「全国紙」の都道府県別トップシェア新聞を地図化してみる(2010年下半期版)

2011/09/18 06:00

先に【新聞購読率約73%、そのうちチラシをほぼ毎日見る人は6割近く】で主要新聞の購読率について触れた際、【読売1000万部維持、毎日は前期比マイナス2.36%…新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2010年後期分データ更新・半期分版)】で挙げた全国紙5紙(読売、朝日、毎日、日経、産経)以外の地方紙の購読率が高いと言及した。その際に用いたデータが「全国紙」の都道府県別トップシェア新聞を地図化した記事なのだが、このデータは資料元もあわせて2007年3月以降更新されていない。「出来れば新しい方が良いのだが」と頭を抱えていたところ、全国紙5紙の定期データを取得している「読売新聞広告ガイド」の【掲載エリアと販売部数】で、類似データを取得できるとのアドバイスをいただくことができた。そこで今回はこの最新データ(2010年7-12月平均、日本ABC協会「新聞発行社レポート 普及率」からのもの)を元に、各種図版の差し替えを試みることにする。

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まずは全国紙5紙がトップシェアを確保している都道府県。これは場所そのものは以前のデータ2007年3月時と同じ、読売が茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、滋賀県、大阪府、和歌山県、山口県。そして毎日が奈良県のみ(前回のデータでは朝日がトップだったが、今回は僅差で毎日がトップとなっている)。あとはすべて地方紙……例えば宮城県なら河北新報、長野県なら信濃毎日が最上位。

なお今回挙げられている数字は前回同様「世帯普及率」であり、該当地域の世帯数に対し、該当する各新聞が配達されている世帯数率を表していることに留意しておく必要がある。例えばある県の世帯数が10万世帯で、1万世帯当てにA新聞が配達されていれば、その県のA新聞でのシェアは10%になる(いずれかの新聞が配られている世帯に対する比率では無い事に注意)。

↑ 「全国紙」がトップシェアを誇る都道府県とその具体名、シェア比率(2010年7月-12月)(読売・毎日以外は該当紙無し)
↑ 「全国紙」がトップシェアを誇る都道府県とその具体名、シェア比率(2010年7月-12月)(読売・毎日以外は該当紙無し)

前回と配置は変わらないのだが、状況を知らない人にとっては思った以上に「全国紙がトップシェアを持つ都道府県」は少ないのかが分かる。今回取得できたデータはトップ3まで確認できるが、そこには読売だけでなく朝日、毎日、日経の姿を見つけられる。以前の記事で「第二位以降はデータが掲載されていないので、恐らくはそちらの順位に”もぐっている”ものと思われる」とした推測は正しかったわけだ。

ちなみに前回からのデータを比較すると次のグラフの通り(奈良県は朝日から毎日に入れ替わったので、トップが固定している読売ののみのグラフ)。間が抜けた形だが、要は全部マイナスという次第。

↑ 全国紙がトップシェアの都府県におけるシェア変移(2007年3月から2010年下半期、読売新聞)(%・ポイント)
↑ 全国紙がトップシェアの都府県におけるシェア変移(2007年3月から2010年下半期、読売新聞のみ)(%・ポイント)

それではどのような新聞がそれぞれの地域でトップなのか。実は元データを見ればお分かりの通り、各地域の地方紙がその地域におけるトップシェアを誇っている。たとえば北海道なら「北海道新聞」で43.6%・115.6万部、山梨県なら「山梨日日新聞」が61.6%・20.7万部。それらを全部集計しなおし、地方紙がシェア50%以上の都道府県を色塗りしたのが次の地図。

↑ 地方紙がトップシェアを持つ都道府県のうち、そのシェアが50%以上のところ。色が濃いほどシェア比が高い
↑ 地方紙がトップシェアを持つ都道府県のうち、そのシェアが50%以上のところ。色が濃いほどシェア比が高い

「全国紙」以外の地方新聞紙が50%以上のシェアを誇っている地域を見ると、四国・中国と日本海側に多いのが分かる。これだけ色が塗りつぶされている地域が多いということは、それぞれの地域で「地方紙」が広範囲に受け入れられているということだ。また、「全国紙」が過半数のシェアを持つ都道府県は存在しないから、こちらの地図で空白の部分は(全国紙がトップシェアを誇っていたとしても)事実上の群雄割拠状態、あるいは乱戦状態であることがわかる(乱戦相手が全国紙なのか地方紙なのかは、また別の話)。



今データからも前回の記事と同じ「全国紙は本来の意味での全国展開紙ではない」ことが確認できる。それぞれの地域に住む人は、自分の地域の出来事を優先する。新聞世代といわれているシニア層はその傾向が強い。そして需要があればそれに応えるのがビジネスというもの。全国レベルの情報がないわけではないが、地方紙は自然にその地域の情報の割合が多くなり、そしてその地域の多くの人が手に取る次第。

新聞購読全国紙でも「●×版」と称して各地域毎の情報を載せるページは存在する。しかしその分量は少なく、地域の区分も比較的大雑把なものでしかない。逆に地方紙はAP通信・時事通信などの通信社や、所属する・契約を結んでいる全国紙から「全国版ニュース」の配信を受けているので、全国レベルのニュースにも事欠くことはない。どうしても「専門の地方紙」と「全国紙」とでは、地方における優劣は前者に軍配が上がるというものだ。

蛇足話を一つ。今回3年強分ぶりにデータを更新出来たことになるが、上の棒グラフの数字が全部マイナスとなってしまっただけでなく、各地方紙でも対全世帯シェア率が確実に落ちているのが確認できる。二つ目の日本地図で「80%以上」の区分が無くなったのも、それが理由によるもの(80%以上のシェアを占めていた徳島新聞が77.2%にまで落ちていた)。

今件は、新聞そのものが全般的に売上を落としている、それは全国紙だけでなく地方紙も同様の動きであることを、あらためて認識せざるを得ないデータであるともいえる。その点でも貴重なデータであることはいうまでも無い。



(Thx to Ka2i!【(該当ツイート)】)

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