ハンバーガーの軟調さはやはり…世帯単位での外食などの利用性向推移をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2015年)

2015/03/05 14:00

就業者の昼食や家族の団らんの場、気分転換のきっかけとしてなど、多様な場面で使われる外食。単に食事をする切り口で見れば、多分にコストが高くつくことから、節約の対象となる場合も多い。見方を変えれば、景気動向に左右されやすい消費行動ともいえる。今回は外食の主な消費性向について、総務省統計局が2015年2月17日にデータ更新(2014年・年次分反映)を行った【家計調査(家計収支編)調査結果】を基に、その現状や経年変化について精査していくことにする。

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大きな変化無し、但しハンバーガーは大幅減少


次以降のグラフは家計調査報告(家計収支編)の「総世帯」から各種データを抽出の上、必要なものについては独自に算出した値を用いている。今回は世帯種類毎の消費性向の違いはさほど問題ではなく、市場全体の消費の動きを確認することが目的なため、「単身世帯」「二人以上世帯」それぞれの値は考察しない。またグラフ中や文中に登場する「購入世帯数」「世帯購入頻度」などの言葉の意味は、先行記事【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)】などですでに解説済みなので、そちらを参照のこと。

取り上げる項目は「一般外食」、さらにはその中に含まれる「ハンバーガー」「他の主食的外食」。その中身は【収支項目分類及びその内容例示(平成22年1月改定)】で次のように解説されている(今定義が最新)。

↑ 「一般外食」「ハンバーガー」「他の主食的外食」詳細

まずは「購入世帯頻度」と「支出金額」。直近データの2014年分について、主要項目の「購入世帯頻度」と「平均支出額」、さらには「一人当たり」の金額をグラフ化したのが次の図。なお「ハンバーガー」や「他の主食的外食」は「一般外食」の内部項目(厳密には「一般外食」の一区分に「食事代」があり、その「食事代」の一区分として「ハンバーガー」「他の主食的外食」がある)でしかないことに留意する必要がある。

↑ 2014年における総世帯の平均支出金額・購入世帯頻度(外食全般と主要品)(月次換算)
↑ 2014年における総世帯の平均支出金額・購入世帯頻度(外食全般と主要品)(月次換算)

↑ 2014年における総世帯の”一人当たり”平均支出金額(外食全般と主要品)(月次換算)
↑ 2014年における総世帯の”一人当たり”平均支出金額(外食全般と主要品)(月次換算)

「一般外食」の利用頻度は月あたり7.0回。実質的には宅配ピザのような中食も含まれるので、さほど多いわけではない。ドーナツ、お好み焼き、ファミレスなどでの食事は月に約2回程度。金額で一人頭1800円強は、1回あたり800円位となるため、ファミレスのランチメニューとコーヒーで大体額が合う形になる。一方、「ハンバーガー」は3か月強に1回と少なめ。これは「総世帯」には利用者が少ない高齢者世帯層も含まれるため。

また2013年の値と比較すると、「一般外食」「他の主食的外食」はやや軟調だが大きな動きが無い一方、「ハンバーガー」が購入頻度・金額共に大きく減少している。

2014年における総世帯の平均購入世帯頻度(外食全般)(前年比)
↑ 2014年における総世帯の平均購入世帯頻度(外食全般)(前年比)

詳しくは後述するが、昨今のハンバーガーチェーン店業界の現状に加え、特定大手のトラブルの影響を改めて認識させられる。また「中華食」も大きな下げを示しているが、これもハンバーガーチェーン大手のトラブルの事案内容に連想してのものだと考えられる。

経年変化で動向を探る


この「購入世帯頻度」「支出額」の経年推移を、データが収録されている2002年以降のものにつき、時系列で再整理してグラフ化したのが次の図。

↑ 総世帯の平均購入頻度(-2014年)(外食全般と主要品)(月次)
↑ 総世帯の平均購入頻度(-2014年)(外食全般と主要品)(月次)

↑ 総世帯の平均支出金額(-2014年)(外食全般と主要品)(月次、円)
↑ 総世帯の平均支出金額(-2014年)(外食全般と主要品)(月次、円)

まず外食全般に相当する「一般外食」は、中期的には頻度も額も減少している。世帯構成人数の減少も一因ではあるが、それをはるかに上回る減少率を示している。本統計上の集計値としての平均世帯人数は、2002年が2.63人・2014年が2.41人。8.4%の減少でしかない。それに対して支出金額は9.7%、購入頻度は10.1%も減少している。この動きは外食産業で平均単価が下がったことに加え、「外で食べる」(=中食を含まない)外食を避ける流れが進んでいることが見えてくる。一方「ハンバーガー」は少しずつではあるが、購入頻度・購入額共に、確実に増加中「だった」。

ところが2012年以降は多様な変化が確認されている。「一般外食」全体では頻度・支出金額の下落が止まり、横ばい、支出金額に至っては上昇の機運すら見受けられる。「他の主食的外食」は横ばいを示し、下落トレンドから転じた雰囲気。その一方、「ハンバーガー」は支出金額・頻度共に大きく下落を示す形となっている。

直近の2014年では上記にある通り「ハンバーガー」は頻度・支出金額共に大きな下落。これは2012年から続く食生活全般に渡る消費性向の変化がとりわけ外食産業の中でもファストフード系に影響を与えている点に加え、ハンバーガーチェーン店では日本最大手のマクドナルドが夏以降相次いでトラブルに見舞われ、その影響が同社だけでなく消費者サイドにおける購入頻度・支出金額にも反映された形となっている。

↑ マクドナルド月次セールス(既存店、前年同月比)
↑ マクドナルド月次セールス(既存店、前年同月比)

食の多様化、量から質への転換、外食から中食へのシフト、食事をする場所から食の時間を楽しむ場所への需要変化など、多様な環境の動きが震災以降外食産業に影響を与えている。加えてマクドナルドでは夏のナゲット問題、異物混入問題、さらには(直接責は無いが)ポテト商品のじゃがいも輸入ルート事情から来る供給問題など、客数と客単価をさらに引っ張る事案が相次いだ。

ただでさえ減退傾向にあった客数が2014年夏以降一段減となり、その上客単価も減退したことで、売上が一段と落ち込んだ状況が確認できる。見方を変えればそれだけ消費者の足が離れたこととなり、世帯単位の動向にもそれが反映された形となった……と見て間違いはあるまい。



冒頭で触れている通り、家計内の経費削減対象として、しばしば上位項目に挙げられるのが「外食」。今回のデータでは、中期的には利用性向・利用金額共に減退していること、そして2012年以降は幾分の復調の兆しが見られること、さらに食生活・趣向の大きな変化に加えイレギュラー的な事象により「ハンバーガー」が大きな下落基調に転じてしまったことが確認できる。「ハンバーガー」は統計値が取得できる2002年分以降は漸増傾向だった状況を合わせ見るに、大きな食生活、外食に関する流れの変化が生じたことが分かる。

「外食」は最近とみに増えてきた中食との関連性も合わせ、単身世帯の増加によって今後注目を集める業態なだけに、今後も動向を注意深く見守っていかねばなるまい。


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