数十年にわたるテレビ視聴の変化(最新)

2021/06/14 04:11

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2021-0603モノクロタイプで多くの人の心をとらえ、カラータイプの普及に伴いその心をつかんでそれ無しには生きていけないほどのとりこにしてしまったのがテレビ(放送)。ところが今世紀に入ると類似の新型エンターテインメントツールが多数登場し、選択肢が多様化したことで人々の心はまどわされ、テレビの絶対王政は終わりを遂げようとしている。その動向の一端を、NHK放送文化研究所が2021年5月21日に発表した2020年国民生活時間調査の報告書を基に、確認していくことにする(【発表リリース:「2020年 国民生活時間調査」結果概要】)。

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職種別のテレビ視聴の実情、25年前と今と


今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを見る人、しかし高齢者は相変わらずほとんどの人が見ている(最新)】を参照のこと。また今件ではテレビ(番組)を見ている人を「テレビ(視聴)行為者」と表現しているが、これは1日15分以上テレビ(据置型テレビの他にワンセグによる視聴も含む。録画視聴や購入・レンタルソフトの視聴は除く)を見ている人を意味する。要は実質的に回答者が「テレビを見ている」と自認できるほどの視聴をしている人のことを指す。

冒頭で触れた通り、人々の生活におけるポジションが著しく変化をとげているテレビだが、その利用のされ方は職種によっても大きく異なる。無職(多分に高齢年金生活者)は余暇時間が長いのでテレビにも長時間を割けるが、学生や就業者はそれも難しい。

結果として無職や主婦はテレビ視聴行為者率が高いが、就業者は低めとなる。これは今件データに関して取得可能なもっとも古い値1995年でも、直近となる2020年でも変わりはない。

↑ テレビ視聴行為者率(平日、調査年別)
↑ テレビ視聴行為者率(平日、調査年別)

↑ テレビ視聴行為者率(日曜、調査年別)
↑ テレビ視聴行為者率(日曜、調査年別)

まず平日だが、主婦や無職、農林漁業者のような、時間の柔軟性が高い職種は高め、就業者や学生は低めの値が出ている。そして経年では元々低い値だった職種が大きく下落し、時間に余裕がある職種はあまり下げていない。テレビ視聴の優先順位が下がる、選択肢が多様になった結果、多忙な人が別のメディアを選び、テレビ視聴を選択から除外した・順位が下がったため手をつける機会が減ったことがうかがえる。特に販売職・サービス職や学生の減少度合いが著しい。

休日も平日と状況はあまり変わりない。しかし平日と比べて休日は時間に多少の余裕があるはずで、それでもなお平日に多忙な就業者や学生が相変わらず25年の間に大きな減少を示しており、単に「時間が足りなくて優先順位の低いテレビを見る人が減った」だけでなく、「選択の結果、テレビ視聴を除外した」人が多数に及んでいることが分かる。とりわけ若年層がほとんどを占める学生の減少度合いが注目に値する。

一方、テレビを視聴している人に限定した視聴時間は25年で増加の動きにある。

↑ テレビ視聴行為者のテレビ視聴時間(平日、調査年別、時間:分)
↑ テレビ視聴行為者のテレビ視聴時間(平日、調査年別、時間:分)

↑ テレビ視聴行為者のテレビ視聴時間(日曜、調査年別、時間:分)
↑ テレビ視聴行為者のテレビ視聴時間(日曜、調査年別、時間:分)

学生≒若年層のテレビ離れは本格的で、テレビ視聴行為者に限定しても視聴時間を減らしているが、それ以外はおおよそ25年間で大きな変化は無し、むしろ日曜の一部属性では大きな増加の流れにある。とりわけ農林漁業者や自営業者、無職の時間の増加ぶりが著しいが、これはそれらの属性の少なからずを構成する高齢者≒テレビ愛好家が増えたことも一因ではある。要はそれらの職種そのものではなく、その職種の年齢階層別構成比の変化が原因。

もっとも25年前も今も、学生はテレビを見ている人でもさほど長くなく、無職や主婦はテレビ視聴時間が長いことに変わりはない。

ながらと専念、いまむかし


テレビ視聴のスタイルは、「専念して見る」「他の事柄をしながら見る」の2様式に区分もできる。特にテレビは後者の「ながら視聴」を容易にできることが、メディアとしての優位性のポイントでもある。この2様式の視聴動向の推移を記したのが次のグラフ。

↑ テレビ視聴行為者率(ながら・専念別)
↑ テレビ視聴行為者率(ながら・専念別)

↑ テレビ視聴行為者のテレビ視聴時間(ながら・専念別、時間:分)
↑ テレビ視聴行為者のテレビ視聴時間(ながら・専念別、時間:分)

ながら視聴の方が行為者率は低くなる状況は昔も今も変わらない。一方で25年の経過で減少した%ポイントを見ると、平日は専念しての視聴の方が行為者率の減少は大きいが、日曜はながら視聴の方が大きく減っている。平日は夕食後の家族そろっての憩いの時間における専念視聴が減った機会が大きいからだろう。休日は時間の余裕がある中で、すること・できることが増えたのが一因かもしれない。

視聴者に限定した視聴時間は、ながら・専念、平日・日曜を問わずに増加している。上記でも触れているが、テレビ視聴行為者に占める、テレビ視聴への注力度合いが大きい高齢者の比率が増えたからだろう。またながら視聴に限れば、テレビを見ながら利用する機会が多いスマートフォンが普及したのも大きな理由ではないだろうか。


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【テレビを観ながら携帯操作、調べものをしたり実況したり…テレビと携帯のながら実情を探る(2015年)】
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【「テレビを観ながらインターネットをする」はどこまで浸透しているのだろうか(最新)】

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