開発途上国への開発協力はなぜ必要? 最多意見は「資源安定供給に貢献」(2014年)

2014/12/24 08:00

内閣府は2014年12月22日、外交に関する世論調査を発表した。その内容によると調査時点において、日本国が行っている開発途上国への開発協力について、その実施する理由・意義を聞いたところ、最多同意意見は「エネルギー資源などの安定供給の確保に資するから」で、約半数を占めていることが分かった。次いで「国際社会での日本への信頼を高める必要があるから」「東日本大震災に際して得られた各国からの支援に応えるためにも引き続き協力すべきだから」などが続いている。世代別では概して中堅層が多方面で意義を感じているが、高齢者では意義への同意率は押し並べて低く、さらに「分からない」との意見も他世代より多く見受けられる(【発表リリース:外交に関する世論調査】)。

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今調査に関する調査要項などは先行記事【日本のアメリカへの親近感83%、中韓への親近感は過去最低に】を参考のこと。

日本も含め先進国は開発途上国に対し、資金協力や技術協力などの開発協力を行っている。今件調査ではかつて「ODA」(Official Development Assistance(政府開発援助))との表現を用い、政府あるいは政府の実施機関により、開発途上国や国際機関に供与・貸与される、資金や技術提供による協力行為のことを対象としていたが、【開発協力適正会議】にもある通り、有償資金協力や技術協力も合わせた、より広義な支援を意味する「開発協力」の言い回しが今回調査から用いられている。

とはいえ目的はODAと何ら変わるところは無い。外務省の解説(【外交政策:ODAとは】)によると、ODAは国際社会での重要な責務であり、日本の信頼をつちかい、存在感を高めることに資する役割を果たしている。また開発途上国の安定・発展化に寄与することで、国際平和に依拠し、資源・食料を海外に依存する日本にはプラスとなるとも解説している。

この開発協力について、どのような観点から意義がある、実施すべきであると考えているかにを聞いたところ、「エネルギー資源などの安定供給の確保に資するから」とする意見がもっとも多く、47.5%に達していた。

↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答)
↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答)

日本は石油、ガス、石炭などエネルギー資源の大部分を海外に依存しており、諸外国の情勢不安定化はそれらの資源の供給が不安定化することにもつながる(前世紀のオイルショックが良い例)。この項目への回答者が多いのも納得できる話。

次いで多いのは「国際社会での日本への信頼を高める必要があるから」で44.1%。さらに「東日本大震災に際して得られた各国からの支援に応えるためにも引き続き協力すべきだから」の39.6%、「先進国として開発途上国を助けるのは人道上の義務または国際的責任だから」の39.3%が続く。表現は異なるものの、目指すところはほぼ同じであるとみなせる項目が上位に続いている。

「東日本大震災に際して得られた各国からの支援に応えるためにも、引き続き協力すべきだから」との意見は「恩には恩で報いるべき」という、当たり前ではあるが、当たり前だからこそ難しい行動として開発協力を認識しているとも受け止められる。この項目は前年2013年調査結果よりも順位を上げており、人々の内心における相対的位置が上昇したとの解釈ができる。

昨年からの比較といえば、「開発協力は日本の戦略的な外交政策を進める上での重要な手段だから」の大きな上昇ぶり、そして小幅ながらも「中国などによる開発途上国への進出が著しく、日本の存在感を確保する必要があるから」も上昇しているのが目に留まる。相対的な外交上の立ち位置の後退を懸念する思惑が透けて見えてくる。

これを世代別に見ると、概して40代から50代の中堅層が高い値を示し、若年層と高齢層は低い傾向が見受けられる。

↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答)(世代別)(2014年)
↑ 政府による開発協力を実施すべき観点(複数回答)(世代別)(2014年)

興味深い動きが2点。1つは若年層はあまり感心が無いからか、どの項目でも回答率が低めとなっている。ただし「国際社会での日本への信頼を高める必要があるから」「東日本大震災に際して得られた各国からの支援に応えるためにも、引き続き協力すべきだから」の2点では他世代同様、さらには他世代よりも高い値を示している。国際社会における日本の立ち位置について、低い評価を受けることへの懸念を持っている感はある(さらに「中小企業を含む日本企業や地方自治体の海外展開など、日本の経済に役立つから」の項目でも他世代に負けない値が確認できる)。

一方で高齢層は若年層同様に低めの回答率を示しており、これは項目の上での例外は無く、押し並べて低い状態。しかも「特にない」「分からない」の回答率も高い。先行記事【開発途上国への支援、「現状維持」が約半数(2014年)(最新)】でも示唆した通り、限られた日本国内のリソースの使い道について、中長期的な成果が期待できるものの、即効で見返り・成果は望めない開発協力に対する関心の薄さ(≒回答者自身に恩恵が生じる可能性は低い)が、数字となって表れているのかもしれない。


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