地域別の残業や勤続年数をグラフ化してみる(最新)

2018/03/06 05:13

2018-0304社会慣習や企業形態の差異など多様な条件の違いにより、同じ業界の職場でも、地域によって残業動向は小さからぬ違いが生じる。自らの就業状態が全国ではどの程度の範囲にあるのか、他地域では違いがあるのか否か、自分の生活に何か影響が生じるわけでは無いが、気になる話には違いない。今回は厚生労働省が2018年2月28日付で発表した、賃金関連の情報を調査集積した結果「賃金構造基本統計調査」の最新版となる【平成29年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】の公開値を元に、都道府県別の平均的な、残業時間に相当する超過実労働時間数、そして平均勤続年数について確認していくことにする。

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平均残業時間は月16時間


まず最初に掲示するのは、月あたりの平均超過実労働時間数。これは就業場所の就業規則などで定められた所定労働日における、始業時刻から終業時刻までの時間「以外」に実際に労働した時間数、及び所定休日において実際に労働した時間数を指す。また今件はフルタイム労働者を指す「一般労働者」を対象としたもので、フルタイムなら契約社員や派遣社員も該当する。ただしパートやアルバイトは「一般労働者」では無く「短時間労働者」なので、検証対象外となる。

産業形態によって大きな差異が生じるが、今回はすべての産業を合わせた総合値を見ていく。当然、残業が多い産業での就労者比率が高い地域の方が、残業時間数は多くなる。また、男女差が大きく出る値でもあるため、男女別々にグラフを生成する。

↑ 超過実労働時間数(2017年、一か月あたり、時間、男性、一般労働者)
↑ 超過実労働時間数(2017年、一か月あたり、時間、男性、一般労働者)

↑ 超過実労働時間数(2017年、一か月あたり、時間、女性、一般労働者)
↑ 超過実労働時間数(2017年、一か月あたり、時間、女性、一般労働者)

まず男性。全国平均では16時間/月。大よそ1日あたり1時間の残業。最も残業時間が長いのは愛知、三重、兵庫の20時間。次いで群馬の19時間が続く。他方最も短いのは高知で11時間。意外にも東京も13時間で少ない領域に含まれる。地域別傾向は特に見られないが、大都市圏そのものではなく、その周辺・近郊都市圏でやや高めのように見える。

一方女性だが、最長時間は栃木、東京、愛知の10時間。最短は秋田、山口、徳島、愛媛、高知、宮崎、鹿児島の6時間。例えば高知は男性でも最短、愛知は最長に位置しており、男女ともに同じような動きを示していることから納得できる結果といえるが、東京は男性では短い領域である一方、女性は最長を計上しており、奇妙さを覚えるものがある。

女性は男性と比べて残業時間そのものが短めなために、一層地域別傾向はつかみにくい。あえていえば関東と近畿圏でやや長い傾向があるように見受けられる。

勤続年数は地域別でさほど変わらず


続いて勤続年数。これは対象となる労働者がその企業に雇い入れられてから、調査対象期日までに勤続した年数を指す。見習い期間などは含め、休職期間は除く。出向した場合は出向元の勤続年数も加算する。企業分割や合併などで形式的な解雇や再雇用が生じても、実質的な継続勤務の場合は合算する。

↑ 勤続年数(2017年、年、男性、一般労働者)
↑ 勤続年数(2017年、年、男性、一般労働者)

↑ 勤続年数(2017年、年、女性、一般労働者)
↑ 勤続年数(2017年、年、女性、一般労働者)

勤続年数は色々な意味合いを持った数字となる。第一義的には「長期的に一企業で就業できるか否かの指標」ではあるが、「長期就業できる産業がどれだけ高比率で存在するか」でもあり、また「従業員の新陳代謝の度合いを示す指標」とも解釈できる。もっとも就業者の平均年齢は42歳から44歳代で地域別に大きな違いは無いため(全国平均は42.5歳)、最後の指標の意味合いはあまり大きく無いとみてよさそうだ。

全国平均は男性13.5年、女性9.4年。男女で約4年の差異が生じている。男性でもっとも勤続年数が長いのは茨城、三重、広島愛知の14.6年。逆にもっとも短いのは沖縄で10.4年。それらの地域以外は12年から13年台に収まっていおり、地域別傾向は特に見られない。あえて言えば九州でやや短めな感はある。

女性は最長が秋田の11.6年、最短は沖縄の8.0年。一部地域、具体的には東北、中部の日本海側、四国でやや長めの傾向が見られるなど、男性とは異なり一部地域で傾向だった動きが生じているのは興味深い。



今調査は事業所に対して行われた調査の結果を元に集計しているため、勤続年数はともかく残業時間(超過実労働時間)は、いわゆる「サービス残業」の類は今件各値には反映されていない。地域別にサービス残業の長さ、比率が異なるか否かまで確認できる統計データが無く、推計による実残業時間の算出も叶わない。

ただし別調査となる労働力調査では、全国値ではあるものの就業時間数の概算値が仕切り時間別ではあるが算出されている(【子育て世代の男性の就労と家事・育児手伝い事情をグラフ化してみる】)。大本の公開値には地域別までの詳細値も確認できるため、機会と要望があれば今件と比較する意味も併せ、精査を行いたいところだ。


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