気温低下の影響は最小限、中食やアイスが好調で売上プラス…2016年1月度のコンビニ売上高は既存店が1.0%のプラス、10か月連続

2016/02/23 04:00

日本フランチャイズチェーン協会は2016年2月22日に、コンビニエンスストアの同年1月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でプラス1.0%となり、10か月連続のプラスを示すこととなった。カウンター商材やお弁当、調理めんなどの中食、アイスクリームなどが健闘したことが売り上げを大きく底上げする形となった(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は10か月連続のプラス、全店は35か月連続のプラス
全店ベース……+4.1%
既存店ベース…+1.0%

●店舗数(前年同月比)
+2.9%

●来店客数:既存店は2か月連続のプラス、全店は58か月連続のプラス
全店ベース……+4.0%
既存店ベース…+0.6%

●平均客単価:既存店は10か月連続のプラス、全店も10か月連続のプラス
全店ベース……+0.1%(623.0円)
既存店ベース…+0.3%(614.8円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……+2.5%
加工食品……+2.8%
非食品………−2.7%
サービス……+4.3%
合計…………+1.0%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

1月は先行別途記事のチェーンストアの業績動向でも触れている通り、前半は平年と比べて気温がかなり高めで推移し、中旬以降冷え込む形となった。コンビニへの来客機運としては気温が高めの方が良く、中旬以降は落ち込む動きが生じる。来店客数の実数値は既存店でプラス0.6%と出ておりリリースでも「平均気温は高かったことから全店・既存店とも来店客数はプラスとなった」との表現を用い、気温は低下したが平均気温が高かったので来客は増えたと説明しているが、前年同月の既存店来客数がマイナス1.6%とあるので、多分に反動の領域を出ておらず、気温の低さによる来客減的な傾向はあったものと考えられる。

他方、寒さが上乗せされたことで暖を取る機運も高まったためか、コーヒーをはじめとしたカウンター商材、各種中食関連品、さらには寒いと逆に売り上げを伸ばすアイスクリームがよく売れており、客単価は底上げされている。前年同月の既存店客単価はプラス1.0%で、今回月は反動でマイナスの影響があるのだが、その影響を乗り越えてなおプラスを示しており、来店客のお財布のひもが緩まったことが見て取れる。なおなおたばこや雑誌に絡んだ特記事項は見受けらず、特に大きく売り上げが落ちた、あるいは伸びた動きは無いようだ。

昨年同月の2015年1月は消費税率引上げ後10か月目に相当し、消費税率の影響そのものはほとんど無くなったように見えるが、降水量・降雪量が多分に及び、サービス以外のすべての商品構成で前年同月比にてマイナスを記録した。特に非食品(たばこ含む)はマイナス3.7%と最大の下げ幅を計上している。今回月はこの値と比較することになるため本来なら反動による底上げがあってもおかしくないが、その前提の上でも今回月ではマイナス2.7%と落ち込んでいる。非食品項目の多くを占めるたばこの売上が、前年からさらに落ちているとの推測ができる。

商品構成別の売上高(既存店ベース)の動向を確認すると、淹れたてコーヒーの堅調ぶりで全体をけん引する日配食品はプラス2.5%、加工食品はプラス2.8%、非食品はマイナス2.7%となった。客数が既存店ベースでプラス0.6%であることから、計算を単純化するためにシンプルにその分を考慮して考えると、日配食品や加工食品は実質面(客単価)でも堅調な売り上げを伸ばしている、非食品は落としていることが分かる。またサービスはプラス4.3%と比較的大きな伸びが確認できる。前年同月ではプラス9.4%を計上しており、この分野の飛躍ぶりがうかがえる(2年で約14%の伸び)。

2014年夏まではガソリン代の高騰が来店機運の足を引っ張り、集客の観点でマイナスに働いているのではとの懸念があった。昨今では原油価格の安値安定化に伴いガソリン代も安値で落ち着いており、その観点における心配は薄れている。一方でここ数年来懸念されていたたばこや雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止の状況にあるようで、報告書の言及にたばこや雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は見られなくなった。ただし雑誌はともかくたばこの減退ぶりは、非食品項目の軟調さから容易に想像はできる。

セブンカフェ&ドーナツかつてコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる】)。

たばこは機会あるたびに税負担の上乗せが論議されている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化はない(今年4月からは一部銘柄で、税引き上げとは無関係な値上げが実施されるため、販売数の減少はさらに加速する)。一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうにないが、コンビニにおける同じ印刷物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2015年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも1000店舗をめどに書籍中心の専用棚設置が計画されており、今後非食品項目に影響を及ぼす可能性が出てきた。地域書店の閉店が相次ぐ中、うまく出版物の需要をコンビニがすくい取ることができるのか、注目したい動きではある。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツも良い例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。

イレギュラー的要素によって生じた軟調な環境の中でも、堅調な売り上げを維持できる軸の模索も多方面で進められている。関連他業界を巻き込む形で、今後も多様な動きが見られそうだ。


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