残業する人約2割、経営者・管理職は3割を超えて

2011/05/13 06:00

NHK放送文化研究所が2011年2月23日に発表した「2010年国民生活時間調査報告書」は、同研究所が5年毎に定期調査を行っている研究報告の最新版で、日本の社会文化の変遷を推し量る上で役立つデータが多数盛り込まれている。今回はその中から、平日に長時間仕事をしている人にスポットライトをあてることにする(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は2010年10月14日から24日にかけて10歳以上の日本国民を対象に住民基本台帳から層化無作為2段抽出方式によって選ばれた7200人(12人×150地点×4回)を対象にし、配布回収方法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は4905人。男女比は47.7対52.3、年齢階層比は10代11.8%・20代10.1%・30代15.0%・40代15.0%・50代15.2%・60代16.2%・70歳以上16.7%。なお「行為者」とは指定された行動を行ったもの、「行為者率」は該当時間幅にその行動を15分以上した人が全体に占める割合を意味する。

また、今件における「有職者」とは「職を有している人」。すなわち雇われた人と自営・自由業など(具体的には農林漁業者、自営業者、販売職・サービス職、技能職・作業職、事務職・技術職、経営者・管理職、専門職・自由業・その他)を、「勤め人」とは「有職者」のうち「雇用される側」(販売職・サービス職、技能職・作業職、事務職・技術職、経営者・管理職)を意味する。

現在の労働基準法では、法定労働時間は1日8時間・1週間で40時間まで。それ以上を働いた場合は時間外労働となり、割増賃金を受け取る権利が生じる。今調査では平均として平日何時間働いているかを尋ねているが、その時間が10時間を超えた人の比率を算出したのが次のグラフ。つまり平均2時間以上残業をしている人(長時間残業者)の割合なわけだ。

↑ 10時間を超えて働いている人の割合(平日・概要職業区分別)
↑ 10時間を超えて働いている人の割合(平日・概要職業区分別)

全体としては2割程度が残業続き。男性に限れば3割-1/3が(理論上)毎日残業状態にある。しかも年々増加する傾向だったが、この勢いは2010年に止まり、落ち込みを見せている。元資料では特に理由は説明されていないものの、景気後退によって残業そのものが減らされたことによると見て間違いない。

また、有職者全体より勤め人の方が、全体・男性・女性共に多く残業しているが、これは有職者には勤め人にない「自営業」「自由業」など時間の調整が付きやすい区分の人がいるから。

それを確認できるのが次のグラフ

↑ 10時間を超えて働いている人の割合(平日・概要職業区分別)
↑ 10時間を超えて働いている人の割合(平日・概要職業区分別)

農林漁業者が一番少なく、次いで自営業・自由業の順に低い値を見せている。これらはすべて「有職者」ではあるが「勤め人」には当てはまらず、これが「有職者全体より勤め人の方が、残業者率が高い原因」となっている。

一方経年別に見ると、2010年に値が後退しているのは全体的な傾向で変わらないが、自営業者の下げが著しいのと、経営者・管理職の漸増状態が続いているのが確認できる。前者は不況の厳しさが自営業者には重くのしかかっていること、後者は上級幹部がリストラなどで仕事を任せられる部下が減り、陣頭指揮に立ってフル回転している様子がうかがえる。



ちなみに冒頭の労働基準法における法定労働時間は特例が存在しているし、労使関係にない有職者には当然適用されない。その観点では「経営者」が一番苦労して長時間労働している、ということになるのだろう。

また、2010年では多くの属性で長時間残業者が減っているが、その動きは以前【残業の減少と退社時間とアクセス傾向の関係】でも触れたが、夕方から夜にかけての当サイトにおけるアクセス傾向の変化でもかいま見ることができる。残業者が減ることは、色々な方面に変化をもたらすことになる一例と言えよう。


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