数十年に渡るテレビ視聴の変化をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/03/08 10:52

モノクロタイプで多くの人の心をとらえ、カラータイプの普及に伴いその心をぎゅっとつかんでそれ無しには生きていけないほどのとりこにしてしまったのがテレビ(放送)。ところが今世紀に入ると類似の新型エンターテインメントツールが多数登場し、選択肢が多様化したことで人々の心はまどわされ、テレビの絶対王政は終わりを遂げようとしている。その動向の一端を、NHK放送文化研究所が2016年2月17日に発表した2015年国民生活時間調査の報告書をもとに、確認していくことにする(【発表リリース:2015年 国民生活時間調査】)。

スポンサードリンク


職種別のテレビ視聴の実情、20年前と今と


今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを観る人、高齢者は相変わらず高視聴率だが…(2016年)(最新)】を参照のこと。また今件ではテレビ(番組)を観ている人を「テレビ行為者」と表現しているが、これは1日15分以上テレビ(据え置き型テレビの他にワンセグによる視聴も含む。録画視聴や購入・レンタルソフトの視聴は除く)を観ている人を意味する。要は実質的に回答者が「テレビを観ている」と自認できるほどの視聴をしている人のことを指す。

職種のうち「勤め人」とは「有職者」(職を有している人)のうち「雇用される側」(販売職・サービス職、技能職・作業職、事務職・技術職、経営者・管理職)を意味する。有職者のすべてが勤め人では無いので注意が必要。

冒頭で触れた通り、人々の生活におけるポジションが著しく変化をとげているテレビだが、その利用のされ方はひとりひとりの職種によっても大きく異なる。無職(多分に高齢年金生活者)は余暇時間を多く有しているのでテレビにも長時間を割けるが、学生や勤め人はそれも難しい。

結果として無職や主婦はテレビの行為者率が高いが、勤め人は低めとなる。これは今件データに関して取得可能なもっとも古い値20年前でも、直近となる2015年でも変わりはない。なお農林漁業者の2015年・日曜分が空白だが、これは該当回答者が少数で統計値が算出できなかったことによるもの。

↑ テレビ視聴行為者率(職種別、平日)
↑ テレビ視聴行為者率(職種別、平日)

↑ テレビ視聴行為者率(職種別、日曜)
↑ テレビ視聴行為者率(職種別、日曜)

まず平日だが、主婦や無職、農林漁業者のような、時間の柔軟性が高い職種は高め、勤め人や学生は低めの値が出ている。そして経年では元々低い値だった職種が大きく下げ、時間に余裕がある職種はあまり下げていない。テレビの優先順位が下がる、選択肢が多様になった結果、多忙な人が別のメディアを選び、テレビを選択から除外した・順位が下がったため手をつける機会が減ったことがうかがえる。特に学生や勤め人の下げ具合が著しい。

休日も平日と状況はあまり変わりない。しかし平日と比べて休日は時間に多少の余裕があるはずで、それでもなお平日に多忙な勤め人や学生が相変わらず20年の間に大きな減少を示しており、単に「時間が足りなくて優先順位の低いテレビを観る人が減った」だけでなく、「趣向上の選択の結果、テレビ視聴を除外した」人が多数に及んでいることが分かる。とりわけ若年層がほとんどを占める学生の下げ幅が注目に値する。

一方、テレビを視聴している人に限定した視聴時間は20年で増加の動きにある。

↑ テレビ視聴者の平均視聴時間(職種別、平日)(時間:分)
↑ テレビ視聴者の平均視聴時間(職種別、平日)(時間:分)

↑ テレビ視聴者の平均視聴時間(職種別、日曜)(時間:分)
↑ テレビ視聴者の平均視聴時間(職種別、日曜)(時間:分)

学生≒若年層のテレビ離れは本格的で、視聴者ですら視聴時間を減らしているが、それ以外は大よそ20年間で同時間、むしろ無職や主婦に限れば大きな増加の流れにある。とりわけ無職の時間の増加ぶりが著しいが、これは中堅層までの無職よりも、高齢者≒テレビ愛好家の無職が増えたことも一因ではある。

もっとも20年前も今も、学生はテレビを観ている人でもさほど長くない、無職や主婦はテレビ視聴時間が長い状態に変わりはない。

ながらと専念、いまむかし


テレビ視聴のスタイルは、「専念して観る」「他の事柄をしながら観る」の2様式に仕切り分けもできる。特にテレビは後者の「ながら視聴」を容易にできることが、メディアとしての優位性のポイントでもある。この2様式の視聴動向の推移を記したのが次のグラフ。今件項目は取得可能なもっとも古い値が10年前の2005年分であったことから、2005年と直近2015年との比較となる。

↑ テレビ視聴行為者率
↑ テレビ視聴行為者率

↑ テレビ視聴者の平均視聴時間(時間:分)
↑ テレビ視聴者の平均視聴時間(時間:分)

ながら視聴の方が行為者率は低くなる状況は昔も今も変わらない。一方で減少した%ポイントを見ると、平日は専念視聴の方が行為者率の低下は大きいが、日曜はながら視聴の方が大きく減っている。平日は夕食後の家族そろっての憩いの時間における専念視聴が減った機会が大きいからだろう。休日は時間の余裕がある中で、すること・できることが増えたのが一因かもしれない。

視聴者に限定した視聴時間は、ながら視聴は平日・日曜を問わず微増しているが、専念視聴は平日のみ増加している。興味深い動きではある。


■関連記事:
【テレビを観ながら携帯操作、調べものをしたり実況したり…テレビと携帯のながら実情を探る(2015年)】
【テレビを観ながらネットをする「ながら視聴」割合をグラフ化してみる(2013年)】
【「テレビを観ながらネットする」はどこまで浸透しているのだろうか(2015年)(最新)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー