新聞と電話帳以外は好調…広告費動向を多方面からグラフ化してみる(2015年)

2015/02/26 08:00

先に【インターネットは初の1兆円超・総額6兆1522億円…過去20余年の媒体別広告費動向(2015年)(最新)】で伝えた通り、電通は2015年2月24日付で日本の広告費に関する調査報告書を発表、その内容によれば2014年における日本の総広告費は前年比2.9%増の6兆1522億円とのことだった。インターネット広告の堅調さは相変わらずで今回初めて1兆円を突破、テレビや屋外広告など多数項目で前年比プラスの値を計上している。今回は報告書から詳細な値を抽出した上で分析のためのグラフ生成を行い、それを介して2014年の状況を中心に、少し詳しく中味を見ていくことにする(【発表リリース:「2014年 日本の広告費」は6兆1,522億円、前年比102.9%】)。

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2014年の各媒体別動向


まずは2014年の広告費における前年比。2013年から2014年における広告費の変化を示したものだが、各媒体の広告に関する影響力、クライアントからの評価の変化の度合いがよく分かる結果となっている。

↑ 2014年媒体別広告費前年比
↑ 2014年媒体別広告費前年比

大きく下げた「電話帳」は、携帯電話、特にスマートフォンの普及に伴う固定電話の減少をはじめとする環境の劇的な変化に伴い、需要が大きく減少している結果によるもの。これは前年から継続する動きである。4マスでは「テレビメディア」の2.8%プラスをはじめ大よそプラス。「新聞」が唯一のマイナス値、マイナス1.8%を示している。

「インターネット広告」はプラス12.1%と主要項目区分では一番の成長ぶり。「プロモーションメディア広告費」、つまり一般広告の類は伸び率がまちまちでその伸び具合に各媒体の勢い、注目度が反映されているが、「折込」のマイナス値が目立つ形となっている。ペア的な存在の「新聞」がマイナスである以上、仕方がない結果だが、時代のすう勢を示しているとも見ることが出来る。

また見方を変えると、「フリーペーパー」「DM」こそプラスを示したが伸び率は限定的、「新聞」はマイナス、「雑誌」はほぼプラスマイナスゼロ、そして「折込」も大きくマイナスとなり、紙媒体のメディアが軒並み足踏み、あるいは軟調の結果を示している。実績によるものかあるいは相対的な広告価値の評価減かは広告主側の考え方次第だが、紙媒体全体で広告出稿先としての価値が減退しているとの推測は、あながち間違いではあるまい。

続いてこれを前年比では無く、絶対金額で示したのが次のグラフ。

↑ 2014年媒体別広告費(億円)
↑ 2014年媒体別広告費(億円)

従来型大手媒体(4マス)、中でも「テレビメディア」が未だに大きな広告費を占めているのが一目瞭然。個別項目では太刀打ちできず、「プロモーションメディア広告費」を全部合わせてようやく追い抜くことができる状態。また、4マスのうちさすがに「テレビメディア」には届かないものの、それに次ぐ「新聞」を大きく抜くポジションに「インターネット広告費」がついているのが分かる。これは先日の記事、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査を元にした【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(上)…4マス+ネット動向編(特定サービス産業動態統計調査)(2015年)(最新)】でも同じ動きが確認されており、メディア動向として少なくとも広告費の観点ではインターネットが新聞を抜いている実態を改めて認識させるものである。

経年変化で広告費の動きを確認


続いて過去の値をさかのぼり、経年変化で推移を確認する。2001年以前の値が無いのは、インターネット広告などの項目が用意されていないからである。

また2004年と2005年の間では、広告費の項目区分で変更が行われており、その前後では数字上の連続性は厳密には無い。グラフ上では点線を引いておくので、その線をまたいだ年同士については、参考程度に見ることをお勧めする。

最初に生成するのは単純な金額積み上げグラフ。金融危機発生時で、まだ大きな影響が広告費には表れてなかった2007年が天井となり、その後は景気の後退、リーマンショック、さらには震災などを受け、下落や低迷状態にあったことが分かる。2012年以降は少しずつ復調しつつあるが、その歩みは遅い。

↑ 媒体別広告費(積上げ推移、2001-2014年)(2004-2005年で推定範囲変更のため継続性は無し)(億円)
↑ 媒体別広告費(積上げ推移、2001-2014年)(2004-2005年で推定範囲変更のため継続性は無し)(億円)

「プロモーションメディア広告費」(黄緑色)が2004-2005年の間に大きく上昇している。しかしこれは前述の通り、区分の変更で色々と「追加」(他区分からの移動では無い)が行われているのが原因。この時期に今項目が飛躍・成長し、全体額も1兆円ほど躍進したわけではない。

中期的には「新聞」や「雑誌」など、紙媒体が大きく落ち込んでいる。代替メディアの浸透に伴い購入者数の減少、購入者の購入数量の減少、さらには質の低下などの要因から、広告媒体としての実力、少なくとも広告出稿主から見た評価が減っているのが大きな要因。

従来型の4マスとインターネットにおける、広告費から見た影響力の変化が確認できるのが、次のシェア動向。それぞれの年における各媒体の広告費を、全広告費の比率で示したもの。

↑ 媒体別広告費(構成比推移、2001-2014年)(2004-2005年で推定範囲変更のため継続性は無し)
↑ 媒体別広告費(構成比推移、2001-2014年)(2004-2005年で推定範囲変更のため継続性は無し)

従来4大メディアを黒枠・青系統色で装飾し、動向が分かりやすいようにした。2004-2005年に項目基準の変更がなされたが、それをきっかけとするかのように青系統部分が少しずつ、そして確実に減少していくのが分かる。またその中でも詳しく見ると、「テレビ」は一定のシェアを維持し続けており、「新聞」「雑誌」「ラジオ」がシェア低下の原因であることも確認できる。

2004年-2005年をきっかけとしていることから、区分変更が問題ではとの発想も頭に浮かぶ。しかしこのタイミングはインターネットの普及が本格化した時期でもあり、また同時にそのネットを媒体とする「インターネット広告」が上昇していることから、区分変更には関係が無いことがうかがい知れる(実のところ2005年の区分変更において4マスが影響を受けているのは「雑誌」のみで、しかも対象誌の増加がなされているため、数字的には有利になるはずである)。



昨年データと比べると成長媒体の種類数は増え、4マスでも「新聞」以外はプラスに転じているなど、「インターネット」しか成長が見込めないとした数年前の動向と比べれば、随分と状況は改善している。しかし前年比プラスの項目もその多くは、歩みはまだゆっくりとしたもの。

日本の広告業界を対象としている以上、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査と大きな違いは無く、把握できる現状とそこから導き出せる今後の予想も、さほど変わりはない。従来型広告は堅調、ネットも好調、4マスは新聞以外はそこそこ順調、そして全体的なトレンドとして紙媒体の不調。この流れはしばらく継続することだろう。

ただし紙媒体の場合、電子媒体への移行が進むにつれ、出版社などが払う広告費は同じでも「雑誌広告が減る」「ネット広告が増える」との動きが生じることになる。「雑誌」部門の広告費の減退が、そのままコンテンツベースとしての雑誌全体(紙と電子双方)の減退を意味するものとは必ずしも言い切れないことに注意してほしい。

またスマートフォンやタブレット機の急速な普及に伴い、それら単独の広告だけでなく、その機動力・柔軟性を活かした、複合型広告の展開も大いに見込める。うまくその勢いの波に乗ることができれば、低調さを見せている分野でも盛り返しが期待できよう。


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