収入と税金の変化をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2015年)

2015/03/10 15:00

総務省統計局が2015年2月17日にデータ更新(2014年・年次分反映)を行った【家計調査(家計収支編)調査結果】では、お金の出し入れを中心に世間一般の世帯動向を多種多様な方面から推し量ることができるデータを見出すことができる。今回はこのデータを用い、勤労世帯における収入と税金の関係を、最新の2014年分だけでなく経年の変化も合わせて確認していくことにする。

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働く大黒柱がいる世帯のお金の出入りを探る


今件データは総世帯(単身世帯と二人以上世帯の合算。要は全部の世帯)のうち勤労者世帯(勤労収入が無く蓄財や年金などで生活している世帯などは含まれない)の平均値を算出したもの。平均世帯人員は2.74人・世帯主平均年齢は46.4歳(2014年データ、以下同)。また、実収入は1年に得た各種収入(世帯主と配偶者収入)の合計を12で割った、つまり一か月の平均値。ボーナスなどは月単位で分散加算されている。宝くじや保険金、退職金などの特殊事情による収入は除外してある。さらに「実収入」は「非消費支出(税金や社会保険料)」と「可処分所得」(自由に使えるお金)に分けられる。具体的な支出・収入の関係は次の通り。

↑ 収入や支出などの内情解説

まずは「実収入」と、「非消費支出」「可処分所得」の推移を見ていくことにする。

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得の推移(円)(総世帯のうち勤労者世帯)(-2014年)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得の推移(円)(総世帯のうち勤労者世帯)(-2014年)

2000年以降減り続けた「実収入」だが、2004年-2005年を底値に上昇の兆しが見えていた。しかしリーマンショックの翌年に当たる2009年で大きく下落。以降は小刻みな上下を繰り返しながら、低迷を続けている。

各世帯が自由に使えるお金「可処分所得」は、2000年と比べて3万円近く減ったまま2007年までほぼ横ばいを続けたあと、やはり2008-2009年で大きく下落。その後は低迷したままとなっている。原因としては「実収入」が減っているだけでなく、「非消費支出」が増加しており、この圧迫感が強い。2014年の可処分所得は38万1929円で、前年比はプラス963円、2000年の値と比べると4万7000円強の減少となる。

税金と社会保険料と


これらの動向、実状がより分かりやすくなるのが次のグラフ。「実収入」に占める「非消費支出」、つまり税金や社会保険料の割合の変化を示したものだが、実収入が減少を続けた2004年-2005年までが横ばいだったのに対し、2006年から急激に割合を増やしているのが確認できる。2013年から直近の2014年にかけては0.2%の減少を示し、これが可処分所得のわずかな増加の原因となっている。もっとも18%強という高い水準を維持している状況に変わりはない。

↑ 実収入に占める非消費支出の割合(総世帯のうち勤労者世帯)(-2014年)
↑ 実収入に占める非消費支出の割合(総世帯のうち勤労者世帯)(-2014年)

↑ 実収入に占める税金や社会保険料比率(-2014年)
↑ 実収入に占める税金や社会保険料比率(-2014年)

累進課税・上限値の設定などがあるため完全な比例関係には無いが、一般的に収入が増えればその分税金や社会保険料も増加する。額が増えても収入に占める割合そのものはそれなりに定率になるはずなのだが(極端な値を示す世帯は少数に過ぎない)、この数年においては「平均的なモデルの世帯では」公租公課の負担「割合」が増えている。2000年-2005年までの安定期と比べると数%ポイントの増加。この上昇分が、2008年位までの「収入が増えても使えるお金が増えない」、それ以降の「収入が減った以上に生活が厳しいように思える」「収入は増えても生活が楽にならない」のような事態を招く主要因となっている。特に2008年以降は実収入の減少もあり、直接税が占める比率は横ばい、あるいは漸減しているものの、それ以上に社会保険(額・)比率が増加の一途をたどり、結果として非消費支出が増えているのが分かる。

2014年は双方ともわずかに減っているが、正直誤差の範囲でしかない。原因として考えられるのは、高齢者の早期退職・定年退職などで非正規社員として再雇用を受け、低所得ながらも勤労者としてカウントされる人が増えたことが挙げられよう。

世帯当たりの社会保険料の額、比率が中長期的に増加しているのは、他の多数の記事で言及している通り、ひとえに社会構造の高齢化に伴う医療をはじめとした社会保障負担の増加が主要因。医療技術の発達に伴うコストの増加もあるが、高齢化の影響に比べれば微々たるものである。

消費者物価指数(CPI)の動向は?


「可処分所得が増えなくても物価が安定していれば、同じ水準で生活できるはず。物価が下がれば生活はむしろ楽になるのでは?」との意見もある。【過去60年にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】で解説しているが、1990年代以降は消費者物価指数はほぼ横ばい、あるいは減少の傾向を見せている。

もっともこの数年は、政府の経済政策の大規模な転換を受け、デフレからの脱却感を覚えさせる雰囲気を示している。次に示すのは2010年以降の消費者物価指数(CPI)を示したものだが(【平成17年基準 消費者物価指数 全国平成22年平均】、2013年あたりから少しずつ上昇を示し始め、2014年4月の消費税率引き上げで大きく跳ね上がり、その後はいくぶん落ち着いた動きに転じているのが分かる。。

↑ 消費者物価指数(CPI)動向(2010年=100)(2010年-2014年)
↑ 消費者物価指数(CPI)動向(2010年=100)(2010年-2014年)

↑ 消費者物価指数(CPI)動向(2010年=100)(2010年-2014年)(光熱・水道指標含む)
↑ 消費者物価指数(CPI)動向(2010年=100)(2010年-2014年)(光熱・水道指標含む)

2つ目のグラフの通り、震災当時の政権による失策を受け、現状もなお続いている電力インフラ関連の不安定さを起因とする断続的な電気料金の引き上げにより、CPI中の光熱・水道指標は大きく上昇のさなかにある。消費税率引上げで一段高、昨今は原油価格などの下落でようやく少しながらも下げの動きを示している状態にある。

この数年は「実収入はほぼ横ばい、直接税も変わらず。しかし社会保険料は増え、結果的に可処分所得は減少」な状態。物価が比較的安定していても自由に使えるお金が減っているのだから、そしてこの2年ほどの間は物価もやや上昇気味である以上、生活が厳しくなるのは当然の話である。



2005年以降の公租公課の増加原因には上記の解説通り、高齢化に伴い年金・社会保険料の漸増が続いていることに加え、定率減税の撤廃が大きな要因。また今回追加した2014年分は例外的な結果となったが、2005年以降社会保険料が(実収入が減っても)増加する場合がほとんどで、結果として可処分所得が目に見える形で減少している点に注目したい。「定率減税の撤廃」「リーマンショック」のような大きな経済的イベントは、確実に各世帯のお金事情に影響を与えていることが改めて認識できる。

また消費者物価指数に絡んで、電気代などから成る光熱・水道が大きな影響を与えている件については、今回グラフに反映された通り、非常に大きく特異な状況を生み出していることから、別途機会を設けて解説する予定である。


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