一人暮らしと夫婦世帯との間の「週刊誌や雑誌、書籍の支出額」の違いをグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2015年)

2015/03/03 15:00

先に【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)】において、「二人以上の世帯」と「一人暮らしの世帯(単身世帯)」を合わせた「総世帯」、つまり全部の世帯における、「新聞や雑誌、書籍などの購入度合い」を検証した。今回は「二人以上の世帯」「単身世帯」それぞれ別個の紙媒体の購入頻度や購入額の違いを、2015年2月17日に年次データが更新され直近分となる2014年分が反映された【家計調査報告(家計収支編)】の内容を元に、精査していくことにする。

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単身世帯の新聞購入率は4/5


データの取得元だが、場所は【家計調査(家計収支編)調査結果】で先の記事と同じ。そのページにある「4.詳細結果表」の項目から、「二人以上の世帯」「単身世帯」それぞれ別個について、やはり同じように「購入世帯頻度」と「支出金額」を確認する。今回は収録されている年次データのうち、先日更新されたばかりの一番新しいもの、2014年分を用いる。

グラフ中などで使われている「世帯購入頻度」とは、世帯単位での購入頻度を指す。例えば構成員の誰かが特定期間に2回雑誌を購入すれば、その世帯の該当期間における購入頻度は200%。非購入世帯も含めての計算であることに注意。また、単身世帯は当然構成員が世帯主一人しかいないので、本人のみの購入が計測されることになる。単身世帯で月に4回(≒毎週)週刊誌を購入していれば、その世帯の雑誌購入頻度は400%となる。

まずは月次購入頻度。今グラフに関しては「世帯単位での動き」であることに注意。「単身世帯」は上記にある通り本人自身のみ、そして「二人以上世帯」は夫か妻の片方どちらか、さらには子供が購入しても(子供の小遣いによる調達までは「家計」にカウントしきれていないので、あくまでも「世帯全体のお財布から買った」もののみとなるが)「購入世帯」として該当する。

↑ 2014年における単身・二人以上世帯の月次購入頻度(世帯当たり)(総務省統計局発表)
↑ 2014年における単身・二人以上世帯の月次購入頻度(世帯当たり)(総務省統計局発表)

新聞は「二人以上世帯」が「単身世帯」よりも5%ポイント強、高い。家族を持つと新聞が入り用になるようだ。また「書籍」も8%ポイント近く上回っており、夫婦のそれぞれが、あるいはいずれかが読書のために書籍を購入しているようすがうかがえる。子供がいる世帯では、子供向けの書籍購入事例もあるのだろう。

「二人以上世帯は単身世帯と比べて、購入する機会がある人が2倍以上(少なくとも夫婦)なのだから、購入頻度が高くて当然」との意見もあるに違いない。それは一理ある。しかし「雑誌・週刊誌」では「単身世帯」「二人以上世帯」の差異がほとんどない。むしろ「単身世帯」の方がわずかだが高い値を示している。その場読み・時間つぶし・短期消費性向の強い「雑誌・週刊誌」はコストパフォーマンスに劣るため、消費の際にお財布事情を気にしやすい、あるいは配偶者の目が気になる「二人以上世帯」では、手に取られにくいと考えられる。

そして前年となる2013年分のデータとの差異を算出した結果が次のグラフ。

↑ 2014年における単身・二人以上世帯の月次購入頻度(世帯当たり)(総務省統計局発表)(前年比)
↑ 2014年における単身・二人以上世帯の月次購入頻度(世帯当たり)(総務省統計局発表)(前年比)

世帯種類別の差異を中心に見ていくと、「全体的には購入性向は減退」「書籍は単身世帯の方が大きく減退」「新聞は単身世帯ではむしろ増加」の動きが確認できる。全体的な減退性向は、やはり中長期的な紙媒体離れがあり、その動きの一環と考えれば道理は通る。

新聞における単身世帯の増加傾向だが、これにはいくつかの要因が想定される。一つは乱数的要因によるもの。いわゆる「ぶれ」。そしてもう一つは恐らくこちらが本命だろうが、単身世帯における高齢層の増加に伴い、高齢者の購入性向が年々色濃くなった結果によるもの。

高齢層が新聞好きなのは良く知られている話だが、単身世帯では特にその傾向が強い。実際、2014年における単身世帯でその世代別の新聞購入金額を見ると(世代別購入性向のデータは公開されていないので、購入者・非購入者を合わせた平均購入額から購入動向を推測するしかない。また新聞単価そのものは種類によって大きな違いは無い)、若年層と高齢層との間で新聞購入への姿勢に大きな違いがあるのが分かる。

↑ 2014年における単身世帯・世代別・月次平均支出金額(総務省統計局発表)(新聞)
↑ 2014年における単身世帯・世代別・月次平均支出金額(総務省統計局発表)(新聞)

そして全体的な構成比率を反映することになる、家計調査における抽出率調整後の世帯分布を見ると、確実に高齢層は増加の一途をたどっている。

↑ 単身世帯・世代別・世帯数分布(抽出率調整)(家計調査・家計支出編)
↑ 単身世帯・世代別・世帯数分布(抽出率調整)(家計調査・家計支出編)

新聞をよく読む高齢層の回答比率が増えれば、(二人以上世帯も合わせた)新聞全体としての購入性向が減っていたとしても、購入頻度の値が前年比でプラスとなる結果が出ても何ら不思議では無い。来年以降もプラスとなるか、あるいはマイナスでもその減り方は小さめなものとなるだろう。

なお「他の印刷物」が二人以上世帯で増加、単身世帯も最小限の下げ方に留まっているが、これは具体的には「(映画などの)プログラム、カレンダー」「学生新聞、宗教新聞、点字新聞」などが該当する。元々絶対値が小さいこともあり、誤差の範ちゅうと見て良い。

金額ベースで動きを見てみよう


この動きを金額ベースで見たのが次のグラフ。子供の存在を考えると数字に大意はない(大人と子供で購入性向は大きく異なるにも関わらず、それらをまとめて計算してしまう)のだが、一応「二人以上世帯」では「一人当たり」も(平均世帯構成人数から)算出して、グラフを併記しておく。

↑ 2014年における単身・二人以上世帯の月次「世帯当たり」平均支出金額(総務省統計局発表)(二人以上世帯・平均構成人数3.03人)
↑ 2014年における単身・二人以上世帯の月次「世帯当たり」平均支出金額(総務省統計局発表)(二人以上世帯・平均構成人数3.03人)

↑ 2014年における単身・二人以上世帯の月次「一人当たり」平均支出金額(総務省統計局発表)(二人以上世帯・平均構成人数3.03人)
↑ 2014年における単身・二人以上世帯の月次「一人当たり」平均支出金額(総務省統計局発表)(二人以上世帯・平均構成人数3.03人)

購入頻度は多少ながらも「二人以上世帯」の方が上だが、金額は一人あたりでは無く世帯単位で計算しても、「単身世帯」の方が上(「他の印刷物」は例外だが)。「単身世帯」の方が本の購入には多少ながらもおおらかな雰囲気が見受けられる。

また前年となる2013年次の値と比較すると、単身世帯で「書籍」において大幅な、具体的には55.2円/月もの減少が確認できる(二人以上世帯では5.0円/月の減少で留まっている)。購入頻度も少なからぬ低下が確認できるため、金額面でもいわゆる「本」離れが進んでいる可能性は多分にある。ただし単身世帯に限れば、高齢者の方が書籍購入性向は低いことから、上記の「新聞」にある通り高齢者層の比率増加が影響している可能性は否定できない。



「新聞は二人以上世帯の方が購入頻度が高い」「雑誌や週刊誌は暇つぶし、時間の合間に読まれることが多く、コストパフォーマンスは低い。お財布のヒモが緩い単身世帯の方が多く買われていた。2014年は雑誌離れが進み、購入頻度が下落している」「書籍は単身世帯での購入金額が大きく減少している」など、業界を取り巻く現状・環境の再確認が出来たことになる。とりわけ「二人以上世帯の新聞離れ」「雑誌・週刊誌離れ」は注意すべき動向といえる。

今後他調査などで各業界の動向を精査する際にも、今回の結果が役に立つに違いない。


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