相談件数大幅増加、10万件を突破…警察庁、2014年のサイバー犯罪の検挙状況などを発表

2015/04/22 15:00

警察庁は2015年4月21日、2014年中のサイバー犯罪(コンピュータ技術及び電気通信技術を悪用した犯罪。ハイテク犯罪と同義)に関する検挙状況をはじめとした脅威に関する情勢の情報を発表した。それによると2014年中に各都道府県警察の相談窓口で受理した、サイバー犯罪などに関する相談件数は11万8100件となり、前年比で3万3237件の増加となったことが明らかになった。前年比で迷惑メールに関する相談は3503件増え1万4185件に、詐欺・悪質商法に関する相談は2万2103件増加し5万8340件となった。また不正アクセスに関する相談件数は上位項目と比べればまだ少ないものの、年々確実に増加の傾向を示している(【発表リリース:平成26年中のサイバー空間をめぐる脅威の情勢について】)。

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今報告書によれば、2014年のネットワーク利用犯罪検挙数は7905件で前年比マイナス2.6%、過去最高値を示した昨年からはわずかに減っている。しかしネットワーク利用犯罪は7349件で前年比はプラス10.4%と大幅に増加、こちらは過去最高値を更新した。また各都道府県警察の相談窓口で受理した、サイバー犯罪などに関する相談件数は11万8100件となり、前年比で3万3237件・39.2%の増加。冒頭にもあるように不正アクセスに関する相談は漸増しつつあるが、それ以上に詐欺や悪質商法、違法・有害情報に関する件数が大幅に増加を示している。

↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移
↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移

↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移(2014年、前年比)
↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移(2014年、前年比)

今グラフでは2005年以降を対象に生成したが、2006年の相談件数が前年比でマイナス27.0%と大きく減っている。これは当時の資料【平成18年のサイバー犯罪の検挙及び相談状況について、PDF】なども合わせて確認すると、大きな減少を見せた項目は「ワンクリック請求を中心とする、詐欺・悪質商法」に対する相談であり、一方で警察庁の【インターネット安全・安心相談システム】へのアクセス数が急増、同サービスのうち「料金請求」項目ヘのアクセスが過半数を占めている。同サービスは2005年6月16日に運用を開始していることから、通常の相談窓口を利用する層の多くが、公知によってその存在を知ることとなった、よりハードルの低い「インターネット安全・安心相談システム」へ移行した結果といえる

詐欺・悪質商法の件数が多めであることから、その項目を別分けした上で、主要項目別に経年の相談件数変移を折れ線グラフ化すると次の通りとなる。

↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法限定)
↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法限定)

↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法以外)
↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法以外)

高齢者や若年層が被害を受けやすい架空・不当請求メールを含む詐欺・悪質商法は法整備や各種対策でこの数年漸減傾向にあったが、2013年では大きく増加に転じ、2009年とあまり変わらない水準にまで戻してしまった。そして2014年はさらに増加を示し、相談件数総数を大きく底上げする要因となった。単純な迷惑メールの件数は2013年に減少したものの、2014年では再び増加に転じ、記録の限りでは過去最高値を計上した。

かつて問題視されていたインターネットオークション関連の相談は、詐欺・悪質商法から別個項目分けされていることからも分かるように、社会問題化していたが、この数年は漸減。しかし2013年では再び増加の動きを示し、2014年も増加を続けている。詐欺・悪質商法の増加も合わせ、金銭に絡んだインターネットに関する相談(をせざるを得ない案件)が増加したことになる。より具体的、悪質な方向にインターネット関連の犯罪性向が変化する兆しなのかもしれない。

さらに件数こそまだ少なめだが、不正アクセス・コンピュータウイルス関連の相談件数がほぼ確実に漸増を続けているのも特徴の一つ。2014年は増加率をグンと跳ね上げる形となった。不正アクセスの類はソーシャルメディアやオンラインゲームの普及浸透に伴い、必然的に発生しうる事象であることを考慮すると、今後はさらに増加の動きを示すことが予想される。

リリースでは昨今の脅威情勢について

1.手口の悪質・巧妙化…不正プログラムやソーシャルメディアを用いた情報詐取。不正送金を勝手に行うMITB(Man In The Browser)攻撃を実施するウイルス被害も確認。日本の実情に合わせた内容や特定分野をターゲットにしたメール攻撃も。

2.サイバー空間における犯罪インフラの存在…不正アクセスの温床となる中継サーバー、目標サーバーへの大量データの送り付け有料サービスなど、犯罪行為の助長・容易実現可能なサービスの確認。

3.新たな技術・サービスの実社会への影響…ダウンロードデータを用いた3Dプリンタを用いた違法物品製造、ビットコインを利用した違法薬物の購入。

4.インターネット利用に係わるリスクの拡大…元交際相手に係わる性的画像の掲載、ネット上での危険ドラッグの販売に絡んだ事件、無料通話アプリの乗っ取りによる電子マネー詐称取得など。

などを挙げている。例えばメールによる詐取攻撃では、該当する特定分野の研究会などに対する参加申込方法の通知や名簿の送付を装ったものが挙げられる。説明に曰く「攻撃者が関心を有する分野の研究者などを狙って、標的型メール攻撃(不特定多数に送りつけるタイプでは無く、特定の組織や人にしか送らないタイプ)を実施しているようす」とあり、巧妙化がうかがえる。また標的型メール攻撃では直近の2014年では82%が業務上の連絡を装い、6%が就職活動を装っており、受信者が容易にチェックを入れてしまいそうな手口が多用化されているのが分かる。



今件はあくまでも「相談件数」の推移(標的型メール攻撃などは警察側の把握事例)。相談に至らなくとも同様の事象が発生している可能性は多分にあり、また実際に検挙が行われた件数とも別物。とはいえ、デジタル界隈における多種多様な問題の動向を推し量るには、十分役立つデータといえる。

例えば【いわゆる「レイバンアタック」に本物のレイバンも注意喚起】などで解説した、ツイッターのアカウント乗っ取り事案や、昨年大いに問題視されたLINEのアカウント乗っ取りと詐取者によるプリペイドカード購入依頼、【とりあえず楽天とAmazonとLINEのパスは変更しておいた方がよさそうだ、という話】にもある通り先日明らかになった主要通販サイトのアカウント・パスワードのセキュリティ問題のように、インターネット上の犯罪に係わる問題は、すでに他人事では無くなっている。それこそ某大手艦船シミュレーションのアカウントを乗っ取られ、自分の艦船を廃棄させられた事案もしかり。まさに「今そこにある危機」に他ならない。

特に金銭周りのトラブル相談が増加していることは注意を要する。利用者一人一人が十分以上に気を付けると共に、関係各方面には一層の努力配慮を願いたいところだ。


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