夜はやっぱり多めです(最新)】
【テレビ番組を観ている人の視聴時間(2016年)(最新)】
【数十年に渡るテレビ視聴の変化(2016年)(最新)】

スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS