聴いてる人でも1日平均約2時間…ラジオ視聴者の平均視聴時間などをグラフ化してみる(2015年12月度版)

2015/01/22 12:00

主要なメディアの中でも広告費の落ち込みが著しい、震災で大きくクローズアップされたなど、周辺環境が大きく揺れ動いているのがラジオ。メディアとしての躍進著しいインターネットとの相性も決して悪くはないはずなのだが、効果的な連動の仕組みが構築できず、状況の回復は思わしくないとの話も見聞きする。それではラジオの聴取動向はどのような推移を見せ、また聴取している人の聴取時間はいかなる変化を示しているのだろうか。ビデオリサーチが定期的にプレスリリースを公開しているラジオ聴取動向の最新データ(【発表リリース:ビデオリサーチ 2015年12月度首都圏ラジオ調査 結果まとまる】)をはじめ取得可能なデータを基に、震災前後のラジオ聴取動向について、聴取時間などの観点から確認をしていくことにする。

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ラジオをまったく聴かない人は増加中……から転じての動き


今調査は1週間分の調査票を一括して郵送・回収する「日記式郵送留置調査方式」で実施されている。類似メディアのテレビで視聴率取得の際に使われる自動取得型ではなく、利用者性向で偏りが生じ得るインターネット経由のものでもない。それゆえに、実態とのぶれはほとんどないと見てよい。

まずは調査対象母集団で「ラジオを聴いているか否か」の割合。調査期間の一週間に一度でも5分以上継続して聴取していれば「ラジオを聴いている」と判断し、ラジオ到達者・接触者としてカウントする。この割合の推移を示したのが次のグラフ。

↑ 全局到達率・時系列比較(週次、5時-29時、1週間累積)(-2015年12月)
↑ 全局到達率・時系列比較(週次、5時-29時、1週間累積)(-2015年12月)

グラフにおける縦軸の下限が54%のため大きな変動をしているように見えるが、実際の動きは大したものではない。しかしそれでも2011年3月の震災後にやや上昇し、その1年後以降、具体的には2012年の半ば以降は緩やかながらも失速しているのが分かる。直近では61.7%の人が「週5分以上はラジオを聴いている」と回答したことになる。大体6割だが、見方を変えれば、4割近くの人はラジオとはほぼ無縁の生活を過ごしている。

また大きく下げた2014年8月からは2015年8月に至るまで、継続して戻しの上昇を見せていた。大幅な下げと比べて「半戻し」を超え、さらに緩やかではあるが上昇を継続する様子であり、単なるリバウンドでは無く再上昇の可能性が高くなっていた。2015年10月以降は横ばいへの動きにシフトし、中休み・踊り場的な状態が継続しているが、少なくとも再び下げ基調への気配は見られない。このままもみあいが続くのか、それとも上昇を再開するのかは、予想し難いものがある。

これを世代で区分して個々の動きを確認したのが次の図。若年層ほど到達率は低く、高齢層ほど高いのは想定の範囲内。しかし2011年3月の震災後に10代の到達率が上昇し、一時期ではあるが20-34歳層を超えた動きには注目したい。

↑ 全局到達率・時系列比較(週次、5時-29時、1週間累積)(世代別)(-2015年12月)
↑ 全局到達率・時系列比較(週次、5時-29時、1週間累積)(世代別)(-2015年12月)

2012年後半以降、中長期的には30代半ばより若い層では再び低下の動きを示しているが、震災を機会に多くの若年者が一時的にでもラジオに耳を傾けたのもまた事実。これにはインターネットラジオの普及も一役買ったのだろう。一方、以前【radikoが4月2日正午から全国視聴可能に・民放ラジオ11局も参入】で紹介したが、radikoが2012年4月から全国展開されたものの、それによる若年層の到達率の動きは無い。

また、中期的に見るとシニア層でも漸減する傾向が目に留まる。数回分の調査結果からの動きでは無く、数年分の中での流れなだけに、注視する必要がある。同世代はラジオにとって一番のお得意様に他ならないからだ。この世代の離反は、ラジオ業界にとっては大きな痛手に他ならない。もっともその動きも2015年頭で落ち着きを見せ、同年夏以降は再び上昇する動きを示し、目安となる80%台を回復している。

ここしばらくの間、具体的には2015年4月以降、震災後に生じた「10代到達率が20-34歳層を超える」現象が再び発生していた。どちらか一方の層の変動では無く、10代の増加と20-34歳層の減少が同時期に起きており、注目に値するものだった。しかし2015年10月では10代の値が前調査月からさらに下落し、20-34歳層は上昇。結果として再びクロスが生じ、普段の順位に戻ってしまった。今回月でもその立ち位置に変わりは無く、イレギュラーな流れだったものと思われる。

ラジオ聴取者の聴取時間は


「ラジオ聴取者における」平均的な聴取時間は次の通りとなる。ラジオを聴いている・聴いていない人双方を合わせた値から算出したものでなく、聴いた人のみの平均であることに注意(元々聴取率の低い若年層ほど「聴いていない人が多い」ことを起因として、平均聴取時間数が減ってしまうといった現象は起きない)。

↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(分/一人・日)(2015年12月、世代別)
↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(分/一人・日)(2015年12月、世代別)

↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(分/一人・日)(-2015年12月)
↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(分/一人・日)(-2015年12月)

直近の2015年12月時点では全体平均で123分/日。これが10代では45分、20-34歳では88分、35-49歳では114分。50歳以上の153分が、全体平均を底上げしているのが分かる。聴く・聴かないの比率だけでなく、聴取者の聴取時間でも、高齢者ほどラジオと親しい関係にあることになる。

時系列による聴取者聴取時間の変化では、震災をきっかけに10分単位で増加したが、2012年に入って失速。2012年半ばを底として、うねりを見せつつ多少ながらも戻しを見せていた。この流れは先の全局個人聴取率と変わらない。ただし2014年夏以降は聴取時間においても減少する傾向にあった。直近の2015年12月における大幅な伸びは、他の項目にも見られた数字上の躍進を想起させる。特に高齢層において、ラジオ聴取に絡んだ動機づけがあったのだろうか。

世代別動向を見ると、中期的には高齢層の漸減の気配がある。また20-34歳層も2014年以降下げ基調にあるようにも見える。

↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(一人・日)(世代別)(-2015年12月)
↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(一人・日)(世代別)(-2015年12月)

それぞれの世代の聴取時間の立ち位置がクロス、さらには入れ替わることは想定しにくいが、各世代で興味深い動きを示していることに違いはない。また、直近の2015年12月では未成年者以外の層で大きく時間が伸びているのが分かる。聴く人が増え、聴いている人の聴取時間も伸びる。12月はラジオに大きく活力が与えられたような雰囲気ですらある。

今後各世代がどのような変化をとげるのか、是非とも継続確認したいところだ。


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