総計34.8万台・前年同月比マイナス11.2%、50型以上の超大型のみ増加(薄型テレビ出荷動向:2016年1月分)

2016/02/25 11:00

2016年2月24日付で電子情報技術産業協会(JEITA)は同協会公式サイト上において、【民生用電子機器国内出荷統計】の最新値となる、2016年1月分のデータを公開した。その公開値によれば2016年1月の薄型テレビの出荷台数は34.8万台となり、前年同月比ではマイナス11.2%となった。小型・中型の出荷台数は減少したが、大型サイズのうち超大型に該当する50型以上が増加の値を計上した。

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純粋出荷数、前月・前年同月比の確認


データ取得元の詳細やデータ内容に関する諸注意、「出荷数」の定義は一連の記事の集約ページ【定期更新記事:薄型テレビなどの出荷動向(電子情報技術産業協会(JEITA))】に掲載している。必要ならばそちらを参照のこと。なお2013年11月分以降は諸般の事情で、一部の記事ではいわゆる「上書き更新」の形で記事展開を行っているので注意が必要となる(JEITA側では毎月データを更新発表している)。

最初にグラフ化・精査するのは純粋な出荷台数。直近2016年1月分の出荷台数、そして過去の公開値を基に当サイトで算出した前月比・前年同月比によるもの。テレビは季節(さらにいえば月)による売行きの変化が大きく、単純な前月比よりも前年同月比の方が、全体的な出荷すう勢を推し量りやすいため、前年同月比も合わせて掲載している。なお2014年4月分以降、出荷台数の区分について、基データでは大型(37型以上)が「37型から49型」「50型以上」の2区分に分割掲載されているが(後ほど2014年1月分から3月分の値も公開されている)、今件記事では過去からの継続性を維持するため、「37型以上」の区分で算出するよう、当サイト側で各種再計算を行っている。

↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(万台)(2016年1月分、JEITA発表)
↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(万台)(2016年1月分、JEITA発表)

↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(前月比・前年同月比)(2016年1月分、JEITA発表)
↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(前月比・前年同月比)(2016年1月分、JEITA発表)

2016年1月における薄型テレビの日本国内出荷台数は34.8万台。前月の66.9万台と比べれば台数を随分と減らしている。これは前月の12月が繁忙期で、今回の1月が閑散期に当たるため。また前年同月比でもマイナス11.2%と数を少なからず減らしており、単純前月比・季節変動考慮の上、双方で状況的にはネガティブと見ることができる。ちなみに2年前同月比を試算するとマイナス16.3%(年換算ではマイナス8.5%)で、状況としては好ましくない。

サイズ別の出荷台数動向としては、今回月は中型が一番伸び悩み、大型が一番よく売れている。ただしこの大型は2年前同月比ではマイナス17.9%で、成長基調にあるのではなく、単に前年同月の反動の域を出ていないことが分かる(単純年換算ではマイナス9.4%)。

昨今では好調なように見える超大型に該当する50型以上の動向。今回月も堅調。37型の大型テレビがかろうじて前年同月比でプラスを計上したのは、実質的に50型以上の健闘によるもの。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(前年同月比)(50型以上限定)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(前年同月比)(50型以上限定)

薄型テレビの需要トレンドは小型から中型、中型から大型、さらには超大型(50型以上)へのシフトが漸次進んでいるとの解釈ができるセールスが続いていた。ケーブルテレビ事業者が提供してきた経過措置的サービスのデジアナ変換サービスの終了で、一時的な小型テレビのミニ特需も生じたが、昨今では再び中型・大型にトレンドがシフトする動きも見られた。

今回月は上記にある通り、絶対数のみを見ると大きなサイズのテレビが売れているように見えるが、前年同月比、さらには2年前同月比まで試算すると特に法則性のある動きは見られない(前年同月比でプラスなのは50型以上のみ。大型に仕切り分けされるもののうち、37-49型も1割以上の減退)。方向性が定まる前の、カオス的状況なのかもしれない。今件は出荷台数であり、実売動向に反映されるのは翌月の2016年2月に相当することを考えると、当サイトで月次報告をしているチェーンストアの売上動向では、2月分はあまり期待はできそうにない。

また、今件記事では仕切り分けをしていないものの、4K対応テレビやハイブリッドキャスト対応型の伸びが堅調なのは注目に値する。それぞれ前年同月比でプラス108.4%、プラス22.9%の成長を示している。昨今では単にテレビのサイズだけでなく、これらの付加価値的要素に購入者の注目が集まっている可能性は高い。今後もこの状況が続くようなら、新たにこれらの要素も継続して精査を行う対象に含める必要がある。

台数そのものと前年同月比の変化


【カラーテレビの買い替え年数をグラフ化してみる】で全般的な傾向値が出ている通り、テレビの買い替え期間の間隔は大体8年から10年(直近の2015年では7.4年)。1年や2年のような短期間で「地デジ特需」の反動が収まるとは考えにくい。極端な話、7年から9年先の需要を先取りしてしまう事例もありえる。

次のグラフは薄型テレビの出荷台数、さらには台数の前年同月比の推移を算出したもの。「停波前特需、特に年末・年度末」「停波直前の駆け込み型特需」「停波後の年の年末に慌てて購入」の3期間で販売台数は上乗せされ、それ以降は軟調な動きで推移しているのが把握できる。さらに昨今のトレンド転換が確認しやすいよう、一部で対象期間を変えた(短くした)グラフを併記しておく。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、万台)(-2016年1月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、万台)(-2016年1月)

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(-2016年1月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(-2016年1月)

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(2012年1月-2016年1月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(2012年1月-2016年1月)

グラフ中に吹き出しを配した「アナログ波停止」(2011年7月)までは小型(青線)・中型(赤線)の方が値は高く、出荷台数が多い=良く売れていた。とりわけ停波による切り替えまで一年未満となった2010年末から、その傾向が強くなる。そしてアナログ波が終了し、デジタル波への移行が完全実行された2012年以降においては、これまでとは正反対に大型(緑線)が伸びはじめる。前年同月比ではいずれもマイナスだが、線の上下関係には明らかな違いが生じている。停波によりトレンドの転換が起きた形である。

この動きは、切り替え前は「テレビが視聴できなくなるのが困る。『テレビ視聴環境が無くなる』のを避けるため、まずは1台調達」、そして切り替え後は「末永く使うのを前提に、少々高くても大型のものを調達」といった消費者側の心理が反映され、売れ筋が変化したと判断できる。

同時に地デジ導入後に顕著化した薄型テレビの需要低迷によって、販売価格が大幅に下落。その結果、大型テレビの購入ハードルが下がったのも、大型テレビの実績堅調化の一因。上記で記した通りテレビの買替年数は8年から10年であり、サイズによる価格差もそれほど大きくはないのなら、大きなサイズで良好な環境を長期にわたり楽しみたいとする流れは、納得の行く推定ではある。

注目すべきは「前年同月比」のグラフの動向。地デジ切り替え後に需要が大幅に減った2011年夏以降、急降下の後、各項目ともマイナスが続いていた。これは直前の特需の反動が主要因(震災起因は無い。もし震災によるものなら、もう数か月前に始まっていたからだ)。しかしその下落から1年経過した2012年秋を過ぎても、状況は回復せずにマイナスが続いている。これは単なる「計算上の反動」だけでなく、1年を超える期間における需要減退が起きていることを意味する。「地デジ化特需」が先取りしたテレビの需要は、1年分だけでなく、数年分まで及んでいる。

一方で前年同月比のグラフにもある通り、2012年夏以降、マイナス幅は少しずつ小さくなっている。先取りした需要の先取り分が漸次消化され、従来の状況への回復過程にある。全サイズでプラス化を果たした2013年9月から再び一部で失速したものの、大型テレビはプラスを維持していた。

2013年末から2014年の春までは、2014年4月の消費税率改定を前に、税率が引き上げられて支払金額が増える前にテレビを前倒して購入してしまおうとの思惑による「駆け込み需要」もプラスに作用し、各サイズとも出荷数は順調に伸びた。ところが2014年3月以降は一転して大きく出荷実績を減じている。一般顧客向けの販売市場では3月の時点で駆け込み需要は続いているが、出荷ではすでに4月以降を見据え、市場の需要減退に備えて大幅に出荷数が減らされた次第である。

2014年4月に入り実際に税率が改定されると、出荷台数はますます減り、グラフも大きなマイナス局面に転じることとなった。以降、一時的な盛り返しを見せる場面もあるものの、上記で触れている通り、サイズシフトがさらに加速し、小型はほぼ底に近づくまでの減退を示し、下げトレンドの中心は中型に移行した状態となっている。その分大型は下げ幅を縮小し、また上記グラフの通り、その実態としては超大型の堅調さとなって表れていた次第である。

2014年11月以降は前年同月に生じている特需の反動を受ける形でマイナスの、しかも大型ほど大きな反動が生じている。この動きは消費税率改定前の駆け込み需要の影響が生じた2015年2月までで、3月以降は従来の動きにシフトしていく(上記の通りCATVの変換サービス終了に伴う小型テレビの特需の影響はあるが)。まだサイズによる法則が確立されておらずランダム的な雰囲気が強い。

グラフの形状を見直すと、2014年後半期からは法則性が見出しにくい動きをしていることも否定できない。2015年後半期以降は、ほぼ下値圏でのもみあい的な値動きとも読み取れる。「流れの確定化にはもう数か月動向を見極める必要があろう」とはかつて用いていた言い回しだが、あるいは薄型テレビに関しては従来の「サイズで販売動向の傾向が生じる」スタイルから、上記の通り「超大型」「4K対応テレビやハイブレッドキャスト対応型」といった、付加価値のある無しによる売れ行きの変化がメインとなる市場にシフトしている可能性は多分にある。

月ごとの販売動向を経年で


最後に季節変動を考慮せず、特に月次の販売動向の確認ができる、別の切り口によるグラフを生成、精査を行う。このスタイルは当サイトでやはり毎月更新している定点・逐次更新上書き型の観測記事「たばこの販売実績」でも用いているもので、個々月の動向を経年で比較している。このように月単位の動きを重ねると、「毎年年度末と年末が季節上の特需時期となる」「その翌月は反動で販売台数が大きく落ち込む」のように、テレビ販売のパターンが読める。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(万台)(-2016年1月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(万台)(-2016年1月)

月単位で確認しても地デジ化直前の2011年(青)をピークに、それ以降は減少が続いているのが、流れとして把握できる。その一方、2011年から2012年にかけての下げ方と比べれば、2012年から2013年への下げ幅はわずかなもので、下げ止まりの時期に突入しているのが分かる。そして2014年は4月の消費税率改定に振り回される形で、2月までは大幅上昇、3月以降は何度かプラスに戻す月もあるものの、概して軟調での動きに落ち着いている。

直近の2016年1月は地デジ転換後の需要減退期における12月分実績としては、2013年に次ぐ低い値を示す形となった。2014年以降は毎年値を落としており、継続的な減退ぶりには大いに留意が必要に違いない。



ここ数か月、見方を変えれば2014年後半期以降の1年強に渡るサイズ別出荷数の不安定な動向は、消費税率周りの特需に関連する反動、さらに小型の需要増加に関してはデジアナ変換サービスの終了によるものとこれまで説明してきた。しかしサイズ別によるトレンドが形成されにくい、されていない可能性が浮上したこともまた本文で述べた通り。見方を変えればサイズによる出荷実績の検証が、さほど意味をなさなくなる時代が到来しているのかもしれない。

ともあれ例年のパターンに従えば、次回月の2016年2月分はそれなりに値を戻すはず。どこまで今回月と比べて値の戻しを見せるか、種類別の動向はどのようなものとなるのか。その動きで、新たな傾向のヒントがつかめる……と良いのだが。


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