東西日本の「肉」の違いをまとめてみる(2015年)

2015/03/15 18:00

先に【日本の牛豚鶏肉の消費傾向をグラフ化してみる(上:金額編)】【日本の牛豚鶏肉の消費傾向をグラフ化してみる(下:分量編)】【家計調査年報】で取得できる値をもとに、日本国内における主要三精肉(牛肉・豚肉・鶏肉)の消費量を金額と分量の観点から確認した。これは【カレーのお肉は「西牛東豚」】をきっかけとした、「西牛東豚」という日本国内の精肉の消費性向を裏付けるためのもの。今回は【カレーのお肉が「西牛東豚」な件について】で覚え書きしておいた一連の調査に係わる要点に関して、もう少し詳しくまとめ直すことにする。

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【カレーのお肉は「西牛東豚」】ではアンケートの結果として、「カレーの肉は西日本で牛肉、東日本で豚肉、西日本の一部で鶏肉が優勢」との傾向が見受けられた。

↑ 「カレー」に入れる「肉」の分布図(再録)
↑ 「カレー」に入れる「肉」の分布図(再録)

冒頭でも触れた各記事でデータから裏付けたように、カレーの肉に限らず肉の消費量・消費金額の観点からも、「西牛東豚」との傾向は正しいことが分かった。ではこの偏りの原因はどこにあるのだろうか。

【我が家のカレーは何の肉?(農林放送事業団)】や「「牛肉」と「豚肉」-肉じゃがの肉は牛? 豚? (方言大学)(【第五回:「牛肉」と「豚肉」?肉じゃがの肉は牛? 豚?(インターネットアーカイブより)】。記事更新時点でサービス終了)」、さらには【「肉」といえば牛?豚?鶏?(全国やきとり連絡協議会)】【「国牛十図」…描かれる牛(畜産ZOO鑑)】などから、

・昔の農耕用家畜としては東日本が馬、西日本は牛が主流だった(昭和30年頃まで)。東日本では冬が長く農耕に適した時期が短いため、作業スピードが求められたのが要因。また厩肥の熱効果も影響していた。

・明治以降は、和牛の産地(兵庫県、岡山県など)に近い関西では牛肉が多くたしなまれた(農耕作業としてはお役御免となった牛を食用にする)。一方関東では馬肉文化はさほど広まらず、関東大震災以降に養豚ブームが起き、豚肉が一般的となる。

・九州地方で鶏肉が多く消費されるのは、「昔から海外との交流がある(鶏肉を食す文化が浸透)」「水炊き、筑前煮などの食文化も広まっていた」などが要因。

・よって関西では「肉=牛」、関東では「肉=豚」が主流に。

・肉料理の多くもこの式に従っている。例えば「肉まん」は実際には豚肉が使われている。関東では「肉=豚」なのでそのまま「肉まん」。
 ところが関西では「肉=牛」なので「肉まん」では「牛肉入りの中華まん」と勘違いされてしまうため、わざわざ「豚まん」と呼ばれている。

・カレーや肉じゃがに入れる肉も、肉そのものの主流に従い、関西では「肉=牛」、関東では「肉=豚」が主流となる。

(西日本ではキリスト教伝来が一因、とする話もあるが、これは裏付けが取れず。「昔から海外との交流がある」あたりに含まれているのかもしれない)

↑ 都道府県別・「牛肉」「豚肉」の年間消費(購入)金額の高低(2014年)(再録)
↑ 都道府県別・「牛肉」「豚肉」の年間消費(購入)金額の高低(2014年)(再録)

と絡めることができる。単純に好き嫌いや何となくではなく、古くからの歴史の流れ、そしてさまざまな時代背景を元に現在の食文化が育まれたことになる。

実際カレーや肉じゃがに入れる肉の種類を尋ねると、「牛肉入りなど見たことが無い」「豚肉を入れるのは初めて聞いた」との答えをよく耳にする。今は数百キロの移動も一日でこなすことができるほど交通機関は発達しており、コンビニや通販で気軽に他地域の特産品を調達することもできる。今件の「肉」の違いのような差異を昔ほど感じる機会は得にくくなったものの、「食文化の系統」は今でも体感できるはずだ。


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